段ボールに含まれるセルロースはシロアリの餌になり、放置すると被害にあう可能性があります。この記事では、段ボールがシロアリに狙われる理由、被害の見分け方、発見時の対処法を解説します。
また、湿気対策や定期点検など住宅を守る予防法も紹介しますので、シロアリ対策の参考にしてください。
このような方におすすめ
- シロアリは段ボールを食べるのか知りたい方
- シロアリ被害のチェック方法を知りたい方
- 具体的なシロアリの予防方法を知りたい方
- 段ボールにシロアリを発見したときの対処法を知りたい方


Contents
段ボールはシロアリの餌になる

セルロースは、植物の細胞壁を構成する主要な成分です。木や草などあらゆる植物に含まれており、植物が形を維持するための重要な役割を果たしています。
段ボールにもこのセルロースが多く含まれており、家の中や倉庫に放置するとシロアリを引き寄せる原因になります。
シロアリが餌にするもの
木材ではマツ、モミ、セン、ホワイトウッド、ブナなど密度の低い柔らかい樹木が狙われやすいです。その他、身近な素材でとくに被害にあいやすいのは以下です。
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シロアリが苦手なもの
シロアリは香りの強い樹種に含まれるテルペン類と呼ばれる精油成分を嫌います。テルペン類はフィトンチッドとも呼ばれ、1つの樹種に数十種類含まれる成分です。
ヒノキチオールやα-カジノール、δ-カジネンなどの成分が抗菌作用や防虫作用を発揮しています。とくにテルペン類が多く含まれる樹種は以下です。
| 木材の種類 | 含まれる成分 |
|---|---|
| ヒバ | ヒノキチオール、β-ドラブリンなど |
| ヒノキ | ヒノキオール、α-カジノール、ピネンなど |
| スギ | δ-カジネンなど |
| ローズウッド(シタン) | リナロール、α-テルピネオールなど |
| イヌマキ | ジベレリン、スチレンなど |
注文住宅を建てるときやリフォーム・リノベーションをする際は、住宅の土台や柱などの構造材に何が使われているかまで確認できると良いです。
とくに、浴室の壁材、脱衣所の床下地、玄関の框など湿気の多い場所の木部材や、ウッドデッキやフェンスなど外構などで木製構造物を設置する際は、シロアリに強い木材を選ぶことが理想です。
木材は心材を選ぶのが良い理由

ただし、ヒバやヒノキでも樹木の外側部分(辺材)には防虫成分がほとんどありません。防虫成分が多く含まれるのは樹木の内側部分(心材)です。
心材は、樹木における古い部分であり辺材と比べて乾燥しています。そのため、施工後の収縮や反り、割れなどの変形が起きにくく、建築材料として優れています。
シロアリ対策と建物強度向上の両面から、心材は性能の高い木材と言えるでしょう。
シロアリ被害にあいにくい断熱材とは
シロアリは金属、ガラス、コンクリートといった素材は食べません。ただし、餌に向かう途中の障害物はかじって進みます。
とくに、ポリスチレンフォームやウレタンフォームなどの断熱材は、柔らかくかじりやすいためシロアリの被害にあいやすいです。
新築住宅の建設やリフォームで、断熱材を入れる際はグラスウールやロックウールなどの鉱物系繊維か、セルロースファイバーやウールブレス(羊毛)などの防虫効果がある繊維がおすすめです。
| 断熱材の種類 | 素材の種類 | 特徴 | 商品例 |
| 繊維系断熱材(鉱物系) | グラスウール |
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アクリアシリーズ(旭ファイバーグラス株式会社) |
| ロックウール |
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アムマットシリーズ(JFEロックファイバー株式会社) | |
| 繊維系断熱材(天然系) | セルロースファイバー |
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スーパージェットファイバー(日本製紙木材株式会社) |
| 天然素材系断熱材 | ウールブレス(羊毛) |
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サーモウール(株式会社コスモプロジェクト) |
| 炭化コルク |
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コルダン(東亜コルク株式会社) |
なぜ段ボールがシロアリに狙われるのか
次に段ボールがシロアリに狙われる理由と、シロアリが段ボールを分解し栄養源にする仕組みについて解説します。
シロアリは段ボールをエネルギーに変える
日本で発生しているシロアリ被害のほとんどは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリの4種類によるものです。
いずれのシロアリも、木材に含まれるセルロースとヘミセルロースを栄養源にしています。
セルロースは木材の約50%を占める主要成分で、細胞壁の骨組みとして機能し、木材強度を上げる役割を担っています。
一方、ヘミセルロースは木材の約20%を占めており、セルロース同士をつなぐ接着剤のような役目をになっています。
セルロースが鉄筋コンクリートの鉄筋だとすると、ヘミセルロースはそれらをつなぐモルタルの役割であり、両者の組み合わせにより、木材は強度と柔軟性をあわせもつことができるのです。

シロアリが大顎で削り取った木片は、腸内で0.01〜0.1mm程度まで細かくすりつぶされます。
シロアリの腸内には13種類程度の原生生物と多数の細菌類が存在しており、微生物がセルロースを酢酸へと分解します。この酢酸をエネルギー源として利用する仕組みです。
段ボールがシロアリに狙われやすい理由

段ボールはセルロースとヘミセルロースを含む木材パルプを原料としており、木材よりも柔らかくシロアリにとって食べやすい素材です。
加えて湿気を含みやすく、多湿を好むシロアリにとって活動しやすい環境になり、段ボール内部の波型構造はシロアリの通路になります。通常の木材のようにかみ砕いて移動をする必要がないため、段ボール全体を侵食するまでのスピードが早いのも特徴です。
段ボールがシロアリ被害にあう経路
シロアリは触覚と嗅覚に優れており、庭や玄関先などの屋外に放置された段ボールだけでなく、屋内にある段ボールでも、位置を特定してたどり着くことができます。
また、道中にフェロモンを目印として残すことで、餌の在処や餌までの距離など様々な情報を仲間のシロアリに伝えることが可能といわれています。
参考
『令和7年版シロアリ及び腐朽防除施工の基礎知識 新版』日本しろあり対策協会 2024年
シロアリが屋内の段ボールに侵入する主な経路は以下です。
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蟻道を使った地中からの侵入

シロアリは蟻道と呼ばれるトンネルをつくり、地中から家のなかに侵入し、段ボールまでたどり着きます。蟻道とは、シロアリが土や木くず、排泄物を混ぜ合わせてつくる半円筒状のトンネルで、餌場と巣をつなぐ役割をもちます。
シロアリは経年劣化などで生じた0.6mm程度のわずかな隙間からでも侵入が可能です。床下の基礎を蟻道をつくりながら登り、わずかな隙間を見つけて潜り込むことで家の中に侵入してきます。
羽アリの飛来により侵入

シロアリの羽アリが外から家の中に侵入し、段ボール周辺に直接着地することもあります。
羽アリは新しい巣をつくるために、オスとメスのペアで群れをなして巣から一斉に飛び立つ「群飛」と呼ばれる行動をとります。
群飛の先に、木材や段ボールなどのセルロースを含む素材があると感知した場合、そこで新たな巣づくりを始めます。
群飛の時期はシロアリの種類によって異なります。
日本国内で被害をもたらす主なシロアリ(ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ)の群飛時期は以下です。
| シロアリの種類 | 主な生息地 | 羽アリの群飛時期 |
| ヤマトシロアリ | 北海道北部以外の日本全土 | 2月~3月頃 |
| イエシロアリ | 千葉県から西の沿岸部にある温暖な地域と南西諸島・小笠原諸島 | 5月~7月 |
| アメリカカンザイ
シロアリ |
宮城県から沖縄県までの地域 | 10月~11月 |
| ダイコクシロアリ | 奄美大島以南の南西諸島と小笠原諸島 | 5~8月 |
一般的な住宅の網戸の網目幅は約1.15mm~約1.3mmほどで、1.15mmであれば小型の羽アリは通過可能です。
網戸以外にも洗濯物に付着したり、人の出入りの際に紛れ込んで侵入する場合もあります。
持ち込んだ段ボールにシロアリが潜んでいた
すでにシロアリが付着した段ボールを人が室内に持ち込むケースもあります。
とくに湿気の多いガレージ、倉庫、軒下などで長期間保管されている段ボールには、シロアリが潜んでいる可能性があります。
段ボールを再利用したり、業者から提供された場合、以前保管されていた場所にシロアリがいると、紛れ込んでいることがあり注意が必要です。
使用済みの段ボールはすみやかに処分し、長期保管する場合はプラスチック製の収納ケースに移し替えてください。
やむを得ず長期間段ボールでの保管が必要な場合は、床に直置きはせずに棚やラックの上に置くか、スノコを敷いて床との間に空間をつくるとシロアリ被害のリスクを下げられます。
段ボールのシロアリ被害を見つける方法
段ボールへの被害を放置すると、やがて家屋の床や柱にまで被害が広がる可能性もあります。シロアリの被害にあっている段ボールの見分け方をチェックしましょう。
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茶色い泥の筋(蟻道)が段ボールに付着していないか

段ボールに蟻道(茶色い泥の筋)が付着している場合、シロアリ被害にあっている可能性が高いです。とくに湿気の多い場所や、庭先や畑など屋外に放置された段ボールは蟻道がついてないか念入りに確認してください。
蟻道を発見した場合、すでに被害が別の箇所に進行している可能性があります。シロアリ駆除業者に、なるべく早く現地調査を依頼することをおすすめします。


段ボール表面に不自然な変色はないか

段ボールの変色もシロアリ被害のサインです。シロアリの体液や、移動のためにつくる通り道(蟻道)の湿気で、部分的に変色することがあります。
一般的な汚れと異なり、シロアリによる変色は局所的で不自然な広がり方をするケースが多いです。黒い水濡れ状のシミや、泥のような茶褐色の筋を見つけたら、周辺にシロアリがいるかもしれません。
表面に小さな穴が空いていないか

段ボールの表面に1〜2mm程度の小さな穴がポツポツと開いている場合、シロアリに浸食されている可能性があります。
木材と同じく、段ボールも内側から食べ進められるため、小さな穴を発見したら、段ボールを軽く押して内部が空洞化していないかチェックしましょう。
不自然に柔らかくなっている部分はないか

シロアリ被害にあった段ボールは、中がスカスカになり通常の段ボールよりもフワフワとした感触に変わります。
軽く指で押して、簡単にへこんでしまう箇所や不自然な柔らかさを感じたらシロアリ被害にあった可能性が高いです。
持ち上げたときに予想以上に軽く感じる場合も、中身が空洞化しているサインです。
周辺に透明な羽の破片が落ちていないか

透明な羽が散らばっている場合、シロアリの羽アリが飛来している可能性があります。
羽アリは地上に降り立つと、不要になった羽を自分で切り落とす習性を持っているため、着地した場所に羽が残ります。
たとえ段ボール自体に被害がなくても、別の場所が食害を受けているかもしれません。羽を発見したら、専門業者への診断依頼をおすすめします。


シロアリ以外に段ボールを食べる虫
段ボールに被害を及ぼすのはシロアリだけではありません。それぞれの害虫の特徴を解説します。
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チャタテムシ

| 別名 | 本シラミ(Booklouse) |
| 体の色 | 白色・透明 |
| 大きさ | 1mm程度 |
チャタテムシは、梅雨時期をはじめ湿気の多い季節に増える、体長1〜2mm程度の小さな虫です。
シロアリと異なり紙類そのものを食べるわけではありませんが、チャタテムシはカビを餌とし、通気性の悪い場所の段ボールは理想的な住処です。
また、米や小麦粉、ペットフードなどの乾燥食品にも発生しやすく、気づかず食べるとアレルギーを引き起こす恐れがあります。
チャタテムシは人を刺しませんが、チャタテムシを餌とするダニは人を刺します。チャタテムシの放置はダニ繁殖の原因となる可能性もあるため注意してください。
紙魚(シミ)

| 別名 | 湿虫・雲母虫(きららむし)・箔虫(はくむし) |
| 体の色 | 銀色 |
| 大きさ | 8~10mm |
紙魚は魚のような体形で、素早くくねくね動く虫です。紙を食べる習性があり、段ボールの表面をかじってボロボロにすることがあります。
ただし、シロアリのように穴を開けるほどではありません。夜行性のため、昼間は暗い場所や隙間、書庫や納戸などに潜んでおり、段ボールはかっこうの隠れ場所になります。
寿命は7〜8年と長く、餌がない状態でも1年以上生き延びる生命力の強さが特徴です。
人を刺したり噛んだりはしないため、数匹見かけた程度なら心配する必要ありません。駆除する場合は、エアゾール系の殺虫剤が効果的です。
シバンムシ

| 種類 | タバコシバンムシ・ジンサンシバンムシ |
| 体の色 | 茶褐色 |
| 大きさ | 2~3mm |
シバンムシは体長2〜3mm程度の小さな甲虫で、一般的な種類はタバコシバンムシです。
名前の由来はタバコの葉に被害を与えることからで、実際には粉類、菓子、乾麺といった食品から段ボール、畳、ドライフラワー、書籍まで食べる雑食です。
シバンムシ自体は人を刺したり毒を撒き散らしたりしませんが、二次被害として幼虫に寄生するアリガタバチが発生するリスクがあります。
アリガタバチは体長2mm程度の寄生蜂で人を刺すことがあり、刺されると赤く腫れ、強いかゆみや痛みが出ます。
古い食品や長期間放置された段ボール、乾燥食材などを点検し、発生源となっているものは密閉して処分してください。
ゴキブリ

| 種類 | クロゴキブリ | チャバネゴキブリ |
| 体の色 | 黒色 | 茶色 |
| 大きさ | 3〜4cm | 1〜1.5cm |
日本でよく見かけるのは体長1〜1.5cmのチャバネゴキブリと、3〜4cmのクロゴキブリの2種類です。
チャバネゴキブリは屋内での活動を好み、夜行性ながら昼間でも姿を見かけます。一方、クロゴキブリは主に屋外や排水口の中で活動し、夜間に屋内へ侵入するケースが多いです。
どちらの種類も、段ボールの隙間を隠れ場所として好む習性があります。押入れや戸棚の中などの薄暗い場所で、段ボールの長期放置は避けましょう。
ダニ

| 種類 | チリダニ | コナダニ | ツメダニ |
| 体の色 | 乳白色 | 乳白色 | 淡い黄色 |
| 大きさ | 0.4mm | 0.3~0.5mm | 0.5mm |
家庭でよく見られるのはチリダニ、コナダニ、ツメダニの3種類で、大きさは0.3〜0.5mm程度です。
ダニは人の皮脂やカビといった有機物を餌とし、暗く繊維の多い場所を好みます。段ボールの繊維質で、隙間の多い構造は、ダニにとって住み心地のよい環境です。
配送過程で倉庫や路上に置かれた段ボールはすでにダニが付着していたり、卵が産みつけられていたりするため、注意が必要です。
段ボール内で繁殖したダニの死骸やフンは乾燥すると粉塵となり、ハウスダストとして空気中に浮遊します。喘息やアレルギーの原因になるため、使用済み段ボールの長期保管は避けてください。
基本的にはすみやかな処分がもっとも安全ですが、再利用する場合は、晴天時に数時間天日干しをしてダニを死滅させてから使用してください。
段ボールにシロアリを発見したときの対処法
シロアリによる段ボールへの被害を発見したときは、段ボールを捨てるだけでは不十分です。被害状況を記録し、専門業者に相談する準備をしましょう。
発生場所の記録
専門業者に相談する際の重要な資料になるため、スマートフォンなどで発生場所とシロアリの写真を撮影します。
撮影する際は、段ボール全体の様子、シロアリが集まっている箇所、蟻道や被害部分をアップで撮るなど、複数のアングルから記録してください。
また発見日時や場所をメモしておくと、業者への説明がスムーズです。
シロアリを室内や敷地内で発見した場合、他の場所が被害にあっている可能性が高いです。診断だけなら無料で現地調査をおこなってもらえる業者も多いので、駆除業者を利用しましょう。


シロアリ被害にあった段ボールを厳重に袋に詰めて捨てる
シロアリ被害にあった段ボールは、すぐに大きなゴミ袋へ入れて処分しましょう。袋の口はしっかりと縛り、室内にシロアリが広がらないよう要注意です。
段ボールを動かす際は、床にシロアリが落ちないよう慎重に扱い、袋に入れた後はできるだけ早く屋外のゴミ置き場へ運びます。
シロアリはすでに周辺の木製品や壁へ移動している可能性があるため、段ボールを捨てるだけでは対策として不十分です。
段ボールがあった場所の周囲を丁寧に点検し、蟻道やシロアリの羽がないか確認してください。
付近を掃除機で吸引
段ボール周辺で発見したシロアリや羽アリは、掃除機で吸い取って処理しましょう。通常の掃除機であれば、吸引時の圧力で多くが死滅します。
ただし、ハンディクリーナーは吸引力が弱く、生き残る恐れがあるため、狭い隙間でもスキマ用ノズルを使用して掃除機で吸い取るようにしましょう。
掃除機では吸いきれないフローリングの溝や部屋の隅は、ガムテープがおすすめです。粘着面を押し当てるだけで捕獲でき、シロアリは皮膚呼吸のため、テープが体に貼りつくと窒息して死にます。
シロアリ発見時にやってはいけないNG行動
シロアリを発見した際に誤った対処をすると、被害が広がる恐れがあります。避けるべき行動を確認しておきましょう。
殺虫剤の使用
シロアリを見つけても、殺虫剤を使って駆除するのはやめましょう。目の前のシロアリが死んでも、周囲にいる仲間が危険を察知して家中へ散らばり、被害が拡大します。
シロアリは巣に数千から数万頭単位で生息しているため、散らばると後の駆除が困難です。
被害にあった段ボールに刺激を与える
シロアリ被害にあった段ボールを叩いたり、強く揺らしたりして刺激を与えることも避けてください。刺激によってシロアリが警戒し、散らばってしまう恐れがあります。
また、蟻道を発見しても、慌てて壊さないようにしてください。
蟻道を壊すと、シロアリは別の場所へ移動して新たな通り道をつくり始めます。被害範囲が広がり、駆除が難しくなるため、蟻道はそのまま残しておきましょう。蟻道が付着している段ボールは慎重に運び、ゴミ袋に入れて処分してください。
巣ごと根絶する方法
ベイト工法は、シロアリが好む木材成分と薬剤を混ぜ合わせてつくる「ベイト剤」を巣に持ち帰らせ、巣ごと根絶する駆除方法です。
薬剤散布をしないため、ペットや赤ちゃんがいる家庭、化学物質過敏症の方、薬剤のニオイが気になる方でも安心して施工できます。

| ベイト工法 | |
| 仕組み | ベイト剤(毒餌)をシロアリに持ち帰らせ、巣ごと駆除する |
| 施工箇所 | 建物の外周、被害箇所 |
| 使用薬剤 | 脱皮阻害剤・IGR剤 |
| 持続性 | 1カ月ごとの定期的なメンテナンスが必要 |
| 安全性 | ペット、妊婦、赤ちゃん、アレルギー体質や化学物質過敏症の方でも安心して使える |
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段ボール周辺のシロアリ被害をチェック
室内の段ボールにシロアリが発生した場合、木材部分や畳などへの被害拡大の可能性があります。ほかの場所も被害にあっていないかチェックしましょう。
チェック項目1|木材に小さな穴や崩れはないか

木材の表面に小さな穴や崩れがないか、まずは目で確認してください。シロアリは風や光を嫌うため、木材の内側から食害を進めます。
外から見ただけでは被害がわかりにくく、表面が無傷でも内部は空洞化している場合があります。玄関の框やドア枠などの木材を軽く叩いて、通常とは異なる軽い音や響きの場合は、内部が食べられている証拠です。
木材を指で押したときに簡単にへこんだり、崩れたりする場合も要注意です。少しでも怪しいと感じたら、自己判断せず駆除業者に相談するのが安心です。
チェック項目2|床や畳がきしむ・沈む感覚はないか

床を歩いたときにギシギシときしむ音がしたり、足が沈む場合は床下の木材がシロアリに食べられている可能性があります。
畳も被害にあいやすく、芯材として使われている藁をシロアリは好んで食べます。畳を持ち上げて裏側や下の板に土のような塊(蟻土)がついていないか確認してみましょう。
チェック項目3|庭の木製構造物にシロアリの痕跡がないか
古くなった木材や枯れた植木は、シロアリにとってちょうどいい餌場になります。庭にウッドデッキや木製のフェンス、枕木、切り株などがある場合は、シロアリの痕跡を探しましょう。
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とくに切り株や腐った杭は空洞化していることが多く、知らないうちにシロアリから侵入されている恐れがあります。
また、庭に段ボールや古新聞を放置している場合も要注意です。木材と同じくシロアリの餌になるため、放置せず早めに処分してください。
シロアリは住宅に深刻な被害をもたらす

シロアリは住宅本体にも深刻なダメージを与えます。放置すると建物の安全性が脅かされ、修繕に多額の費用がかかります。
見つけたら早めに駆除することが、経済面でも安全面でも重要です。
シロアリ被害がもたらす建物の耐久度低下
シロアリ被害を放置すると、建物の耐久性が著しく低下します。床下や柱、壁などの重要な構造部分が食べられると、住宅全体を支える力が失われるためです。
研究によれば、断面がわずか16%減少しただけで、木材の圧縮強度と曲げ強度は約半分にまで落ちることがわかっています。見た目以上に内部の強度低下のリスクが高くなるのです。
実際に阪神淡路大震災や熊本地震では、倒壊した建物の多くでシロアリ被害が確認されました。地震が多い日本では、シロアリ対策を怠ると地震時の倒壊リスクが高まります。
単なる害虫問題ではなく、家族の安全に直結する問題として認識しましょう。
修繕・リフォーム費用がかかる
シロアリ被害を放置すると、修繕やリフォームに多額の費用がかかります。修繕だけでなく、柱や床材、壁材の交換が必要になるためです。
被害が軽いうちに対処すれば数万円〜十万円で済むところが、放置した結果、数百万円規模のリフォームが必要になるケースも珍しくありません。
シロアリ被害の修繕費用は以下の通りです。
| 補修場所(1カ所あたり) | 相場 |
| 床下の補強(腐食した木材の交換など) | 20~50万円程度 |
| 柱の補強 | 10~50万円程度 |
| 床材の張り替え | 100〜200万円程度 |
| 柱の交換 | 100~200万円程度 |
| 建物基礎部分の補強 | 200万円以上 |
| 屋根や梁の修繕 | 200万円以上 |
早期発見・早期対応が、結果的に家計への負担を最小限に抑えられます。定期的な点検で被害を見逃さず、少しでも異変を感じたら専門業者に相談しましょう。
段ボールのシロアリ被害を予防する方法
大前提として、使った段ボールは早めに処分すべきですが、そうしても保管が必要な場合のために、おすすめの保管方法を解説します。
段ボールは乾燥した場所で保管する
シロアリは湿度の高い環境を好み、地面をつたって住宅に侵入しています。段ボールはシロアリが侵入しにくい、乾燥した場所に保管してください。
適した保管場所は以下のとおりです。
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段ボールのシロアリ被害を防ぐには、湿気対策と早めの処分が重要です。壁や床に密着させず隙間を空けて置き、定期的に換気しましょう。
とくに段ボールを置いてはいけないのは以下の場所です。
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床下は土壌からシロアリが侵入しやすいため避けましょう。浴室や台所など水まわりに近い場所も、湿度が高く風通しの悪いため危険です。
また、庭先や畑、駐車場、ベランダといった屋外に放置するのは絶対にやめましょう。地中のシロアリが段ボールを食べ、そのまま建物に侵入するケースがあるためです。
原則として段ボールは長期保管しない
使わない段ボールはすぐに処分し、収納としての使用は避けましょう。知らぬ間に、うっかり放置してしまっているケースも多いです。とくに下記のケースに当てはまるものがないか、見直してください。
段ボールを長期間放置しやすいケース
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シロアリ被害から家全体を守る予防法
段ボールだけでなく、シロアリが棲みつきにくい環境にすることで建物の寿命が延び、家族が安心して暮らせます。
シロアリから住宅を守るには、以下の予防法が有効です。
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除湿の徹底で床下の湿度を下げる
シロアリは湿度70〜80%程度の環境を好むため、床下の湿度をそれ以下に保つと被害リスクを減らせます。具体的な除湿方法は以下のとおりです。
床下換気口が物で塞がれていないか確認

外壁の基礎部分にある換気口の位置を調べ、荷物や植木鉢などを置いていないか確かめてください。また、雑草が伸びて換気口を覆っていないか、網にゴミや落ち葉が詰まっていないかもチェックが必要です。
どこか1カ所でも塞がっていると、床下全体の換気がうまくいかず、湿度が上がってしまうため、すべての換気口の点検をおすすめします。
床下換気扇の設置

床下の湿気が滞りやすい住宅には、床下換気扇の設置が有効です。モーターでファンを回して湿った空気を外へ排出し、新鮮な外気を取り入れることで床下の湿度を下げられます。
換気口が小さくて十分な換気ができていない場合や、床下からカビのニオイがする場合に有効です。
1階の床面積が30坪(約90平方メートル)までの住宅であれば、2台から4台の設置で十分な効果が得られます。設置費用は10万円〜30万円が目安です。
防湿シートの設置

床下の地面から上がってくる湿気を遮断するには、防湿シートが有効です。床下の水分は大半が土壌から供給されるため、地面全体にシートを敷くと根本的な対策になります。
ただし、湿気を遮断するには床下全面に敷く必要があり、局所的な施工では十分な効果が得られません。住宅の構造によっては全面施工が難しい場合もあるため、事前に確認しましょう。
住居基礎部分のひび割れを点検

住居の基礎部分に生じたひび割れは、シロアリの侵入経路になるため定期的に点検が大切です。
ひび割れは乾燥による収縮、気温変化、地震などさまざまな原因で発生します。シロアリはわずか0.6ミリの隙間があれば侵入できると言われており、小さな割れ目も見逃せません。
応急処置として、市販されている基礎・ブロック塀用の補修材を使う方法もありますが、シロアリ駆除業者に調査とあわせて補修を依頼するのが確実です。
配管周りの隙間を点検

水道管やガス管など、外壁や基礎を貫通する配管の周辺に隙間がないか点検しましょう。基礎のひび割れと配管周りの隙間はシロアリの侵入経路になります。
応急処置として市販のシーリング材を使用する方法は、ポリウレタン系のシーリング材は塩ビ管を劣化させます。
シーリング材の成分と配管の素材に化学的な相性の問題がないか、製品の注意書きを確認してから使用しましょう。確実な処置を希望する場合は、シロアリ駆除業者に調査と配管の隙間補強を依頼するとよいでしょう。
薬液散布で床下にバリアを貼る

バリア工法は、シロアリが暗く湿った環境を好む性質を利用した駆除方法です。土中から床下へ侵入する経路に薬剤を散布してバリアを張り、シロアリの侵入を防ぎます。
| バリア工法 | |
| 仕組み | 床下に薬剤を散布してバリアをつくり、シロアリの侵入を防止・直接駆除 |
| 施工箇所 | 床下、玄関など |
| 使用薬剤 | 液状の薬剤 |
| 持続性 | 5年間 |
| 安全性 | 高いが、化学物質過敏症の場合は非推奨 |
もっとも一般的な施工方法であり、薬剤を処理した箇所には即座に効果が現れるのが特徴です。ただし、巣の根絶を目的とした工法ではないため、すでに建物内へシロアリが侵入している場合は十分な効果が期待できません。
また、施工には高い技術と専門的な道具が必要なためDIYは難しいです。
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確実な効果を得るには、経験豊富で信頼できる専門業者を選ぶことが大切です。
まとめ
シロアリは木材だけではなく、段ボールも餌にします。被害を防ぐには日頃からのチェック・予防が大切です。
段ボールに茶色い泥の筋(蟻道)が付いていないか、周辺に羽アリの死骸や羽が落ちていないか、床や壁に変色や湿気がないかを定期的に確認しましょう。
さらに、使用済みの段ボールをすみやかに処分する、湿気の多い床下や押入れ、ガレージなどに長期保管しない、などの予防も大切です。
シロアリ被害は目に見える症状が小さくても、床下や壁の内部がボロボロになっている可能性が高いため、早期発見・早期対処が住宅の資産価値を守るうえで非常に重要です。
シロアリお助け本舗では無料診断を実施しています。お気軽にご相談ください。









