住宅や庭で、木材のそばにいる白い虫を見つけて「もしかしてシロアリかも…」と不安になっていませんか?
その虫はシロアリの可能性があり、放置すると羽の生えた成虫になって飛び立ち、被害拡大の恐れがあります。
本記事では、シロアリの成虫の正体から、種類ごとの見分け方、見つけた際の正しい対処法、被害を防ぐ予防策までを解説します。


このような方におすすめ
- シロアリの「成虫」と「幼虫」の違いを詳しく知りたい方
- シロアリの種類ごとの見分け方を知りたい方
- シロアリの成虫(羽アリ)を発見したときの対処法を知りたい方
- 具体的なシロアリの予防方法を知りたい方
Contents
シロアリの成虫とは?
実は「シロアリの成虫」という言葉は少し複雑で、文章の内容によってどの状態を指すのかが違います。
シロアリの生態を正しく理解するために、まずはこの「成虫」の正体をハッキリさせましょう。
シロアリの成虫とは羽アリを指す
昆虫学の定義に基づけば、シロアリの成虫は「羽アリ」のことを指します。
そもそも「成虫」とは、昆虫が成長しきって、子孫を残すための生殖活動ができるようになった最終的な姿のことです。
シロアリの社会(コロニー)では、この役割を担うのは羽アリだけなので、羽アリが成虫に分類されます。

シロアリは不完全変態の昆虫で蛹にならない
昆虫は、成長するときに体の形を変えます。このことを「変態(へんたい)」と呼びます。
シロアリの成虫を知るうえでも、この「変態」の仕組みを理解することが重要です。
変態には、蛹(さなぎ)の時期を経る「完全変態」と、蛹を経ない「不完全変態」の2種類があります。

代表的な昆虫の例
- 完全変態:蝶、カブトムシ、ハチなど
- 不完全変態:シロアリ、バッタ、トンボ、セミなど
シロアリは「不完全変態」に分類される昆虫です。
卵からかえった幼虫は、脱皮を繰り返しながら少しずつ大きくなり、やがて成虫へと育ちます。
蛹の期間がないため、幼虫から成虫になっても見た目が劇的に変わることはありません。
シロアリの成虫に関する解釈が分かれる理由
シロアリの成虫の解釈が複雑になるのは、シロアリが「社会性昆虫」だからです。
巣の中では、それぞれの役割に応じて「生殖階級(女王・王)」「兵蟻階級」「職蟻階級」に分かれ、集団で生活しています。
この中で、生殖能力をもつ成虫(羽アリ)になるのは、巣全体のわずか2%ほどです。
残りの90%以上を占める職蟻(働きアリ)や兵蟻は、生殖機能をもたないため、厳密な定義では成虫から外れます。

文章の内容によっては、生殖機能をもたない職蟻や兵蟻も「成虫」と呼んでいます。
しかし、昆虫学の厳密な定義(=生殖能力をもつ)に照らせば、これは誤りです。
とはいえ、職蟻や兵蟻の成熟した状態を指す呼び名が他にないために便宜上「成虫」と呼ばれるのです。
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シロアリの成虫(羽アリ)の特徴と生態
成虫(羽アリ)は新しい巣をつくるという重要な役割をもちます。あらためて成虫の見た目や役割について解説します。
シロアリの成虫(羽アリ)の見た目|大きく透明な羽が生えている

シロアリの成虫(羽アリ)は、白くて小さな職蟻とは見た目が大きく異なります。
| 体長 | 5mm〜10mmと種類によってサイズに幅がある |
| 体色 | 黒色や赤褐色 |
| 体型 | くびれがなく、胸部と腹部が一体化したような見た目で「寸胴(ずんどう)」な体型 |
| 羽 | くすんだ透明感のない色をしていて、羽にある翅脈の模様が細かく繊細 |
| 触角 | まっすぐで、小さな玉が連なったような形 |
成虫の特徴的な部分はくびれのない寸胴な体型と、まっすぐで数珠のような触角です。
他の虫(とくにクロアリ)と見分けるときは、体型と触角に注目しましょう。

シロアリの成虫(羽アリ)の役割|新しい巣の形成
シロアリの成虫(羽アリ)がもつ役割は新しい巣をつくることです。
シロアリの成虫は巣の個体数が増えて手狭になったり、餌となる木材が近くになくなったりすると、新しい場所を求めて集団で一斉に飛び立ちます。
この行動は「群飛(ぐんぴ)」と呼ばれ、春から夏(4月〜8月頃)によく見られる現象です。

地上に降り立った羽アリは、すぐに役割を終えた羽を自ら切り落とし、雌雄がペアとなります。
そして、巣作りに適した湿った木材の隙間などを見つけると、そこに潜り込んで最初の王と女王となり、産卵を開始して新しいコロニーを築くのです。
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成虫以外の階級と役割
シロアリの成虫の役割は新しい巣をつくることですが、他の階級のシロアリは違います。
階級ごとの役割の差について解説します。
兵蟻階級

兵蟻(へいぎ)は、巣を守る役割に特化した「兵隊」のような階級です。
見た目の最大の特徴は、武器となる発達した大きなアゴです。
| 数 | 巣全体の2〜3% |
| 寿命 | 5年 |
| 役割 | ・外敵からの防衛 |
このアゴは防衛に特化しているため木材をかじることはできず、自分で餌を食べることもできません。
そのため、生命を維持するための食物は、職蟻からの口移しや糞食によって供給されます。
職蟻階級
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卵から孵化した後、幼虫から分化して生まれるのが職蟻(しょくぎ)です。
職蟻は、いわゆる「働きアリ」とも呼ばれ、巣の生命線となる重要な存在です。
| 数 | 巣全体の90〜95% |
| 寿命 | 5年 |
| 役割 | ・餌の採取運搬 ・巣や蟻道の構築、修理、清掃 ・生殖階級や幼虫、兵蟻の世話 |
餌の採取から運搬、巣や蟻道(ぎどう)と呼ばれるシロアリが移動するための土のトンネルの構築・修理、そして女王や兵蟻、幼虫の世話まで、巣を支えるすべての仕事を担っています。
また、職蟻の中でも胸部の背面に翅芽(しが)と呼ばれる羽の元になる部位をもつ個体は「ニンフ」と称され、将来、成虫である羽アリ(有翅虫)になります。
シロアリ成虫の種類別特徴と見分け方
世界には約3000種類以上のシロアリがいますが、日本で主要な害虫とされているシロアリはヤマトシロアリ、イエシロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリの4種類です。
それぞれの種類の成虫(羽アリ)の特徴や見分け方を解説します。
| 種類 | 見た目の特徴 (色・大きさ) |
主な群飛時期 | 主な群飛時間帯 |
| ヤマトシロアリ | 黒褐色 4.5~7.5mm |
4〜5月頃 | 昼間 |
| イエシロアリ | 茶褐色 7~10mm |
6〜7月頃 | 夕方〜夜 |
| アメリカカンザイシロアリ | 黒褐色(頭部は赤褐色) 7~10mm |
5〜10月頃 | 昼間〜夕方 |
| ダイコクシロアリ | 黄褐色 5~6mm |
5〜8月頃 | 夕方〜夜 |
ヤマトシロアリの成虫
日本でもっとも被害件数が多く、全体の90%以上を占めると言われているのがヤマトシロアリです。
建物の土台や床下など、地面に近い部分から侵入することが多く、気づかないうちに被害が進行してしまうケースが多いです。
ヤマトシロアリの分布

北海道北部(名寄市が北限)をのぞく、日本全土に生息しています。
ヤマトシロアリの見た目の特徴

成虫の体長は4.5〜7.5mmです。体全体は黒褐色で、よく見ると胸部に黄色の特徴的なラインが入っています。
群飛の時期は、西日本では4月下旬から5月、東北から北海道では6月頃です。
成虫は、とくに雨が降った翌日のよく晴れた日の午前中に飛び立つ傾向があります。
住宅にもたらす被害
ヤマトシロアリは乾燥に非常に弱く、1日でも水が摂れないと活動できなくなるため、湿った木材を好んで侵食します。
とくに被害にあいやすいのは、マツやモミ、ブナといった比較的柔らかい木材です。
これまで被害の多くは、風呂場や洗面所、台所などの水回りに集中していました。
しかし、最近は個体数が増加し、餌を求めて活動範囲が広がった結果、玄関や土台部分にまで被害が及ぶケースも増えています。
結露や水漏れによって常に水分が供給される環境では、被害が住宅全体に及ぶこともあります。
イエシロアリの成虫
イエシロアリは、最大100万匹にも達する巨大な巣(コロニー)をつくるため、個体数そのものが圧倒的に多いです。
侵食のスピードが速く、被害が甚大になりやすいのが特徴です。
日本国内での被害件数はヤマトシロアリに次いで2番目に多く、全体の7〜8%程度を占めます。
イエシロアリの分布

千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域と、小笠原諸島などに生息しています。
イエシロアリの見た目の特徴

体長は7〜10mm程度と、ヤマトシロアリより一回り大きめです。体は茶褐色で、頭部は暗い褐色となっています。
群飛の時期は、6月から7月上旬(沖縄や小笠原では5月下旬)です。
成虫は蒸し暑い日の日没後に一斉に飛び立ちます。少し雨が降っていても発生するのが、ヤマトシロアリとの違いです。
住宅にもたらす被害
イエシロアリの恐ろしさは、その活動範囲の広さと巣の巨大さです。
最大で半径100mにも及ぶ範囲で活動し、数軒の住宅を同時に侵食することもあります。
ヤマトシロアリと同様に乾燥に弱いですが、自ら水を運ぶ能力があるため、乾燥した木材でも湿らせながら侵食可能です。
被害は床下だけでなく、柱や壁の内部を通り、建物全体に及ぶ事例もあります。
アメリカカンザイシロアリの成虫
アメリカカンザイシロアリは、もともと日本にはいなかった外来種です。輸入家具や建材に付着して日本国内に持ち込まれました。
1976年に東京都江戸川区の木造2階建共同住宅で初めて発見され、1979年に兵庫県、1980年に和歌山県、1982年に神奈川県と次々に生息が確認されました。
アメリカカンザイシロアリの分布

宮城県仙台市から沖縄本島まで、全国の都府県に点在して被害が報告されています。
アメリカカンザイシロアリの見た目の特徴

体長は7〜10mm程度、体は黒褐色で、頭部は赤褐色です。
群飛の時期は地域によって異なり、関東では5月頃、関西では10月から11月頃に見られます。
主に日中から夕方に発生し、一度に大群で飛び立つことはなく、同じ巣から複数回に分けて少数の羽アリが飛ぶのが特徴です。
住宅にもたらす被害
名前の通り乾いた木材(乾材)を侵食します。また、土の中ではなく木材の中に直接巣をつくるため、発見が非常に困難です。
被害場所は屋根裏の部材が39%ともっとも多く、次いで外構部材が23%、室内部材が20%となっています。
参考
中島正夫(2006).関東支部における蟻害・腐朽を対象とした床下実態調査の概要 しろあり.No.145.27-33.
報告されている被害件数は、カンザイシロアリ全体で0.3%程度と少ないです。
しかし、発見の難しさから、実際にはさらに多くの被害が潜在していると考えられます。
ダイコクシロアリの成虫
ダイコクシロアリは、日本の在来種です。アメリカカンザイシロアリと同じく、乾いた木材を侵食するシロアリです。
ダイコクシロアリの分布

奄美大島以南の南西諸島や小笠原諸島など、年間を通じて温暖な地域に限定して生息しています。
ダイコクシロアリの見た目の特徴

成虫の体長は5〜6mmとやや小型。体は黄褐色です。
生態はアメリカカンザイシロアリと似ており、羽アリは一度に大群で飛び立つことはありません。
条件が整えば、同じ巣から年間で複数回に分けて分散して発生する傾向があります。
住宅にもたらす被害
アメリカカンザイシロアリ同様に発見が難しく、被害場所も屋根裏の部材などでよく見られます。
特徴的なのは家具類への侵食で、ピアノ、ステレオ、机、タンス、鏡台といったものからも被害が見つかっています。
報告されている被害件数はカンザイシロアリ全体で0.3%の一部です。
しかし、発見の難しさから、報告されていない被害が隠れている可能性があります。
シロアリの成虫と似ている虫と見分け方
住宅の中で羽のついた虫を見つけたとき、本当にシロアリなのか、それとも別の虫なのかを正確に判断することは、その後の対応を決めるうえで重要です。
ここでは、シロアリの成虫(羽アリ)とよく間違えられる3種類の虫の見分け方を解説します。
クロアリの羽アリ

シロアリの羽アリともっとも混同されやすいのが、クロアリの羽アリです。
クロアリもシロアリと同様に、春から夏にかけて羽アリが一斉に飛び立ちます。
体のつくりをよく見ると、ハッキリとした違いがあります。
| 特徴 | シロアリの羽アリ | クロアリの羽アリ |
| 胴体 | くびれがなく寸胴 | 腰がハッキリとくびれている |
| 羽の大きさ | 4枚ともほぼ同じ大きさ | 前の羽が後ろの羽より大きい |
| 触角の形 | まっすぐな数珠状 | 「く」の字に曲がっている |
ヤマトシロアリの羽アリは体色が黒っぽいため、「黒いからクロアリだ」と色だけで判断するのは危険です。
必ず胴体のくびれや羽の大きさで判断しましょう。クロアリはシロアリと違い、木材を食べることはありません。
ただし、砂糖などの食品に群がったり、住宅の隙間に巣をつくったりすることがあるため、害虫としての対策が必要です。
キノコバエ

キノコバエは、室内の観葉植物の土や、湿った場所から発生することが多い小型のハエの仲間です。
体長は2〜5mm程度で、体の色は黒色から暗褐色をしています。
シロアリの成虫と比べると、小さくて細い体つきで、脚が長くて目立つのが特徴です。
また、触角が体長と同じくらいか、それ以上に長い点も大きな違いです。
人間に対する直接的な被害はほとんどありませんが、大量発生すると不快に感じられる「不快害虫」に分類されます。
チャタテムシ

チャタテムシは、高温多湿な環境を好み、カビやホコリなどを餌にする昆虫です。
体長は1〜2mm程度と非常に小さく、体色は淡黄色から淡褐色をしています。
シロアリの成虫よりずっと小さいことに加え、触角が細く長く、羽がより薄く透明である点も違いのひとつです。
カビや有機物を食べ、書籍や壁紙、食品などに被害を与えることがあります。
人を噛むなど直接的な被害はないものの、死骸の粉を吸い込むと喘息などのアレルギーの原因になる可能性があります。
チャタテムシが大量発生している場合、その住宅はシロアリにとっても好ましい環境であるといえます。
シロアリによる被害
シロアリの成虫を見かけた場合「数匹なら大丈夫」と軽く考えてはいけません。見えない場所で、被害が拡大している可能性があるのです。
シロアリがもたらす被害は、主に「建物の安全性」と「経済的な負担」という、2つの側面があります。
シロアリ被害がもたらす建物の耐久度低下

シロアリ被害のもっとも恐ろしい点は、住宅の安全性をじわじわとおびやかすことです。
シロアリは建物を支える柱や土台といった重要な木材の、内部だけを好んで食べ進めます。
その結果、外見はなんともなくても、内部はスカスカのスポンジ状になっていることも少なくありません。
ある強度試験では、シロアリの食害によって木材の断面がわずか16%減少しただけで、建物を支える力(圧縮強度や曲げ強度)は約半分にまで低下したという結果も出ています。
普段の生活では気づかなくても、地震や台風により最悪の場合は倒壊するリスクが高まるのです。
実際に、1995年の阪神・淡路大震災や2016年の熊本地震では、全壊した建物の多くがシロアリ被害にあっていたことがわかっています。
シロアリ対策は、単なる害虫駆除ではなく、家族の安全を守るための耐震対策でもあるのです。
修繕・リフォーム費用がかかる
もう一つの深刻な被害は、金銭的な負担です。
シロアリ被害の対応にかかる費用は、「駆除費用」と「修繕費用」の2段階で考えなければなりません。
シロアリ被害の初期段階で対処すれば、駆除費用だけで済む可能性が高いです。
しかし、発見が遅れ、住宅の内部がボロボロになってしまうと、駆除に加えて大規模な修繕・リフォーム工事が必要になります。
費用は被害の範囲によっては数百万円に達することも珍しくありません。
| 補修場所(1箇所あたり) | 相場 |
| 床下の補強(腐食した木材の交換など) | 20~50万円程度 |
| 柱の補強 | 10~50万円程度 |
| 床材の張り替え | 100~200万円程度 |
| 柱の交換 | 100~200万円程度 |
| 建物基礎部分の補強 | 200万円以上 |
| 屋根や梁の修繕 | 200万円以上 |
シロアリ被害が比較的軽微なうちに駆除や対策をしておけば、大規模な修繕・リフォームは不要です。
結果的にトータルの支出を抑えられるため、早期発見・早期対応で大切な資産を守ることをおすすめします。


シロアリの成虫を発見したときの適切な対処法
住宅の中でシロアリの成虫を見つけても慌てずに対処しましょう。
発生場所の記録
目の前にいる成虫を処理しつつ、後々の駆除のために重要な情報を記録することが最初のステップです。
スマートフォンで、羽アリが「どこから」「どのくらいの数」で発生しているのかを撮影しておきます。
この記録は、後に専門家へ相談する際に、被害状況を正確に伝える重要な資料です。
室内や敷地内でシロアリを発見したということは、すでに被害にあっている可能性が高いです。
被害の全貌を正確に把握するためにも、まずは専門の駆除業者に相談することをおすすめします。
無料診断も実施しているので、気になる方は下記のリンクよりご連絡ください。
付近を掃除機で吸引
記録したあとは、掃除機で吸い取るのがもっとも手軽で確実な処理方法です。
シロアリは体が非常に弱いため、掃除機の吸引による衝撃だけでほとんどが死んでしまいます。
万が一生き残った場合に備えて、吸い込んだあとはゴミ袋の口をしっかりと閉めて捨てましょう。
掃除機が使えない場所では、粘着テープや粘着シートの使用も有効です。
シロアリ発見時にやってはいけないNG行動
シロアリを発見した際、多くの人が手に取ってしまうのが市販の殺虫スプレーですが、使用はNGです。
市販の殺虫剤には、虫が嫌がる「忌避(きひ)性」のある成分が含まれています。
これを噴射すると、薬剤に直接かかった個体は死にますが、生き残ったシロアリや巣の中にいる仲間たちは危険を察知し、薬剤のかかっていない安全な場所へと逃げ出してしまいます。
その結果、これまで被害がなかった住宅の別の場所へと移動し、そこから新たに食害を始めてしまうのです。
被害範囲を意図せず拡大させてしまうリスクがあるため、殺虫スプレーの使用は避けてください。
また、シロアリの通り道である「蟻道(ぎどう)」を見つけても、慌てて壊さないようにしましょう。
危険を察知したシロアリは、壊されたルートを避けて別の場所に新たな蟻道をつくり直します。
かえって被害を拡大させたり、駆除を困難にしたりする恐れがあるのです。
巣ごと根絶する方法
掃除機による吸引などの応急処置は、あくまでその場しのぎの一時的な対策に過ぎません。
シロアリの成虫が発生したということは、その床下や壁の中に数万匹規模のコロニーがすでに形成されていてもおかしくありません。
被害の進行を止め、建物を守るにはシロアリ駆除業者による駆除がもっとも効果的です。
代表的な駆除方法は、「バリア工法」と「ベイト工法」の2種類。
いずれも市販の薬剤を使って自分で施工することもできますが、専門業者に依頼したほうがより大きな効果を期待できます。
バリア工法
住宅の床下にシロアリ駆除・予防のための薬剤を満遍なく散布する施工法です。
すでに土中に侵入しているシロアリを駆除すると同時に、新しいシロアリが侵入できない層(バリア)をつくります。
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ベイト工法
地中に「ベイト剤」と呼ばれる毒餌を仕込み、それをシロアリに巣まで持ち帰らせることで、巣そのものの根絶を狙う駆除方法です。
床下がない、薬剤散布は体調への影響が不安といった理由で、バリア工法が使えない住宅で施工されます。
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シロアリ被害から住宅を守る予防法
シロアリ被害から住宅を守るには、日頃からシロアリを寄せ付けない環境づくりが大切です。
ここでは、シロアリを寄せ付けないための5つの予防法を紹介します。
5つの予防法
- 除湿の徹底で床下の湿度を下げる
- 住宅基礎部分のひび割れを点検
- 配管周りの隙間を点検
- 住宅周辺の環境整備で侵入経路を断つ
- 薬液散布で床下にバリアを貼る
ただし、すでにシロアリが住宅の中に侵入している場合、予防策だけでは意味がありません。
その場合は専門家による駆除を検討しましょう。
除湿の徹底で床下の湿度を下げる
シロアリは湿度70〜80%程度の湿った環境を好みます。
そのため、住宅、床下の湿度をこの数値以下に管理することで被害リスクを軽減できます。
具体的には、以下のポイントを改善しましょう。
換気口の確認:基礎にある換気口の前が物で塞がれていないか確認しましょう。

床下換気扇の設置:強制的に空気を循環させ、湿気を外に逃がします。

防湿シートの敷設:地面から上がってくる湿気を物理的に遮断します。

除湿機能の活用:すでに室内に湿気が多い場合は、エアコンの除湿(ドライ)機能や除湿機をうまく活用し、住宅全体の湿度を下げましょう。
住宅基礎部分のひび割れを点検
建物の基礎部分に生じたひび割れは、シロアリの格好の侵入経路となります。
シロアリは幅0.5mm以上のわずかな隙間があれば侵入できると言われています。
定期的に住宅の周りを点検し、ヒビを発見した場合は、外壁塗装会社をはじめ専門業者に補修を依頼するのが確実です。
応急処置として、市販されている基礎・ブロック塀用の補修材を一時的に使うのも有効です。

配管周りの隙間を点検
基礎のひび割れと同様に、水道管やガス管などの周辺にできる隙間もシロアリの侵入経路です。
専門業者に依頼して塞いでもらうのが確実ですが、応急処置として市販のシーリング材を使う方法もあります。
ただし、シーリング材と配管の相性には注意が必要です。
とくにポリウレタン系のシーリング材は、塩ビ管を劣化させる可能性があるため、使用前に成分をよく確認しましょう。

住宅周辺の環境整備で侵入経路を断つ
シロアリはセルロースを含む材料を餌とします。
以下は、建物の基礎から離れた場所に移動させるか処分しましょう。
移動させるものの一例
- 使用済みの木材や廃材
- 段ボール箱
- 古新聞や雑誌の束
- 枯れ枝や落ち葉の堆積
薬液散布で床下にバリアを貼る
専門業者による予防策として一般的に利用されているのが「バリア工法」です。
住宅の床下に専用薬剤を満遍なく散布することで、土中に侵入しているシロアリを駆除すると同時に、新しいシロアリが侵入できない層(バリア層)をつくります。
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どのような予防策が自分の住宅に最適か、専門的な対策を検討するなら、一度無料で診断してもらうのがおすすめです。
まとめ
本記事では、シロアリの成虫について解説しました。
シロアリの成虫とは「羽アリ」のことであり、巣全体の2%ほどの個体を指します。
普段目にする白くて羽のないシロアリとは、大きさと羽の有無で明確に判別が可能です。
ご自宅で成虫である羽アリを発見した場合、すでに近くで大規模な巣が形成されているか、これから新しい巣がつくられるサインかもしれません。
シロアリ被害を最小限に抑えるためには、早期対応が何よりも重要です。
もし、羽アリをご自宅で見かけて不安を感じたら、まずは専門家にご相談ください。
「シロアリお助け本舗」では無料診断を実施中です。大切なご自宅を守るためにも、現状を正確に把握することから始めませんか。









