家の中で白くて小さな虫を見かけ「もしかしてシロアリの幼虫では?」と不安になっている方もいるのではないでしょうか。シロアリは木材を侵食して住宅にダメージを与える害虫であり、早期の駆除が重要です。
本記事では、シロアリの幼虫の特徴や見分け方、勘違いしやすい虫との違いを解説します。また、発見時の対処法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
このような方におすすめ
- シロアリの「幼虫」と「成虫」の違いを詳しく知りたい方
- シロアリの種類ごとの見分け方を知りたい方
- 具体的なシロアリの予防方法を知りたい方


シロアリの幼虫とは?
まずは、見た目の特徴や生態について解説します。
シロアリの幼虫の特徴

シロアリの幼虫の外見的な特徴は以下です。
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シロアリの成長過程
昆虫の成長過程は「完全変態」と「不完全変態」の2つに分けられます。
完全変態は卵、幼虫、さなぎ、成虫の4段階を経て成長する形態で、ミツバチ、甲虫、ハエ、ガなど昆虫全体の約75%が該当します。
一方、シロアリは「不完全変態(ふかんぜんへんたい)」と呼ばれる成長形態の昆虫で、さなぎの段階を経ず、脱皮を繰り返しながら徐々に大きくなり「卵→幼虫→成虫」の順に成長します。

そのため、シロアリの幼虫と成虫の姿はほぼ同じです。ただし、幼虫の方が若干透明感があります。
シロアリの主要な種類
世界には約3000種類以上のシロアリが存在しますが、建物に被害を与えるシロアリは104種類です。日本では24種類のシロアリが確認されており、なかでも日本で主要な害虫とされているシロアリは4種類です。
| ヤマトシロアリ | イエシロアリ | |
| 見た目
職アリ(働きアリ) |
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| 見た目
羽アリ |
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| 分布 | 北海道北部をのぞく、日本全土(北限は北海道名寄市) | 千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域と小笠原諸島 |
| 巣の中の個体数 | 2~3万匹 | 50~100万匹 |
| アメリカカンザイシロアリ | ダイコクシロアリ | |
| 見た目
職アリ (働きアリ) |
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| 見た目
羽アリ |
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| 分布 | 宮城県仙台市から沖縄本島までの多くの都府県に点在 | 奄美大島以南と小笠原諸島 |
| 巣の中の個体数 | 数百~数千匹 | 数百~数千匹 |
いずれの種類も、幼虫は成虫と同じ姿をしています。ただし、サイズが1mm前後と非常に小さいため、幼虫の段階で種類を見分けるのは困難です。
シロアリが繁殖する時期
シロアリには特定の産卵時期がありません。蚊やハエのように季節限定で発生する虫とは異なり、女王アリが年間を通じて卵を産み続けます。
1日に産む卵の数は種類によって大きく異なります。日本国内に生息するシロアリで比較すると、もっとも多いのはイエシロアリです。1日300個以上もの卵を産みます。
一方、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリは1日に数個~数十個程度です。
産卵数の違いは生態の違いに起因しています。ヤマトシロアリとイエシロアリは地中に潜って巣をつくります。対して、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリは「カンザイシロアリ」に分類され、木材の中に巣をつくり、限られたスペースで生活するのが特徴です。
カンザイシロアリは居住スペースが限られており、食べ物がなくなると別の木材へと移動します。そのため、一度に大量の卵を産む必要がないのです。
シロアリの幼虫の成長分岐

シロアリは「真社会性(しんしゃかいせい)」と呼ばれる性質をもち、役割に応じて形態が明確に分かれます。真社会性とは、ハチやアリのように役割分担をして集団生活を送る性質のことです。シロアリの幼虫は大きく3つの形態に分かれて成長します。
職アリ(働きアリ)

巣全体の90~95%を占め、いわゆる「働きアリ」とも呼ばれる形態です。
餌の採取や運搬、巣や蟻道(ぎどう)と呼ばれるトンネルの構築・修理・清掃、女王アリや幼虫・兵アリの世話など、コロニーを維持するための幅広い役割を担います。
ニンフ・羽アリ

胸部の背面に「翅芽(しが)」と呼ばれる羽が生えるための穴をもつ個体は「ニンフ」と呼ばれ、将来的に有翅虫(羽アリ)になります。
羽が生えるまでは、餌の採取や運搬、巣の構築・修理・清掃、幼虫や兵蟻の世話など幅広い仕事をこなします。
兵アリ

巣を守る「兵隊」のような役割を果たします。 大きな顎をもっていますが、この顎では木材をかじれません。食べ物は職アリからの口移しや糞食によって供給されるのです。
初期の巣では兵アリの割合が高く、発達したコロニーでは2~3%程度に落ち着きます。
危険を感知したときは、頭部を激しく床にぶつける「タッピング」や、自身を前後に振るわせる「揺すり行動」で仲間に危険を知らせます。
シロアリの幼虫と間違えやすい虫
白くて小さな虫を見かけたとき、すぐにシロアリだと決めつけるのは早計です。実際には、シロアリ以外の虫である場合がほとんどです。シロアリの幼虫と勘違いしやすい虫について解説します。
シロアリの幼虫は、地上ではめったに見かけない

シロアリの巣は床下、壁の中、屋根裏、土中などにつくられます。幼虫は女王アリとともに巣の中心部に集まっており、基本的に巣から出ることがありません。
そのため、外で幼虫を見かける機会はほとんどないのです。「外出先から土と一緒に持ち帰った」「巣のある木材からこぼれ落ちた」など、目にする可能性はゼロではありませんが、その確率は低いでしょう。
巣の場所は種類によって異なります。
| 地下シロアリ | カンザイシロアリ | |
| 種類 | ヤマトシロアリ・イエシロアリ | アメリカカンザイシロアリ・ダイコクシロアリ |
| 巣の場所 | 土の中
とくにイエシロアリは巨大な巣をつくり、最大半径100mに及ぶこともある |
木材の中
屋根裏、柱、床下などが主だが、家具の中に巣をつくる場合もある |
シロアリの幼虫と勘違いしやすい虫
住宅の中で白くて小さな虫を見かけたとき、まず疑うべきは以下の虫です。それぞれの見た目や習性を解説します。
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シロアリの成虫

シロアリの成虫は白色をしており、体長は4~9mm程度です。数珠状の触覚と足をもち、土中や木材中に巣をつくって生活しています。
木材だけでなく本や畳なども食べ、硬く高密度な木材よりも柔らかい低密度な木材を好む傾向があります。とくに被害が多いのは、マツ、モミ、セン、ホワイトウッド、ブナなどの種類です。
シロアリの幼虫と比べてサイズが大きく、白っぽい見た目です。
※この記事では巣内の90%以上を占める職アリや兵アリを成虫として扱っていますが、正式には有翅虫(羽アリ)を成虫と呼びます。
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ゴキブリの幼虫

ゴキブリの幼虫は白色で、体長は4mm程度です。
行動範囲が狭く、生まれた場所から数十センチ程度しか移動しません。暗くて湿気の多い場所を好み、排水口、風呂場、キッチンなどの水回りに潜伏していることがよくあります。
シロアリの幼虫よりもサイズが大きく、頭部と胸部の間にくびれがない見た目をしています。
チャタテムシ

チャタテムシは白〜透明で、体長は1mm程度とシロアリの幼虫と同じくらいの大きさです。
触覚と足をもち、畳や障子、古い本などを好んで餌にします。別名「本シラミ(Booklouse)」とも呼ばれており、梅雨時期など蒸し暑い季節になると発生数が増える傾向にあります。
シロアリの幼虫より、チャタテムシの方が頭が小さいです。また、シロアリの幼虫は触角が数珠状で短いのに対し、チャタテムシの触角はまっすぐで長いという特徴があります。
トコジラミ(南京虫)の幼虫
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トコジラミの幼虫は白色から透明で、体長は1~4mm程度です。
触覚と足をもち、主な栄養源は人間の血液です。体重の3~5倍ほどの血液を摂取することもあり、昼間はベッド、壁、床などの隙間に隠れて、夜間に這い出して吸血します。
シロアリと違ってトコジラミは、全体的に扁平かつ楕円形をしています。胴が短くて太い形状も見分ける際のポイントです。
ノミ

ノミは透明から薄茶色で、体長は1~4mm程度です。長い足をもっていますが、触覚はありません。
動物の血を吸って生きる寄生虫で、犬や猫に寄生することが多く、人間を吸血することもあります。
湿度が高い場所を好み、春から秋にかけて活発に活動します。ジャンプ力が非常に高く、体長の200倍もの高さまで跳べることが特徴です。
シロアリの幼虫と比べてノミには触覚がなく、色味が全体的に茶色に近いです。
シロアリの幼虫は怖くない、怖いのは成虫
シロアリの幼虫は通常、巣の奥で守られており、目に見える場所にいる時点で巣から離れてしまっています。そのため、放っておいても死んでしまう可能性が高いでしょう。
しかし、本当に問題なのはシロアリの巣が近くにあるかもしれないことです。シロアリがもたらす被害は、「建物の安全性」「経済的な負担」という、2つの側面があります。
シロアリ被害がもたらす建物の耐久度低下

シロアリ被害でもっとも怖いのは、住宅の安全性が徐々に失われていくことです。
シロアリは住宅を支える柱や土台など、構造上重要な木材を内側から食い荒らします。表面上は異常がなくても、中身がスポンジのように空洞化します。
強度試験の結果によると、シロアリの侵食で木材断面積が16%減少しただけで、建物を支えるための圧縮強度や曲げ強度がおよそ半分まで落ち込むことがわかっています。
日常生活では異変に気づきにくいものの、地震や台風の際に倒壊するリスクが急激に高まるのです。
実際に、1995年の阪神・淡路大震災、2016年の熊本地震において、全壊した住宅の多くでシロアリ被害が確認されました。
修繕・リフォーム費用がかかる
シロアリ被害によってかかる費用は「駆除費用」と「修繕費用」の2種類あります。
被害が初期の段階であれば、駆除費用のみで対処できる場合がほとんどです。
しかし発見が遅れて住宅内部の損傷がひどくなると、駆除だけでは済まず、大がかりな修繕・リフォームが必要になります。被害範囲が広い場合、費用が数百万円規模に膨らむこともあります。
| 補修場所(1箇所あたり) | 相場 |
| 床下の補強(腐食した木材の交換など) | 20~50万円程度 |
| 柱の補強 | 10~50万円程度 |
| 床材の張り替え | 100〜200万円程度 |
| 柱の交換 | 100~200万円程度 |
| 建物基礎部分の補強 | 200万円以上 |
| 屋根や梁の修繕 | 200万円以上 |
トータルの支出を抑えるために、早期発見・早期対応をおすすめします。
シロアリの幼虫らしき生き物を見つけたときの対処法
最後に、シロアリの幼虫らしき虫を見つけた場合の正しい対処法を紹介します。
自分でできる応急処置
まずは目の前の個体を駆除し、被害箇所をチェックしましょう。
掃除機で吸引
シロアリの幼虫らしきものは掃除機で吸い取って問題ありません。ただし、1mm程度と非常に小さいため吸い込めないこともあります。その場合は粘着テープや粘着シートが有効です。
シロアリの幼虫は自力で木材をかじれないため、仮に掃除機やゴミ箱の中で生き残っても、いずれ餓死します。
他の虫も掃除機で吸引されたり、粘着テープで押しつぶされた時点で即死する可能性が高いですが、チャタテムシ、トコジラミ、ノミは万が一生き残った場合、掃除機やゴミ箱の中で繁殖することがあります。
そのため、掃除機で吸った後はすぐに中身をゴミ箱に入れ、口をきつく縛ってゴミ捨て場に持っていきましょう。
シロアリ発見時にやってはいけないNG行動
スプレーなど市販の駆除剤を使うことはおすすめしません。むやみに殺虫スプレーを吹きかけると、近くに潜んでいるシロアリのコロニーが危険を察知して、住宅のさらに奥に潜ってしまう可能性があります。
シロアリ被害のチェック
木材や床下を確認し、シロアリが発生していないか、すでに被害にあっていないかを調べましょう。
なお、床下にはカビや菌が繁殖している可能性があるため、確認に行く場合は防毒マスク、防護服、軍手などの準備を念入りにしてください。
無理に自分で確認しようとせず、シロアリ駆除業者に依頼することも検討しましょう。具体的な確認場所は以下です。
床下の基礎や木材に蟻道(ぎどう)が付着していないか

建物に使われている木材に穴が空いていたり、変色したりしている箇所はないか

住宅の周辺にある廃材や木杭、枕木などにシロアリがついていないか、筋状の穴が空いていないか

シロアリ駆除業者への早期依頼で被害を抑える
シロアリらしき虫を発見した場合、なるべく早くシロアリ駆除業者による「無料診断」を受けることをおすすめします。プロでなければ、シロアリ被害の正確な調査や、正しい対処法の判断が難しいからです。
たとえばシロアリ駆除業者は、柱がどれほど被害にあっているのかを確認するために、柱を軽く指でノックして音を確認する「打診」と呼ばれる方法を使います。経験がないと、音だけで被害状況を推察することはできません。
他にも、シロアリ駆除業者は専門的な知識やノウハウにもとづいて調査をおこない、「生息するシロアリの種類」「巣のおおよその大きさ」「木材被害の深刻度」などを特定します。
さらに駆除業者は、調査結果をもとに最適な駆除方法や必要な薬剤量を算出します。状況に応じた的確な判断は、豊富な施工実績をもつプロでなければ難しいでしょう。
被害が深刻化してからでは、駆除費用に加えて高額な修繕・リフォーム費用が発生します。早い段階で専門家に相談しておけば、結果的に出費を大幅に抑えられるでしょう。
まとめ
シロアリの幼虫は体長1mm程度と非常に小さく、白~乳白色の体と寸胴型の形状が特徴です。
ただし、幼虫は巣の奥深くにいるため、住宅で見かけることはほとんどありません。
白くて小さな虫を発見した場合は、シロアリの成虫やゴキブリの幼虫、チャタテムシなど他の虫である可能性が高いでしょう。
シロアリは放置すると住宅に深刻なダメージを与えます。幼虫らしき虫を見つけた場合、掃除機や粘着クリーナーで駆除した後、床下や柱などの確認をおこないましょう。
正確な調査には専門知識が必要です。シロアリかどうか判断がつかない場合、被害の有無を正確に検査したい場合は、一刻も早くシロアリ駆除業者に相談することをおすすめします。
「シロアリお助け本舗」は、無料で現地調査をおこなっています。お気軽にお問い合わせください。




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