「ホウ酸はシロアリに効果がある」という話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。結論、ホウ酸はシロアリ対策として一定の効果はあります。ただし、万能ではありません。
どちらかと言うとホウ酸は「予防」向きの薬剤で、「駆除」には適していません。また、予防効果にも限界があります。
本記事では、ホウ酸の正しい効果と限界をわかりやすくお伝えします。ご自宅に最適なシロアリ対策を選ぶ参考にしてください。


このような方におすすめ
- ホウ酸によるシロアリ対策を検討している方
- ホウ酸のメリットとデメリットを正しく理解したい方
- 自宅に合ったシロアリ対策の方法を探している方
Contents
ホウ酸はシロアリ対策に効果がある?知っておきたい基礎知識
ホウ酸は万能ではないものの、シロアリ対策として一定の効果を持つ薬剤です。ホウ酸とはどのような物質なのか、なぜシロアリに効くのかを解説します。
ホウ酸とは

ホウ酸は「ホウ酸塩鉱物」と呼ばれる天然の鉱物を精製してつくられる無機化合物です。化学式はH₃BO₃で、白い粉末状または結晶状の物質として知られています。
ホウ酸は海水や淡水、土壌、温泉水、植物など、自然界のあらゆる場所に微量ながら含まれている物質です。人間も野菜や果物を通じて日常的に微量のホウ酸を摂取しており、適正量であれば人体にとって有害ではありません。
身近な用途としては、目薬やコンタクトレンズ保存液の防腐成分、ゴキブリ駆除用のホウ酸団子などが挙げられるでしょう。
シロアリ駆除・予防の現場では、ホウ酸を水に溶かしたホウ酸水溶液をつくり、床下や水回りなどのシロアリ被害にあいやすい場所へ散布して活用します。

シロアリにホウ酸が効く仕組み

人間をはじめとする哺乳類は腎臓でホウ酸を代謝し、尿として体外に排出できます。一方、シロアリなどの昆虫には腎臓がなく、体内に取り込まれたホウ酸を排出する手段がありません。そのため、ホウ酸は体内に蓄積し続けます。
蓄積したホウ酸は、エネルギー代謝をつかさどる補酵素(NAD⁺やFADなど)と結合し、その機能を停止させます。
NAD⁺やFADは食べ物からATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質をつくり出す役割を担っており、機能が阻害されるとシロアリは餌を食べてもエネルギーを取り出せなくなるのです。その結果、餓死に至ります。
ホウ酸は代謝という生命の根本的なシステムを阻害するため、耐性(抵抗力)を獲得できない点も重要な特徴です。ゴキブリ駆除にホウ酸団子が使われるのも同じ仕組みで、約3億年の歴史を持つゴキブリに対しても有効である理由は、耐性を獲得できない特性にあります。
ホウ酸を使ったシロアリ対策の5つのメリット
ホウ酸がシロアリ対策において注目される背景には、業者がよく使うシロアリ駆除・予防用の薬剤にはない利点があります。安全性、持続性、防腐効果、揮発性のなさについて、それぞれ具体的に見ていきましょう。
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日本国内の主要なシロアリ種類のどれにも有効
世界には約3,000種類以上のシロアリが存在しますが、建造物に被害をおよぼすシロアリは104種類です。日本では24種類のシロアリが確認されており、今後も輸入資材を通じて新たな種類が上陸する可能性もあります。
なかでも、日本で主要な害虫とされているシロアリは以下の4種類です。
| ヤマトシロアリ | イエシロアリ | |
| 見た目
職アリ(働きアリ) |
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| 見た目
羽アリ |
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| 分布 | 宮城県仙台市から沖縄本島までの多くの都府県に点在 | 奄美大島以南と小笠原諸島 |
| 体長 | 4.5〜7.5mm | 7.4〜9.4mm |
| 羽アリの発生時期 |
2月~3月頃 | 5月~7月頃 |
| アメリカカンザイシロアリ | ダイコクシロアリ | |
| 見た目
職アリ (働きアリ) |
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| 見た目
羽アリ |
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| 分布 | 宮城県仙台市から沖縄本島までの多くの都府県に点在 | 奄美大島以南と小笠原諸島 |
| 体長 | 6~8mm | 5~6mm |
| 羽アリの発生時期 |
10月~11月頃 | 不定期(1年中) |
ホウ酸はいずれの種類のシロアリに対しても効果を発揮します。
適切な用量であれば人体やペットへの安全性が高い
哺乳類の急性毒性の指標であるLD50(半数致死量:実験動物の50%が死亡する投与量で、数値が大きいほど安全性が高い)で比較すると、ホウ酸の数値は食塩と同程度です。ホウ酸のLD50は約2,660mg/kgで、食塩の約3,000mg/kgに近い値を示しています。
乳幼児や高齢者がいる家庭、犬や猫といったペットを飼っている住宅でも安心して使用できます。
ただし、完全に無害というわけではありません。公益財団法人日本中毒情報センターの資料によると、体重30kg未満の方はホウ酸として200mg/kg以上、体重30kg以上の方は6.0g以上を摂取した場合、中毒症状が出る可能性があると指摘されています。
主な中毒症状は悪心・嘔吐・下痢などの消化器系症状と、紅斑・落屑(らくせつ)などの皮膚症状です。重症になると脱水や中枢神経の異常、痙攣発作、急性腎不全にいたるケースも報告されています。
同センターの資料では、ホウ酸は容易に入手できることから毒性への認識が不十分で安易に扱われやすいと注意喚起されています。重篤な症状や死亡に至ることは珍しいですが、認知症の高齢者が大量に摂取したときや、乳幼児がホウ酸団子を誤飲した場合は危険です。
ホウ酸は日本でも、さまざまな法律により規制されています。
| 法律名 | 規制内容 |
| 化学物質審査規制法 | 「一般化学物質」に分類され、製造数量等の届出が必要 |
| 化学物質排出把握管理促進法 | 「第1種指定化学物質」に分類され、国が定める化学物質管理指針にもとづいた管理、排出量等の把握及び届出などが必要 |
| 大気汚染防止法 | 「有害大気汚染物質」に分類され、事業者は排出状況の把握や排出抑制等が義務付けられている |
| 水質汚濁防止法 | 特定施設等の設置の届出、排出水の排出の制限、総量規制基準の遵守、特定地下浸透水の浸透の制限などが義務付けられている |
| 水道法 | 1リットルあたり1.0mg(1mg B/L)以下と定められている |
| 下水道法 | ガラス製造業などホウ素化合物を使用する事業場を対象に、海域以外の公共用水域は10mg/L 以下、海域は230mg/L 以下と定められている |
| 土壌汚染対策法 | 「特定有害物質」に分類され、土壌汚染状況調査、汚染土壌の搬出等に関する届出などが義務付けられている |
| 海洋汚染防止法 | 「有害液体物質Y類同程度」に分類され、船舶、海洋施設または航空機からの排出禁止が義務付けられている |
| 食品衛生法 | 食品、添加物、器具・容器包装のすべてにおいて、意図的な使用は禁止されている |
| 薬機法 | ホウ酸およびホウ酸を含有する製品(ホウ酸団子など)は「医薬部外品」や「医薬品」に分類され、無許可での製造・販売は禁止されている |
参考
効果が長期持続する
ホウ酸は無機物(元素「C」を含まない物質)であるため、時間経過による分解や揮発が起こらず、効果が長期間にわたって持続します。
一般的なシロアリ駆除用の薬剤(ネオニコチノイド系やピレスロイド系)の有効期間が約5年であるのに対し、ホウ酸は水に濡れない環境であれば長期的に効果が続きます。定期的な再施工が不要のため、長期的に見ればコスト削減にもつながるでしょう。
ただし、これは乾燥状態が維持される場合の話です。湿気が高い環境ではホウ酸がゆっくりと溶け、流れていってしまう可能性があります。ホウ酸処理をした場合でも、定期的な点検は大切です。
揮発しないため室内の空気を汚さない
一般的な薬剤には揮発性の高いものもあり、施工後に室内へ薬剤成分が漂うリスクがあります。一方、ホウ酸は常温で揮発しないため、施工後も室内の空気に影響を与えません。
化学物質過敏症やアレルギー体質の方、シックハウス症候群が心配な家庭にはとくに適した薬剤です。施工後の臭いもほとんどなく、生活への影響が少ない薬剤といえます。
防蟻だけでなく防腐効果もある
ホウ酸には殺菌作用もあるため、シロアリだけでなく木材を腐らせる腐朽菌(ふきゅうきん:木材の成分を分解して腐れを引き起こす菌類の総称)にも効果を発揮します。
腐朽菌がホウ酸処理された木材に侵入すると、ホウ酸が菌の細胞壁を通じて細胞内に拡散し、代謝を阻害して死滅させる仕組みです。
木材が劣化する原因は「シロアリによる食害」「腐朽菌による腐れ」の2つが中心であり、ホウ酸処理では両方に対策できます。木造住宅全体の寿命を延ばすことにつながります。
腐朽菌に対してホウ酸の効果を発揮するために必要な濃度は、シロアリ対策に必要な濃度よりも低いです。つまり、シロアリ対策として十分な濃度でホウ酸処理を施せば、防腐効果は自動的に得られます。
ホウ酸によるシロアリ対策の注意点・デメリット
ホウ酸には多くのメリットがある一方で、万能な薬剤とはいえません。ホウ酸の特性を正しく理解し、適切な場面で使用しなければ十分な効果は得られないでしょう。
ホウ酸処理を検討する際に必ず知っておくべき注意点やデメリットを紹介します。
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シロアリが食べないと効果が出ない
ホウ酸の効果は、シロアリがホウ酸処理された木材を食べることで初めて発揮されます。一般的な薬剤のように、シロアリが触れただけで効果が出る「接触毒性」はありません。
食毒性のみで効果を発揮するという特性は、ホウ酸が公益社団法人日本しろあり対策協会の認定薬剤に選定されていない理由の一つでもあります。効果を出すには、建材への被害をある程度許す必要があるのです。
日本しろあり対策協会は、ホウ酸が含まれる薬剤の摂食に対する効果は評価しているものの、接触毒性が期待できないことから、建物全体の防蟻効果の保証は難しいとの立場を示しています。
水に溶けやすく屋外や土壌では使えない
ホウ酸は水溶性が非常に高く、冷水での水溶解度は55,600mg/Lです。一般的なシロアリ駆除・予防剤であるピレスロイド系のペルメトリンが0.2mg/L、ネオニコチノイド系のクロチアニジンが327mg/Lであるのと比べると、ホウ酸は数百~数十万倍も水に溶けやすい特徴があります。
水溶性の高さから、雨に濡れる屋外の木材やウッドデッキ、外構には使用できません。屋内であっても雨漏りや配管からの水漏れが発生すると、成分が流れ出して効果がなくなるおそれがあります。
気象条件によっても効果は左右されます。太平洋側の温暖多雨地域や梅雨が長引きやすい地域、日本海側の豪雪地帯、潮風による塩分を含んだ湿気が流入する海岸沿いでは、ホウ酸が水分に溶け出して効果が薄まるリスクが高いです。
土壌への散布はできない
ホウ酸は、シロアリの地面からの侵入を遮断する、薬剤の土壌散布には使用できません。水に極めて溶けやすいホウ酸を土壌に散布すると、雨水や地下水に溶け出して地下水などを汚染する危険があるためです。
水質汚濁防止法でホウ素は有害物質に指定されており、1mg/L以下と規制されています。土壌にホウ酸を大量散布すれば、基準を超える可能性が高いです。
日本しろあり対策協会も、公共用水域への流出による健康や環境への悪影響の可能性があるとして、ホウ酸製剤は土壌処理に使ってはならないと警告しています。
即効性がなくすでに被害がある場合の駆除には不向き
ホウ酸はシロアリが摂取してから体内に蓄積し、代謝阻害によって効果を発揮するまでに数日~数週間の時間を要します。
すでに自宅でシロアリ被害が進行している場合、即効性のある駆除が必要ですが、ホウ酸では対応が間に合いません。
また、ホウ酸水溶液を木材に散布しても表面にしか浸透せず、すでに木材内部に侵入しているシロアリには効果が届かないケースもあります。
ホウ酸は基本的に「予防」のために使用する薬剤であり、「駆除」の目的には向いていません。
ホウ酸と業者がよく使うシロアリ駆除・予防用薬剤の違い
シロアリ対策の薬剤としては、ホウ酸よりもネオニコチノイド系やピレスロイド系の薬剤が広く使われています。ホウ酸と一般的な薬剤の違いを3つの観点から見ていきましょう。
| 薬剤の種類 | 特徴 | 代表的な薬剤 |
| ホウ酸系 | ・木材に対する防腐効果がある
・安全性が高い |
・プロボレート
・ボロンdeガード |
| ネオニコチノイド系 | ・現在もっとも普及している薬剤の種類
・薬剤量が少なくて済み、残効性が比較的長い |
・タケロック
・ハチクサン |
| ピレスロイド系 | ・除虫菊から抽出される「ピレトリン」を化学合成したもの
・即効性がある |
・アリピレス
・天然ピレトリン |
| フェニルピラゾール系 | ・市販の家庭用殺虫剤にも使用される
・忌避性がなく、高い伝播性がある |
・グレネード
・アジェンダ |
効果の仕組みの違い|食毒性と神経毒性
ホウ酸系薬剤は、シロアリが食べることで効果を発揮する「食毒性」の薬剤です。
対して、ネオニコチノイド系やピレスロイド系などの一般的な薬剤は、シロアリの神経系に作用し、接触するだけで効果を発揮する「神経毒性」の薬剤です。神経毒性の薬剤は即効性が高く、接触した個体をすみやかに駆除できるため、緊急の駆除に適しています。
さらに、フェニルピラゾール系は忌避性がなく緩やかに作用するため、シロアリ同士の伝播効果が期待できます。薬剤に接触した個体だけでなく、その個体に接触した別の個体も駆除できるため、駆除効率が高いです。
持続期間の違い|5年以上と5年
ホウ酸は無機物で分解されないため、乾燥した環境が維持されれば長期にわたり効果が持続します。一方、一般的な薬剤の効果持続期間は、日本しろあり対策協会の基準で5年とされ、5年ごとの再施工が必要です。
5年ごとに1回あたり数万~十数万円の再施工費用がかかることを考えると、ホウ酸のほうがトータルのコストが抑えられる場合もあるでしょう。
施工範囲の違い|木部処理と土壌処理
ホウ酸処理は木材への塗布・含浸が中心で、地面から1m以上の範囲にある構造材に施工するのが一般的です。一方、一般的な薬剤は木部処理に加えて、土壌処理(地面への薬剤散布)が可能なものが多いです。
土壌処理が可能な薬剤を散布すれば、シロアリの侵入経路である地面からのバリアを形成できます。ホウ酸だけでは土壌処理ができないため、地面からの侵入対策には別の薬剤の組み合わせが必要です。
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ホウ酸を使ったシロアリ対策のDIY手順
ホウ酸は市販品も入手しやすく、比較的安全に扱えるため、DIYでの施工を検討する方もいるでしょう。ここでは、自分でホウ酸処理をおこなう場合の手順を紹介します。
| 手順1:必要な道具・材料を揃える
手順2:床下の事前調査をおこなう |
手順1:必要な道具・材料を揃える

ホウ酸を使ったシロアリ対策に必要な道具は以下のとおりです。
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防蟻用のホウ酸
防蟻用のホウ酸はホームセンターやインターネット通販で購入できます。薬局で販売されているホウ酸(眼科用・工業用)も成分としては同じですが、防蟻専用品は粒度や純度が施工向けに調整されているため、防蟻用と明記された製品を選ぶのが望ましいでしょう。
ホウ酸粉末の価格目安は500gあたり400円前後です。一般的な戸建住宅(延床面積30坪程度)の床下木部を処理するには、ホウ酸粉末で4~7kg程度が目安です。
ホウ酸粉末以外にも、ホウ酸水溶液やホウ酸系防蟻専用薬剤もあります。代表的な商品を紹介します。
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ホウ酸水 シロアリポリスBHK-1870
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プロボレート
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噴霧器
噴霧器は、床下の木部にホウ酸水溶液を吹き付けるための道具です。薬液を霧状にして、均一に吹き付けるために必要です。
噴霧器の種類は大きく「手動式(蓄圧式)」「電動式(充電式・電池式)」「動力式(エンジン式)」の3タイプに分かれ、予算と施工面積に応じて選びましょう。
手動式(蓄圧式)噴霧器

タンク容量4~7Lが一般的で、価格は2,000~5,000円程度です。
手でポンプを上下させて加圧し、その圧力で薬液を噴射します。バッテリーやエンジンが不要なため軽量で持ち運びやすく、価格も手頃です。
ただし、圧力が下がるたびに加圧し直す必要があり、床下の狭い空間ではポンプを動かすスペースが確保できず、効率よく散布作業が進められないことがあります。
電動式(充電式)噴霧器

タンク容量7~15Lが一般的で、価格は5,000~15,000円程度です。
バッテリーで自動加圧するため、手動のように何度もポンプを押す必要がなく、作業効率が大幅に向上します。1回の充電で数時間の連続使用が可能です。
一般的な住宅の床下木部を十分に処理するには100L以上の薬液散布が必要となるケースもあり、4L噴霧器では25回以上薬液を補充する計算です。
その都度、床下から出て補充してまた潜るという作業は体力的に厳しいため、DIYで床下全体を施工する場合は電動式の使用をおすすめします。
動力式(エンジン式)噴霧器

業者が使用するプロ仕様の噴霧器で、価格は数万~数十万円です。
大容量タンク(数十リットル以上)とホースを組み合わせ、車や屋外にタンクを設置して床下までホースを引いて施工します。値段が高いため、個人で購入するのは現実的ではありません。
ハケ・ローラー

ハケやローラーは、噴霧器だけではカバーしきれない場所への塗布に使用する道具です。
ハケの場合は、幅50~75mm程度の水性用刷毛が扱いやすいでしょう。毛の種類は化繊(ナイロン・ポリエステル)が水溶液の塗布に適しています。柄の長いものを選ぶと、手が届きにくい奥まった場所にも塗布しやすくなります。
ローラーの場合、狭い床下空間では一般的なサイズのローラーは取り回しが難しいため、ミニローラーやスモールローラーを選んでください。
ハケ・ローラーがとくに必要となるのは、木材同士が接合する仕口・継手の周辺、束石と木材の接触面付近、配管が木材を貫通する部分の周囲、基礎と土台のすき間付近です。
安全装備

床下や屋根裏など、ふだん立ち入らない場所での作業には安全装備が欠かせません。装備を怠ると、怪我や体調不良、粉塵吸入といったリスクがあります。
具体的には、以下の道具を用意しましょう。
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手順2:床下の事前調査をおこなう

施工前に床下の現状を確認します。確認すべきポイントは以下のとおりです。
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蟻道(ぎどう)の有無
蟻道とは、シロアリがつくる土のトンネル状の通路です。基礎の立ち上がり面、束石、配管周りに泥でつくられた線状の構造物がないか、目視で確認しましょう。

木材の被害状況
土台、大引、柱の根元などを指で押したりドライバーで軽く突いたりして、空洞化やスカスカの場所がないか調べます。
床下全体を移動できるか
床下全体がつながっていて移動可能か、配管や束が邪魔にならないかを事前に確認しておきましょう。
床下調査は1人では危険をともないます。万が一の体調不良や身動きが取れない事態に備え、必ず家族など別の方に声をかけたうえで、地上に待機してもらいながらおこないましょう。
すでにシロアリの被害が見つかった場合は、DIYでのホウ酸処理だけでは対応が困難です。すみやかに専門業者へ相談してください。


手順3:ホウ酸水溶液を調製する

ホウ酸粉末から水溶液を自分でつくる場合は、40℃程度のぬるま湯を容器に入れ、ホウ酸粉末を少しずつ加えながら棒でかき混ぜて溶かします。
ホウ酸は冷水には溶けにくいため、温水(約40℃)を使用してください。温度が低すぎると溶け残りが生じ、噴霧器のノズル詰まりの原因となります。
防蟻用途では一般にホウ酸換算で15~25%程度の水溶液が使用されます。パッケージに濃度の指示がある場合はその数値を守りましょう。
調製した水溶液は長期保存に向かないため、その日のうちに使い切るのが基本です。余った場合は水回り周辺など劣化しやすい木部に重ね塗りして使い切ってください。市販の専用製品(スプレータイプや希釈済み製品)を使う場合は調製の工程は不要です。
手順4:室内の養生と施工準備をおこなう

床下への出入り口(キッチンの床下収納、和室の畳下にある点検口など)の周囲を養生シートで覆い、シートが飛ばないようにテープで固定しましょう。室内への土や粉塵の飛散を防ぎます。
施工する日は晴天の日を選び、床下が乾燥している状態で作業します。雨天時や床下に水がたまっている状態では施工しないでください。ホウ酸が水に溶けて流出してしまうためです。
安全装備(防塵マスク、ゴーグル、手袋、ヘッドライト、ヘルメット、膝当て)をすべて装着してから床下に入りましょう。
手順5:木部へホウ酸水溶液を塗布する

床下では、土台、大引、床束、柱の根元を中心に木材全体へ散布します。散布量は使用する薬剤によって異なりますが、木材表面1m²あたり約300ml程度が目安です。
噴霧器を使い、木材表面にまんべんなく吹き付けましょう。噴霧器のノズルが届かない狭い場所にはハケやローラーで塗布します。
とくに丁寧な施工が必要なのは、木材の切断面(小口面)、木材同士の接合部周辺、ひび割れや節の部分、水回り付近の木部です。シロアリの侵入リスクが高い場所であるため、入念に塗布してください。
1回の塗布で乾燥させた後、同じ場所に2回目の重ね塗りをおこなうと、木材内部へのホウ酸浸透量が増加し、効果が高まります。1時間ごとに休憩を取るなど、体調に気をつけながら進めましょう。
手順6:施工後の乾燥・確認と後片付け
塗布後は十分に乾燥させます。水分が蒸発した後、ホウ酸だけが木材表面および内部に定着して防蟻・防腐効果を発揮します。
乾燥には最低でも24時間以上を確保し、乾燥期間中は床下への散水や漏水がないよう注意してください。使用した噴霧器やバケツなどの道具は水で十分に洗浄してから保管します。
養生シートやマスカーテープを撤去し、室内を清掃しましょう。施工日・使用製品名・施工範囲・使用量を記録しておくと、次回の点検時や将来の業者依頼時に役立ちます。
ホウ酸だけではシロアリ対策として不十分
ホウ酸は安全性・持続性・防腐効果といった優れた特性を持つ薬剤ですが、「ホウ酸さえ塗っておけば安心」とはいえません。ホウ酸は木部処理に特化した薬剤であり、土壌からの侵入対策やすでに活動しているシロアリの巣に対してはカバーしきれないためです。
住まいをシロアリから確実に守るには、ホウ酸のメリットを最大限に活かしつつ、弱点を別の方法で補う必要があります。具体的な方法を見ていきましょう。
「バリア工法」で地面からの侵入を防ぐ

日本に生息するヤマトシロアリとイエシロアリは「地下シロアリ」と呼ばれ、基本的に土壌中に巣をつくり、地中から基礎を伝って建物内部の木材に到達します。

日本国内におけるシロアリ被害のうち、97.7%はヤマトシロアリとイエシロアリによるものです。シロアリ対策で何より重要なのは「地面から建物への侵入経路を遮断すること」であり、その役割を担うのが土壌処理です。

土壌処理とは、床下の土壌面に薬剤(ネオニコチノイド系やピレスロイド系など)を散布し、薬剤のバリア層を形成する工法で、「バリア工法」とも呼ばれます。シロアリが薬剤処理された土壌を通過しようとすると、接触毒や忌避効果によって侵入が阻止される仕組みです。
木部にはホウ酸処理を施して長期的な予防効果を得つつ、土壌には薬剤を散布してシロアリの侵入経路を遮断する。二重の対策によって、より強固な予防が実現します。
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「ベイト工法」で巣の壊滅を狙う

ベイト工法は、建物の外周にベイトステーション(毒餌を入れた容器)を一定間隔で埋設し、シロアリに毒餌を巣に持ち帰らせることで巣全体を壊滅させる工法です。
バリア工法がシロアリの侵入を防ぐ施工方法であるのに対し、ベイト工法は巣ごと全滅させるための手法です。建物の構造上、床下に作業者が入れない場合や、化学物質過敏症などによりバリア工法が使えない場合にとくに有効な手段として使われます。
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まとめ
ホウ酸はシロアリに対して駆除効果のある天然由来の薬剤です。安全性の高さ、効果の持続性、揮発しない特性など、多くのメリットがあります。一方で、水に溶けやすい性質、即効性のなさ、土壌処理ができない点など、万能ではありません。
ホウ酸を使用する場合は、他の薬剤と組み合わせることを推奨します。どう組み合わせるかは、住宅の構造、近くに出没しているシロアリの種類、すでに被害にあっているかどうかによって変わります。最適な対策の判断には、専門知識と現場経験にもとづく診断が欠かせません。
住まいを確実にシロアリから守るために、まずは信頼できる専門業者による床下の診断を受けてみてはいかがでしょうか。シロアリお助け本舗では無料診断を実施しています。お気軽にご相談ください。





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