シロアリ基礎知識

シロアリに強い木材、弱い木材を徹底解説|木材の種類、被害のサイン、対処法まで

サムネイル シロアリ 木材

木材は種類によりシロアリへの強さが違います。住宅を守るには、シロアリに強い木材を選び、防蟻処理をすることが重要です。

ただし、防蟻性の高い木材も状況によりシロアリの侵食を受けるため、木材選びだけでは、シロアリ被害を完全に防ぐことはできません。

本記事では、シロアリに強い木材と弱い木材の特徴から、木材選びと組み合わせたいシロアリの予防方法まで解説します。

※1 一部エリア、再発保証が付いている場合のみ。発生箇所と同一の場所、シロアリの種類も同じ場合のみ適用。
※2 対応エリア・加盟店・現場状況などにより記載の通りには対応できない場合があります。
※3 面積が66㎡未満の場合は一律80,000円(税込み)になります。ヤマトシロアリに限ります(カンザイシロアリなど他のシロアリは別途見積り)。
※4 使用する薬剤は加盟店ごとに異なります。特殊な薬剤・油剤は別途見積りとなります。

このような方におすすめ

  • シロアリに強い木材、弱い木材を知りたい方
  • シロアリ被害にあったときの対処法を知りたい方
  • シロアリ予防をしたい方

シロアリが木材を食べる理由と餌にする仕組み

シロアリが木材を食べる理由は、木材の主成分の「セルロース」を栄養源としているためです。シロアリの食性について解説します。

シロアリの主食は木材に含まれる「セルロース」

木材の主要成分円グラフ

木材の約90〜95%は「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」の3つで構成されています。シロアリはこのうちセルロースとヘミセルロースを栄養源とします。

木材以外で、セルロースやヘミセルロースが含まれる例は以下です。

紙類 段ボール、新聞紙、本、雑誌、壁紙
植物材料 畳(い草)
衣類 綿(コットン)、麻、レーヨン、キュプラ

シロアリが木材を消化する仕組み

シロアリが木材を消化する仕組み

木材の主成分のセルロースは硬い繊維質であるため、ほとんどの動物が消化できません。シロアリが木材を消化できるのは、セルロース分解酵素を自ら分泌できる性質と、腸内に共生する微生物の働きがあるためです。

シロアリはまず、木材を強靭な大顎で噛み砕き、前腸で微細な粉末状にします。同時に、唾液腺や中腸からセルロース分解酵素「セルラーゼ」を分泌して粉末状にした木片の一部を消化します。

消化されなかった木片は、そのまま後腸に送られ、0.02〜0.3mmの大きさの原生生物(単細胞真核生物)により分解、発酵させる仕組みです。

原生生物による分解発酵の過程で生成される「酢酸(さくさん)」こそが、シロアリの生命維持と活動に必要なエネルギー源となります。

シロアリは木材を代謝できる性質により、自然界では倒木を分解して土に還す役割を果たしていますが、木造住宅においては脅威となる害虫です。

シロアリに強い木材3つの特徴

シロアリの侵食を受けにくい強い木材には、以下の3つの共通点が存在します。

シロアリに強い木材の特徴

  • 密度の高さ
  • 防虫成分(テルペン類)の含有
  • 含水率の低さ

それぞれ解説します。

密度の高さ

木材の密度と侵食されやすさ

シロアリは硬く密度の高い木材を嫌う傾向があります。

大顎で木材を噛み砕いて進むとき、密度が高い木材ほど、侵食に多くのエネルギーを必要とするためです。

密度の高さは、乾燥状態における木材の体積あたりの重量を示す「気乾比重(きかんひじゅう)」という指標で評価されます。

気乾比重の基準の目安は0.6です。それ以上のものは高比重材(重硬)、それ未満のものは低比重材(軽軟)と呼ばれます。

住宅の建材としてよく使われる木材の気乾比重は以下の通りです。

木材 気乾比重 木材分類
ローズウッド(紫檀) 約0.79(0.75〜0.82) 広葉樹
チーク 約0.63(0.55〜0.70) 広葉樹
イヌマキ 約0.54(0.48〜0.65) 針葉樹
マツ(アカマツ、クロマツ) 約0.52(0.42〜0.62) 針葉樹
オウシュウトウヒ(ホワイトウッド) 約0.50(0.41〜0.60) 針葉樹
ヒバ 約0.45(0.37〜0.52) 針葉樹
モミ 約0.44(0.35〜0.52) 針葉樹
ヒノキ 約0.44(0.34〜0.54) 針葉樹
スギ(心材) 約0.38(0.30〜0.45) 針葉樹

一般的に、広葉樹は針葉樹よりも細胞組織が複雑で空気の入り込む隙間が少なく、高密度な木材が多いです。

例えば、ローズウッドやチークなどの広葉樹はおよそ0.6以上の高比重材で、シロアリに強いといえます。

また、針葉樹で気乾比重が低くても、防虫成分により防蟻性を発揮する木材もあります。

例えば、スギは木の外周部分である「辺材」と中心部分の「心材」のうち、防虫成分をより多く含む心材が建材としてよく用いられます。心材は防虫成分により、気乾比重が0.38と低めでもシロアリに強いです。

防虫成分(テルペン類)の含有

テルペン類が昆虫に与える影響

テルペン類は、植物や昆虫などがつくる、香りや苦味をもつ精油(エッセンシャルオイル)の成分です。

シロアリを寄せ付けない忌避効果や殺虫効果があります。

具体的な成分は以下です。

防虫成分(テルペン類)

  • ヒノキチオール
  • α-カジノール
  • ピネン
  • δ-カジネン

とくにヒノキチオールには、シロアリを寄せ付けにくくする強い忌避効果があります。また、細菌やカビなどの微生物の増殖を抑える抗菌効果もあり、木材の腐朽を防ぎます。

テルペン類の含有量が多い具体的な木材は「シロアリに強い代表的な木材」をご覧ください。

含水率の低さ

含水率の低さと侵食されやすさ

住宅に被害をもたらす代表的なシロアリであるヤマトシロアリやイエシロアリは、生存に水分を必要とし、湿気を含んだやわらかい木材を好んで侵食し、逆に乾燥して硬化した木材を避ける習性があります。

また、木材の含水率が低ければ、シロアリを誘引する腐朽菌が発生しにくいです。木材腐朽菌は含水率28%以上で繁殖します。

そのため、未乾燥の状態で流通する「グリーン材」よりも、人工乾燥処理(Kiln Dry)によって含水率を厳格に管理した「KD材」の方が、住宅の耐蟻性や耐久性に優れています。

国が定めた基準(JAS規格)では、構造用製材は含水率25%以下から「乾燥材」として表示できます。また、具体的な含水率によって「D20」「D15」など表示が変わります。

土台や柱には、腐朽菌が活動できる28%を下回る20%以下(D20)や15%以下(D15)の製品を選ぶと安心です。

木材の状態 含水率の目安
伐採直後の未乾燥材(グリーン材) 30%以上
JAS規格の乾燥材(構造用製材) 25%以下(D25)、20%以下(D20)、15%以下(D15)

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シロアリに強い木材の種類

シロアリに強い木材の種類

シロアリに強い木材の3つの共通点を踏まえて、シロアリに強い6つの木材を解説します。

シロアリに強い代表的な木材

注文住宅やリフォームで以下の木材を選ぶと、シロアリ被害を予防しやすくなります。

木材の種類 含まれる主な防虫成分 特徴
ヒバ
  • ヒノキチオール
  • β-ドラブリン
  • 気乾比重は約0.45(0.37〜0.52)で、他の木材と比べるとやや低め
  • 殺蟻成分ヒノキチオールを国産材でとくに多く含む
  • 大引きや浴室材に使われる
ヒノキ
  • ヒノキオール
  • α-カジノール
  • ピネン
  • 気乾比重は約0.44(0.34〜0.54)で、他の木材と比べるとやや低め
  • 心材にヒノキオールやα-カジノールを含み、耐蟻性は中程度
  • 同じ「ヒノキ」表示でも産地や部位で耐蟻性が変わる
  • 大引きや柱に古くから使われる
スギ(心材)
  • β-オイデスモール
  • δ-カジノール
  • 気乾比重は約0.38(0.30〜0.45)で、他の木材と比べると低め
  • 心材にδ-カジノールを含み、耐蟻性は中程度
  • 辺材は成分が乏しくやわらかいため、侵食を受けやすい
  • 心材を中心に大引きや柱に使われる
イヌマキ
  • イヌマキラクトン
  • ナギラクトン
  • ピネン
  • 気乾比重は約0.54(0.48〜0.65)で、他の木材と比べるとやや低め
  • イヌマキラクトンやナギラクトン、ピネンなどの殺蟻成分を含む
  • 沖縄の高温多湿でシロアリ被害の多い地域で重宝される
  • 厳しい環境下の一級建築材として使われる
ローズウッド(シタン)
  • リナロール
  • α-テルピネオール
  • 気乾比重は約0.79(0.75〜0.82)で、他の木材と比べると高め
  • 高密度かつリナロールを含み、優れた耐蟻性をもつ
  • 豊富な油分と樹脂分でシロアリや腐朽菌の侵入を防ぐ
  • 高級家具や楽器材として強い木材の代表に挙げられる
チーク
  • テクトキノン
  • ラパコール
  • デオキシラパコール
  • 気乾比重は約0.63(0.55〜0.70)で、他の木材と比べるとやや高め
  • テクトキノンを含み、ほかの成分との相乗効果で水や害虫への耐性をもつ
  • 硬く密度が高く、シロアリが食べ進めにくい
  • 豪華客船の甲板やフローリング材として使われる

木材ごとのシロアリへの耐蟻性は、気乾比重と防虫成分の掛け合わせにより決まります。

気乾比重が0.6未満の低比重材でも、強力な防虫成分を含んでいる木材は耐蟻性が高いです。ヒバやヒノキ、スギの心材、イヌマキなどがあります。

気乾比重が0.6以上の高比重材は、シロアリが物理的に噛み砕きにくいうえ、防虫成分が含まれることでさらに強い耐蟻性を発揮します。ローズウッドやチークが代表的です。

シロアリに強い木材でも被害が出る理由

シロアリに強い木材を採用するだけでは、シロアリ被害を完全に防ぐことはできません。その理由を、木材の構造や性質から解説します。

シロアリに強い木材でも被害が出る理由

  • 辺材には防虫成分が含まれていない
  • シロアリは他に餌がなければ硬い木も侵食する
  • アメリカカンザイシロアリは耐蟻性の高い木材も侵食する

辺材には防虫成分が含まれていない

辺材と心材

樹木の外周部の辺材は、細胞が若く水分を通すためにやわらかく、シロアリを寄せ付けにくくする成分が心材よりも少ないです。そのため、耐蟻性が高い木材でも、辺材は侵食を受けやすくなります。

一方で、心材は古くなる過程で硬くなり、防虫効果のある樹脂成分を豊富に含むため、侵食されにくいです。

また、年輪のうち春から初夏に成長する「早材(そうざい)」は組織がやわらかく、夏以降に成長する「晩材(ばんざい)」と比較して侵食されやすいです。

早材と晩材の違い

その結果、密度の高い晩材だけが同心円状に残る食痕が形成されます。

早材 晩材 食痕

シロアリは他に餌がなければ硬い木も侵食する

日本しろあり対策協会の試験では、シロアリが耐蟻性に優れるヒノキを侵食することが確認されています。

餌となる木材が限られた環境では、ヒノキやスギのように防蟻成分を含む木材も侵食されるのです。

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アメリカカンザイシロアリは耐蟻性の高い木材も侵食する

階級ごとのアメリカカンザイシロアリの見た目

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京都大学生存圏研究所がおこなった摂食試験によると、やわらかく殺蟻成分の少ないスギやアカマツよりも、防蟻成分を含む硬いヒノキを好むことがわかっています。

アメリカカンザイシロアリが好む木材と嫌う木材は以下です。

好む木材 やわらかい針葉樹をとくに好むが、乾燥している木材ならヒノキやスギ、ヒバなども侵食する
嫌う木材 ローズウッドなど、硬く密度の高い木材

とくに被害が多いのは、屋根裏の構造材や家具などです。木材内部でのみ活動するため、見た目による被害の発見が難しいです。

外壁や天井裏に小さな砂粒状の排せつ物(ふん)が落ちていないかが、発見の手掛かりになります。

シロアリのふん

シロアリに弱い木材の4つの特徴

シロアリからの侵食を受けやすい木材にも、共通する特徴があります。特徴ごとに被害にあいやすい理由を解説します。

シロアリに弱い木材の4つの特徴

  • 密度が低い木材
  • 湿った木材
  • 腐朽が進んだ木材
  • 蒸煮(じょうしゃ)処理された木材

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密度が低い木材

密度が低くやわらかい木材

密度の低い木材は、シロアリが食べ進めやすいため、餌場や巣として好まれます。とくにやわらかい木材は以下です。

針葉樹 マツ、モミ、スギ
広葉樹 バルサ、キリ

マツやモミ、スギは住宅の建材として多用される木材のため、シロアリに注意が必要です。また広葉樹のなかにもバルサやキリなどやわらかい木材があります。

湿った木材

湿った木材

湿った木材は組織がやわらかくなり、シロアリにとって食べやすい状態になります。また、湿度の高い環境を好むシロアリを引き寄せやすいです。

住宅内の以下の場所はとくに注意しましょう。

湿った木材に注意する場所

  • 結露しやすい窓の周辺
  • 雨漏りのある屋根裏
  • 浴室
  • キッチン
  • トイレ
  • 洗面所
  • 床下

腐朽が進んだ木材

腐朽が進んだ木材

木材を腐らせる腐朽菌は、シロアリを誘引する物質「MVOC(微生物揮発性有機化合物)」を放出することが研究で明らかになっています。

なかでも腐朽菌の一種「キチリメンタケ」は、シロアリが餌の場所を仲間に知らせる、道しるべフェロモンと同じ物質を放出し、シロアリを引き付けやすいです。

住宅周辺においては、庭の切り株や枯れ木、雨ざらしになった廃材などが腐朽しやすいです。

蒸煮(じょうしゃ)処理された木材

蒸煮処理された木材

木材を蒸したり煮たりする蒸煮処理をすると、木材内部の防虫成分が抜けたり、組織がやわらかくなるため、未処理の状態よりもシロアリに侵食されやすくなります。

蒸煮処理は、繊維を軟化させて曲げやすくしたり、ヤニを抑えたりするための処理です。

まず、含水率を調整した木材を窯に入れ、高温の水蒸気を噴射して湿度100%の飽和蒸気状態にし、温度100〜120°Cを数時間〜数十時間保ちます。

その後、温度と圧力をかけて安定化させた状態で木材を取り出し、高温で乾燥させて処理は完了です。

ウッドデッキや棚をDIYでつくるときや、リフォームで木材を選ぶ際は、防蟻処理の有無や加工方法を確認することが重要です。以下の方法で確認しましょう。

木材加工の確認方法

  • 製品の仕様書や商品説明、カタログで表示を確認する
  • 木材に刻印やスタンプ、ラベルがないか確認する
  • 販売店やメーカーに問い合わせる

シロアリに弱い木材の種類

シロアリに弱い木材の種類

シロアリに弱い代表的な6つの木材について、それぞれ気乾比重や防虫成分、特徴を解説します。

被害にあいやすい代表的な木材

木材 含まれる防虫成分 特徴
マツ(パイン) なし
  • 気乾比重は約0.52〜0.54
  • アカマツやクロマツなどが該当する
  • 低比重材のなかでは一定の強度があるが、殺蟻成分を含まない
  • 梁や桁、床下地に使われる
モミ なし
  • 気乾比重は約0.44
  • 軽くやわらかく無味無臭
  • 梱包材や内装材、家具に使われる
  • 屋内の各所で被害リスクが大きい
ホワイトウッド

(オウシュウトウヒ)

なし
  • 気乾比重は約0.50
  • 耐蟻性が低く、湿気で腐朽が早い
  • 一般的な建築方法「2×4工法」の構造材やDIY材として広く知られる
ベイツガ 乏しい
  • 気乾比重は約0.49〜0.50
  • 腐朽に弱く含水率が上がりやすい
  • 大引きや根太(ねだ)、建具に使われる
ベイマツ 乏しい
  • 気乾比重は約0.53
  • 低比重材のなかでは一定の強度があるが、殺蟻成分は乏しい
  • 名前に「マツ」とあるが植物学的にはトガサワラ属で、流通名と実際の木材が異なる
  • 梁や桁、小屋組に使われる
スギ(辺材) ごく少ない
  • 気乾比重は約0.38
  • 日本でいちばん広く使われる木材
  • 耐蟻性に優れた心材とは対照的に、外側の辺材はやわらかく狙われやすい

シロアリに弱い木材は、低比重で防虫成分が乏しい点が共通しています。また、密度が低くて組織内部に水分を含みやすく腐朽しやすいことも、水分を好むシロアリの誘引要因です。

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SPF材は耐蟻性が低い

SPF材は、北米原産の以下3種類の針葉樹を加工した木材のことで、木材の頭文字をとった呼称です。

Spruce スプルース(エゾマツ類)
Pine パイン(マツ類)
Fir ファー(モミ類)

リーズナブルで軽く扱いやすいことから、DIY材や2×4材としてホームセンターで流通しています。

2×4材とは、柱ではなく壁で建物を支える建築方法「2×4工法」で用いられる木材です。

しかし、SPF材はやわらかく殺蟻成分(テルペン類)を含まない木材で構成されているため、耐蟻性が低くシロアリに侵食されやすいです。

DIYで屋外やウッドデッキにSPF材を使う場合は、防腐塗料や殺蟻塗料で塗装し、数年ごとに塗り直します。

SPF材を土に直接接地させると地中のシロアリを引き寄せやすいため、束石(つかいし)やブロックで地面から離すことが必要です。

木材がシロアリ被害にあいやすい場所

シロアリ被害にあいやすい場所を把握しておくことで、定期的なチェックによる予防ができます。場所ごとの注意点と併せて解説します。

木材がシロアリ被害にあいやすい場所

  • 床下の土台や大引き
  • 浴室や洗面所、トイレなどの水回り
  • 玄関周り
  • 和室の畳や床下地
  • 天井や屋根裏
  • 屋外の木製設備

床下の土台や大引き

床下・基礎

床下は地中から侵入したシロアリが最初に到達する場所です。

建物を支える木材が集まっているうえ、地面から上がってくる湿気がたまりやすく、シロアリが好む環境です。

また、床下は暮らしのなかで目につかない場所のため、シロアリ被害にあっていても発見が遅れやすいリスクがあります。

床下のシロアリ被害を防ぐには、湿気をためないように環境を整えることが重要です。具体的には以下を心がけましょう。

床下の湿気対策

  • 換気口周りにゴミやほこりがたまらないよう定期的に掃除する
  • 換気口の前にゴミ箱や室外機など通気を妨げるものは置かない
  • 床下換気扇がある場合はタイマーを活用してこまめに稼働させる
  • 床下点検口から土台に蟻道(ぎどう)や木くずがないかを定期的に確認する

蟻道とは、シロアリが日光や外敵を避けて移動するために土でつくるトンネル状の通り道です。

土台に付着した蟻道

土の中を移動するシロアリは、床下点検口や土台など地上の構造物をつたって侵入する際に蟻道をつくります。

床下の被害は建物の強度に直結するため、数ある場所のうちでも優先的に点検すべき箇所です。

シロアリお助け本舗では、住宅の無料点検を実施しています。シロアリ被害の有無だけでなく、住宅の劣化具合もプロの目で点検してもらえるため、現状把握をしたい方はお気軽にご相談ください。

浴室や洗面所、トイレなどの水回り

浴室や洗面所、トイレなどの水回り

浴室や洗面所、トイレなどの水回りの下は湿気がこもりやすく、土台や壁の下地木材が湿った状態になりやすいです。

さらに、配管の結露や水漏れで木材の含水率が上がると、シロアリが好む環境になります。

シロアリ被害を防ぐためには、普段から換気をして湿度70%未満を保ち、水漏れや結露がないかをこまめに点検することが重要です。

厚生労働省の「建築物環境衛生管理基準」では、昆虫の防除を含む衛生上良好な状態を維持する目安として、湿度40%以上70%未満と示されています。

水回りのシロアリ対策

  • 入浴後は浴室や洗面所の換気扇を回すか窓を開けて、湿気を外へ逃す
  • 浴室の結露を防ぐため、入浴後は冷たいシャワーを壁や床にかけて室温を下げる
  • 水切りワイパー(スクイージー)などを活用して壁や床の水気を切る
  • 排水管から水漏れがないか定期的に確認する
  • ドア枠やタイルの継ぎ目に使われるコーキング材の劣化具合を確認する
  • タイルにひび割れがないかを確認する

とくにタイル張りの在来浴室は、防水性の高い部材で浴室を一体的に構成するユニットバスと比べ、水分が壁や床の内部に浸入するリスクが高いことから、シロアリ被害にあいやすいです。

タイルの場合、ひび割れやコーキング材の劣化などにより、水分が壁や床の内部へ浸入することがあります。浴室内のコーキング材は10年を目安に劣化するため、定期的に点検や補修をしましょう。

玄関周り

玄関周り

玄関は地面に近く、玄関の上がり口の化粧板「框(かまち)」やドアに木材が使われているため、シロアリ被害にあいやすいです。

玄関の内側にある土足で歩くスペース「土間」と框の隙間が侵入経路になることもあります。

日頃から以下を心がけましょう。

玄関のシロアリ対策

  • 傘や雨靴など濡れたものを放置しない
  • 玄関収納を換気する

和室の畳や床下地

和室の畳や床下地

畳はい草や藁にセルロースを含むため、床下地の木材とともにシロアリの侵食対象です。

湿気を含むとやわらかくなり、被害のリスクが上がります。

シロアリ対策として、以下を心がけてください。

和室のシロアリ対策

  • 定期的に窓を開けて換気する
  • 雨漏りや水濡れを放置しない
  • 畳が沈む、やわらかくなるなどの変化に注意する

天井や屋根裏

天井・屋根裏

天井や屋根裏は、梁(はり)や桁(けた)、垂木(たるき)など木材が集まる場所です。

日本で被害をもたらすシロアリのなかで、イエシロアリは自分で水を運べるため、2階以上や屋根裏など地面から距離がある高い場所の木材も侵食します。

また、乾燥した環境を好むアメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリが侵食する可能性もあります。

シロアリ対策では、以下を心がけてください。

天井や屋根裏のシロアリ対策

  • 雨漏りや屋根のひび割れは放置せず修繕専門業者に依頼して直す
  • 窓を開けるか換気扇をつけるなどして換気する

屋外の木製設備

屋外の木製設備

屋外の木製設備は雨ざらしで腐りやすく、地中から侵入されやすいです。

具体的な木製設備として以下があります。

  • ウッドデッキ
  • 枕木
  • 木製フェンス
  • 庭木
  • 切り株
  • ウッドチップ

シロアリ対策では以下を参考にしてください。

屋外のシロアリ対策

  • 切り株や枯れた庭木、腐朽した木材設備は早めに撤去する
  • 防腐効果や殺虫効果のある塗料を定期的に塗り直す
  • ウッドデッキは木粉と樹脂の人工木(樹脂木)のものに交換する

シロアリが木製設備に巣をつくると、さらに餌を求めて基礎や壁をつたい、住宅に侵入するリスクがあります。

自分でできるシロアリ調査|5つのチェックポイント

住宅のシロアリ被害調査は、シロアリ駆除業者に任せることが基本です。

シロアリ被害を見逃すと、時間経過とともに取り返しのつかないほど被害が拡大するリスクもあります。

とはいえ「すぐの調査依頼が難しい」「今すぐシロアリ被害を確認したい」という方もいるのではないでしょうか。自分でできるシロアリ被害調査のチェックポイントを解説します。

自分でできるシロアリ調査

  • チェック項目①|蟻道がないか
  • チェック項目②|羽や羽アリの死骸は落ちてないか
  • チェック項目③|木材に小さな穴や崩れはないか
  • チェック項目④|床や畳がきしむ音や沈む感覚はないか
  • チェック項目⑤|庭の木製構造物にシロアリの痕跡がないか

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チェック項目①|蟻道がないか

床下蟻道

蟻道は餌となる木材や水場と巣をつなぐようにつくられます。

主な場所は以下です。

蟻道を確認する場所

  • 基礎の立ち上がり
  • 束石や束柱
  • 断熱材
  • ベタ基礎
  • 配管周辺
  • 外壁
  • 化粧モルタルやタイル張り
  • 放置された木材や木柵

もし蟻道を発見した場合、壊さずに撮影だけして、すぐにシロアリ駆除業者に相談してください。

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チェック項目②|羽や羽アリの死骸は落ちてないか

羽アリの痕跡 窓際

羽アリの死骸や羽が落ちていないか、以下の場所をチェックしましょう。

羽を確認する場所

  • 窓際
  • ベランダ
  • 玄関

羽アリの死骸や羽を見つけた場合、すぐ近くで巣をつくっている可能性が高いため、なるべく早くシロアリ駆除業者に相談してください。

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チェック項目③|木材に小さな穴や崩れはないか

シロアリ被害 柱

床や柱に小さな穴や崩れがある場合、シロアリに侵食されている可能性があります。

柱を叩いたときに空洞音がする場合は要注意です。シロアリの被害にあっていない木材は中身が詰まっていて叩くと重い音がしますが、被害にあうと内部が空洞になり、軽い音がします。

自己判断ではシロアリ被害を正確に把握できないリスクがあるため、木材に不自然な点があるときは駆除業者に相談しましょう。

チェック項目④|床や畳がきしむ音や沈む感覚はないか

シロアリ被害 畳

床や畳の上を歩いたときに、きしむ音や沈み込む感覚がないかチェックしましょう。

フローリングなどの木材の床や畳は、シロアリ被害にあうとふかふかとやわらかくなり、足裏への反発感が弱まります。

畳を外して「畳の裏側や畳下板に蟻土がないか」を確認しましょう。

蟻土が見られる場合は、畳だけでなく、ほかの場所にも被害が広がっているケースが多いです。

チェック項目⑤|庭の木製構造物にシロアリの痕跡がないか

侵食を受けた木造構造物

住宅内だけでなく、庭の木製構造物にシロアリの痕跡がないかをチェックしましょう。

具体的には以下の木製構造物に注意が必要です。

シロアリの痕跡を確認すべき物

  • ウッドデッキ
  • 木製フェンス
  • 木製の門柱
  • 庭の枕木や杭
  • 放置された木材
  • 古い段ボール​
  • 木質系の物置

庭の木製構造物を餌として食べたあとには、新たな餌を求めて住宅内に侵入する可能性があります。

シロアリ被害にあった木材の対処法

シロアリ被害にあった木材の被害と対処法を解説します。住宅にどのような影響があり、対応や費用負担が必要になるのかの参考にしてください。

放置すると建物の耐久性と耐震性が低下する

倒壊した住宅

シロアリによる建物被害は深刻で、侵食を受けた木材は見た目以上に強度が低下します。

建物で使われるサイズの木材をシロアリに侵食させた強度試験では、断面が16%減少しただけで、圧縮強度と曲げ強度が約半分にまで低下しました。

肉眼では被害が軽度に見える場合でも、内部では強度低下が進行しており建物全体の耐震性低下につながります。

1995年の阪神・淡路大震災では、全壊した建物の多くでシロアリ被害が確認されました。

淡路大震災_出典_消防防災博物館

引用:平成7年阪神・淡路大震災|消防防災博物館

また2016年の熊本地震でも、倒壊した建物の一部にシロアリ被害の影響があったことが調査によりわかっています。

熊本地震_出典_毎日新聞

引用:熊本地震立ち入り危険建物が3分の1以上|毎日新聞

シロアリ被害の対処は駆除、補修、再発防止の順で進める

シロアリ被害が発生した場合、原則として以下の順序で進めます。

シロアリ被害の対処順序

  • シロアリ駆除|住宅内のシロアリを薬剤やベイト剤で駆除する
  • 補修工事|侵食された木材を補修または交換する
  • 再発防止の防蟻処理|土壌や木部に薬剤を処理し、再侵入を防ぐ

駆除の前に補修工事をしても、柱の内部に残ったシロアリが補修材を再び侵食し、補修費用が無駄になるためです。

駆除は以下2つの方法が主流で、住宅の構造や被害状況に応じて使い分けます。

バリア工法 住宅の床下や土壌に薬剤を散布し、駆除と侵入防止効果のある層(バリア)を形成する施工法
ベイト工法 住宅の周辺に殺虫効果のある毒餌(ベイト)を設置して駆除する施工法

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軽度の被害の場合|木材の補修方法

シロアリによる被害が、木材表面の小さな虫食い程度の場合は、パテ補修で対応できる場合があります。

DIYで対応する場合、パテによる虫食い穴の充填と防蟻塗料の塗布が有効です。以下の手順で進めます。

木材の補修手順

  • 木くずとふんの除去 
  • パテの充填
  • ヘラでの整形
  • サンドペーパーでの仕上げ
  • 防蟻塗料の塗布

業者に依頼した場合は、現地調査と打診などによる細かい被害確認をしたうえで補修してもらえます。

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重度の被害の場合|木材の交換方法

強度が低下した木材は、交換が必要です。以下のケースが該当します。

木材の交換手順

  • 柱が明らかに傾いている
  • 床全体が沈んでいる
  • ドアや窓の建付けが急激に悪化した

これらのケースの場合、DIYでは十分に補修できません。無理に補修をすると、表面上はきれいになっても、地震時の倒壊リスクが温存されます。

とくに構造材の補修では、ジャッキアップを伴う交換作業に、専門資格と専用工具が必要です。

木材をシロアリから守る予防方法

木材をシロアリから守る予防方法についてまとめました。シロアリ被害にあわないための日常的な予防にお役立てください。

木材をシロアリから守る予防方法

  • 床下を乾燥させて、木材を湿らせない
  • 地面から木材を離して設置する
  • 加圧注入処理材で木材を強くする
  • 木材に防腐効果や殺蟻効果のある塗料を塗る
  • 床下の土壌と木部に薬剤を処理する(バリア工法)
  • ベイト剤で巣ごと予防する(ベイト工法)

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床下を乾燥させて、木材を湿らせない

床下を乾燥させて、木材を湿らせない

ヤマトシロアリやイエシロアリは湿気を好むため、床下の湿度を70%未満に保つことが木材を守る基本です。

具体的には以下を心がけましょう。

床下の湿気予防の方法

  • 床下の雨漏りや水漏れを修理する
  • 床下換気扇を活用して換気する
  • 床下換気口の周辺に落ち葉や設置物があれば片付ける
  • 床下に木材や段ボールがあれば片付ける
  • 床下点検口を設ける
  • 床下の地面に防湿シートを敷設する

地面から木材を離して設置する

地面から木材を離して設置する

シロアリは地中から侵入するため、木材を地面に接触させないことが侵入防止につながります。

具体的には以下を検討しましょう。

地面から木材を離す方法

  • 基礎を高くする
  • 束石やブロックを使う
  • ウッドデッキの脚を地面から浮かせる
  • 庭の切り株や廃材を撤去する

加圧注入処理材で木材を強くする

加圧注入処理材で木材を強くする

加圧注入処理材とは、処理槽で防腐効果や防蟻効果のある薬剤を木材の芯まで浸透させた木材です。

注文住宅や建て替え、リフォーム時に土台や柱として使うことで、長期的な防腐効果や防蟻効果を得られます。

屋外のウッドデッキや枕木に使うと、地面に接する部分の被害を抑えられます。

木材に防腐効果や殺蟻効果のある塗料を塗る

木材に防腐効果や殺蟻効果のある塗料を塗る

木部用の防腐効果や殺蟻効果がある塗料を塗ることで、シロアリと腐朽菌の両方から木材を守ります。

塗料には以下2つのタイプがあります。

浸透タイプ
  • 木材に染み込ませて防腐成分や殺蟻成分で腐朽菌やシロアリを防ぐ
  • 木材そのものの通気性や調湿機能を保てる
  • 表面に膜がないため経年劣化により色があせやすい
  • 5年ごとを目安に再塗装が必要
造膜タイプ
  • 表面に膜をつくり物理的にシロアリや水を防ぐ
  • 木材の表面を膜で保護するため耐水性や耐久性に優れる
  • 木材そのものの通気性や調湿機能が損なわれ、内部で腐朽する可能性がある
  • 再塗装の際は古い塗膜をはがす処理が必要

DIYで塗布する場合、床下の奥や壁内は塗りむらが出やすいです。またホームセンターで買える市販の殺蟻塗料は有効成分の濃度が業者用より低く、効果が表面にとどまります。

高い防腐効果や殺蟻効果を求めるなら、シロアリ専門駆除業者への依頼が安心です。

床下の土壌と木部に薬剤を処理する(バリア工法)

バリア工法

バリア工法は、住宅の床下の土壌にシロアリ駆除の薬剤を満遍なく散布する施工法です。

すでに土中に侵入しているシロアリを駆除すると同時に、新しいシロアリが侵入できない層(バリア層)をつくります。

効力の目安は約5年で、5年を過ぎたら床下調査のうえ再処理する必要があります。

床下に点検口と十分な空間があり、費用を抑えて素早く駆除や予防をしたいケースに最適です。

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ベイト剤で巣ごと予防する(ベイト工法)

ベイト工法

ベイト工法とは、地中にベイト剤と呼ばれるシロアリ専用の毒餌を仕込み、シロアリに持ち帰らせて巣そのものの根絶を狙うシロアリ駆除の方法です。

日本では2002年4月に日本しろあり対策協会によって標準の工法として採用されています。

住宅内で薬剤を使用しないため人やペットの安全性を重視したいケースや、基礎断熱構造(床ではなく基礎に断熱材を設置する構造)で床下に薬剤を散布できないケースに適しています。

巣の全滅には早くても1カ月〜6カ月ほどと時間がかかること、バリア工法より費用が高額になりやすいことに注意が必要です。

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まとめ

シロアリは木材の主成分「セルロース」を栄養源として、やわらかく湿った木材を好んで食べる生き物です。シロアリに強い木材、弱い木材を以下にまとめました。

シロアリに強い木材 シロアリに弱い木材
  • ヒバ
  • ヒノキ
  • スギ(心材)
  • イヌマキ
  • ローズウッド(シタン)
  • チーク
  • マツ(パイン)
  • モミ
  • ホワイトウッド
  • (オウシュウトウヒ)
  • ベイツガ
  • ベイマツ
  • スギ(辺材)

とくに住宅内で被害が多いのは床下、水回り、玄関、畳など湿気がこもりやすい箇所の木材です。

シロアリ被害にあっている場合、放置すると被害が拡大します。蟻道や床の異音がある場合は早めにシロアリ専門駆除業者に調査を依頼しましょう。

シロアリお助け本舗では、シロアリ被害の相談や調査を無料で実施しています。「信頼できる駆除業者に現状把握から任せたい」という方は、無料相談からお気軽にご利用ください。

※1 一部エリア、再発保証が付いている場合のみ。発生箇所と同一の場所、シロアリの種類も同じ場合のみ適用。
※2 対応エリア・加盟店・現場状況などにより記載の通りには対応できない場合があります。
※3 面積が66㎡未満の場合は一律80,000円(税込み)になります。ヤマトシロアリに限ります(カンザイシロアリなど他のシロアリは別途見積り)。
※4 使用する薬剤は加盟店ごとに異なります。特殊な薬剤・油剤は別途見積りとなります。

  • この記事を書いた人

シロアリお助け本舗編集部

シロアリお助け本舗編集部は、
生活を脅かすシロアリの情報を発信する専門チームです。

「シロアリ被害をなくしたい」

現場で得た知識や経験を活かし、
専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

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