住宅の隅や窓枠の周辺で、砂粒のような小さなゴミを見つけたことはありませんか?掃除をしたのに、また同じ場所に落ちている場合、それはゴミではなく、シロアリのふんかもしれません。
この「砂粒のようなふん」を排出するのが、近年被害を広げている「アメリカカンザイシロアリ」という外来種です。1976年に東京・江戸川区で初めて発見されて以来、その生息エリアは拡大を続けており、それに伴って一般住宅での発見例も増えています。
放置すると住宅の構造材に深刻な被害をもたらす可能性があるため、正しい知識と対処法を身につけることが重要です。
この記事では、シロアリのふんの特徴から見分け方、そして発見時の適切な対処法までを徹底解説します。大切な住宅と家族を守るために、ぜひ最後までお読みください。


このような方におすすめ
- 家の中で砂粒のような小さなゴミを見つけ、その正体を知りたい方
- シロアリのふんと、ゴキブリなど他の害虫のふんとの見分け方を知りたい方
- シロアリのふんを見つけたときの正しい対処法を知りたい方
Contents
シロアリのふんとは?
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住宅の中で発見されるシロアリのふんは、主に「カンザイシロアリ」と呼ばれる種類のものです。
カンザイシロアリとは、「乾材=乾いた木材」を好んで食べるシロアリの総称です。日本では「アメリカカンザイシロアリ」や「ダイコクシロアリ」が確認されています。
日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合の調査によると、すべてのシロアリ被害のなかで、カンザイシロアリによる被害率は0.3%程度です。
数字だけ見ると少なく感じるかもしれません。しかし、カンザイシロアリは発見が難しいため報告されていないケースが多く、実際の被害はもっと多いと考えられています。
これらのシロアリは木材を食べた後、体内で水分を再吸収してから排出するという独特の生理機能をもっています。そのため、乾燥した「ふん」が生まれるのです。
シロアリのふんの見た目

アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリのふんには、目視で分かるような大きな違いはありません。どちらも乾燥した俵状(砂粒状)で、ふんだけで種類を特定するのは困難です。
共通するふんの特徴は以下の通りです。
| 見た目 | ・色:ベージュ、茶色、黒などが混在(食べた木材の色に依存) ・質感:乾燥してパラパラしている |
| サイズと形状 | ・大きさ:0.7mm~1.0mm程度 ・形状:俵状(樽のような形)で六角形に近い ・表面:縦に6本の筋が入っている |
| 落ちている場所 | ・柱や梁などの木材の近く |
| その他特徴 | ・非常に硬く、指で潰すことができない ・無臭 ・一カ所にまとまって落ちていることが多い ・掃除をしても同じ場所に再び現れる |
とくに「縦に入った6本の筋」と「硬さ」は、他の虫のふんやゴミと見分けるための重要なポイントです。
シロアリのふんが発見される場所

カンザイシロアリは、木材内部にため込んだふんを「糞孔(ふんこう)」と呼ばれる直径1〜3mm程度の小さな穴から外部に排出します。
これは英語で「キックアウトホール(蹴り出し穴)」とも呼ばれ、文字通りふんを外へ蹴り出すための穴です。そのため、ふんはカンザイシロアリが食べた木材のすぐ近く、あるいはその真下にまとまって落ちています。
シロアリのふんの主な発見場所
カンザイシロアリのふんは、以下のような場所で発見されます。
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シロアリのふんの密集状態から被害場所を予測する
ふんの散らばり方を観察することで、おおよその被害箇所を予測できます。ふんを見つけてもすぐに掃除せず、まずはどこにシロアリが潜んでいるのか観察してみましょう。
- 密集している場合:糞孔がすぐ近くにある
- 散らばっている場合:糞孔が高い位置(天井や梁など)にある
ふんの犯人は?|カンザイシロアリの生態
適切な対策をとるためには、ふんの主である「カンザイシロアリ」を知ることが不可欠です。ここでは、その特徴や脅威について、一般的なシロアリと比較しながら解説します。
カンザイシロアリとは
カンザイシロアリは、含水率10〜20%程度の乾燥した木材を餌にします。近年、日本国内で見かけるようになった外来種のひとつです。
世界には約3,000種類以上のシロアリが存在しますが、そのなかで住宅に被害を与えるのは104種類ほどと言われています。日本では現在、このカンザイシロアリを含め24種類が確認されていますが、今後も輸入資材などを通じて新たな外来種が上陸する可能性は否定できません。
カンザイシロアリは、硬い高密度の木材よりも、柔らかい低密度の木材を好みます。とくに被害が大きい樹種は、マツ、モミ、セン、ホワイトウッド、ブナなどです。
被害を受けた木材は、春から夏にかけて成長した柔らかい部分(早材)が同心円状に食い荒らされ、まさ目面(年輪が平行に見える面)は薄紙を重ねたような独特の空洞状になります。

日本で確認されている主なカンザイシロアリは、「アメリカカンザイシロアリ」と「ダイコクシロアリ」です。それぞれの特徴を詳しく見ていきます。
アメリカカンザイシロアリ
| 見た目 職アリ(働きアリ) |
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| 見た目 羽アリ |
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| 分布 | 宮城県仙台市から沖縄本島までの多くの都府県に点在 |
| 体長 | 6〜8mm |
| 巣の中の個体数 | 数百~数千匹 |
アメリカカンザイシロアリは、もともと太平洋沿岸地域に生息していたシロアリです。日本へは、輸入された家具や荷造材などとともにもち込まれました。
土の中ではなく、柱やテーブルなどの木材そのものをくり抜いて巣をつくります。ひとつの場所に留まらず、フットワーク軽く移動し、次々と新しい場所に巣をつくるのが特徴です。姿を見せることはめったにありませんが、唯一の痕跡として「砂粒のようなふん」を排出します。
和歌山県南部の集落でおこなわれたアメリカカンザイシロアリによる住宅部材の被害調査によると、屋根裏の小屋組部材が39%ともっとも多く、次いで外構部材23%、室内部材20%、床下部材10%、家具3%となっています。
参考
中島正夫(2006).関東支部における蟻害・腐朽を対象とした床下実態調査の概要 しろあり.No.145.27-33.
ダイコクシロアリ
| 見た目 職アリ(働きアリ) |
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| 見た目 羽アリ |
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| 分布 | 奄美大島以南と小笠原諸島 |
| 体長 | 5〜6mm |
| 巣の中の個体数 | 数百~数千匹 |
ダイコクシロアリは、アメリカカンザイシロアリと同様に土の中ではなく、柱やテーブルなどの木材の中に巣をつくって生活します。少数の個体からでも巣をつくれる繁殖力の高さが特徴で、世界の熱帯地方へと広く拡散しました。
和名は、兵蟻の頭部の形が七福神の「大黒天」がかぶっている「大黒頭巾」に似ていることに由来しています。
非常に臆病な性格で、外に出てくることはほとんどありません。そのため、アメリカカンザイシロアリと同様に、ふんを見逃さないことが早期発見の手がかりとなります。
他のシロアリとの違い
日本の住宅被害の97〜8%を占めるのは、在来種のヤマトシロアリとイエシロアリです。これらのシロアリは土壌性シロアリと呼ばれ、カンザイシロアリとは全く異なる生態をもっています。
ヤマトシロアリ
| 見た目 職アリ(働きアリ) |
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| 見た目 羽アリ |
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| 分布 | 北海道北部をのぞく、日本全土(北限は北海道名寄市) |
| 体長 | 4.5〜7.5mm |
| 巣の中の個体数 | 2~3万匹 |
| 特徴 | ・生息範囲が広く、シロアリのなかでもっとも被害件数が多い種類 ・巣内の個体数はイエシロアリよりも少なく、10,000~30,000匹程度 ・暗く湿気がある場所を好むため、床下や浴室で巣が見つかることも多い |
ヤマトシロアリは、日本国内の被害の90%以上を占め、北海道北部を除くほぼ全土に生息しています。
乾燥に弱く、1日水が摂取できないだけで活動できなくなるため、風呂場や台所などの水回りに被害が集中しやすいのが特徴です。
近年は個体数の増加に伴い、玄関や床下の放置資材などにも被害が及んでいます。
イエシロアリ
| 見た目 職アリ(働きアリ) |
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| 見た目 羽アリ |
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| 分布 | 千葉県以西の海岸線に沿った温暖な地域と小笠原諸島 |
| 体長 | 7.4〜9.4mm |
| 巣の中の個体数 | 50~100万匹 |
| 特徴 | ・世界のシロアリの内でももっとも侵食の激しい種類で、「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれている ・巣のサイズは大きいもので直径1mにおよび、個体数は100万匹に達することもある |
イエシロアリの被害件数は全体の7〜8%程度ですが、「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれるほど被害が激しい種類です。
最大直径1m、個体数100万匹にもなる巨大な巣をつくり、そこから半径100mもの範囲で活動するため、一カ所の巣が近隣数軒に被害を与えることもあります。
「ふん」ではなく「蟻道」

ヤマトシロアリとイエシロアリは、土の中に巣をつくり、そこから「蟻道(ぎどう)」と呼ばれるトンネルをつくって木材へ移動します。
また、自身のふんを巣づくりや蟻道の材料として再利用したり、食べる習性があります。そのため、カンザイシロアリのような「乾燥したふん」が落ちていることはありません。
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シロアリのふんと他の害虫・害獣のふんの見分け方

シロアリのふんと間違えやすいものとして、ゴキブリ、キクイムシ、シバンムシなどの木材害虫、ネズミ、コウモリのふんが挙げられます。
害虫や害獣の種類によって対処法が異なるため、正しく見分けることが大切です。
ゴキブリのふんとシロアリのふんの違い

ゴキブリは、不快害虫、衛生害虫、経済害虫としての側面をもつのが特徴です。
| 不快害虫 | 見た目や動きが気持ち悪く、嫌悪感や不快感を与える |
| 衛生害虫 | 菌やウイルスを運んできて、食中毒などの衛生問題の原因になる |
| 経済害虫 | 食害を引き起こしたり、電気製品の中に侵入し故障の原因になる |
ゴキブリは生物学上はシロアリに近い昆虫です(シロアリはゴキブリ目シロアリ科に分類されます)。しかし、ふんの特徴は大きく異なります。
ゴキブリのふんの特徴

| 見た目 | 色:基本的に黒色や濃い茶色 |
| サイズと形状 | サイズ:1~4mm程度 形状:不均一で、液状と固形が混在 |
| 落ちいている場所 | ・キッチン ・食器棚 ・電化製品の裏 など |
| その他特徴 | 比較的柔らかく、時間が経つと硬くなる |
ゴキブリのふんは、台所の隅や食器棚の中などで見つかることが一般的です。シロアリのふんほど乾燥しておらず、少し湿り気を帯びていることもあります。
シロアリのふんとの違い

シロアリのふんとの主な違いは、下記の通りです。
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キクイムシのふんとシロアリのふんの違い

キクイムシも木材を食べる害虫です。キクイムシが落とすのは、木くずとふんが混ざった「フラス」と呼ばれる粉状のものです。
ヒラタキクイムシのふん(フラス)の特徴

| 見た目 | 色:木材と同色 |
| サイズと形状 | 形状:粉末状(フラス) 質感:粉のように細かい |
| 落ちいている場所 | ・柱や梁などの木材の近く ・小さな穴(脱出孔)が開いていることが多い |
| その他特徴 | 春から夏にかけて現れることが多い |
フローリングや家具に針で刺したような小さな穴が開き、その下に黄色っぽい粉が盛り上がっているのが特徴です。
シロアリのふんとの違い

シロアリのふんとの主な違いは、下記の通りです。
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シバンムシのふんとシロアリのふんの違い

シバンムシはシロアリと同様に木材を食害する害虫ですが、その被害対象はさらに広範囲です。
幼虫は雑食性で、木材や古い畳だけでなく、小麦粉などの粉モノ、乾燥麺、漢方薬、タバコ、ドライフラワーなど、乾燥したものなら何でも食べます。
シバンムシのふんの特徴

| 見た目 | 色:茶色系 |
| サイズと形状 | サイズ:1mm以下 形状:両端が尖った細長い形 質感:粉のように細かい |
| 落ちいている場所 | ・柱や梁などの木材の近く ・木材内部の空洞の中 |
| その他特徴 | フンを出すのは幼虫で、成虫はほとんど出さない |
シバンムシのふんは、ごま粒よりもさらに小さい茶色の粒です。古い和室の畳の下や、貯蔵している食品の袋の中などで大量に見つかることがあります。
例えば、畳であれば表面に小さな穴が開き、その周辺に茶色い粉末状のふんが溜まります。乾燥食品やお菓子であれば、パッケージに穴を開けて侵入し、袋の底に粉状のふんが堆積します。
シロアリのふんとの違い

シロアリのふんとの主な違いは、下記の通りです。
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ネズミのふんとシロアリのふんの違い

ネズミは人間の生活圏に侵入し、食料を荒らしたり、住宅を齧って傷つけたり、さまざまな病原菌を媒介する衛生害獣です。
他の野生動物とは異なり、イエネズミ(クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミ)は「鳥獣保護法」の対象外とされているため、許可なく駆除することが可能です。
ネズミのふんの特徴

| 見た目 | 色:黒色や茶色 |
| サイズと形状 | サイズ:5~20mm程度 形状:細長い楕円形 |
| 落ちいている場所 | ・天井裏 ・キッチン下 ・トイレ裏 ・排水溝周辺 など |
| その他特徴 | 臭い:独特の臭いがある |
ネズミのふんは、米粒よりも大きく、黒やこげ茶色をしています。不衛生な環境を示すサインであり、感染症のリスクもあるため、見つけたら素手で触れないように注意が必要です。
シロアリのふんとの違い

シロアリのふんとの主な違いは、下記の通りです。
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コウモリのふんとシロアリのふんの違い
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コウモリはわずか1〜2cmの隙間があれば侵入可能で、換気扇のダクトや瓦の下などが狙われやすい場所です。
なお、コウモリは「鳥獣保護法」で守られているため、許可なく捕獲したり殺傷したりすることは法律で禁止されています。
もしコウモリやそのふんを見つけた場合は、自分で捕獲しようとしたり、素手で触ったりしないでください。病原菌を保有しているリスクもあるため、専門の駆除業者に相談することが最も安全で確実な対処法です。
コウモリのふんの特徴

| 見た目 | 色:黒色や茶色 |
| サイズと形状 | サイズ:5~10mm程度 形状:細長く、両端が尖っている |
| 落ちいている場所 | ・軒下 ・屋根裏 ・外壁 ・住宅の周り など |
| その他特徴 | 崩れやすい(昆虫を食べているため) |
コウモリは軒下や換気口の隙間をねぐらにするため、その真下のベランダや地面にふんが落下します。一見するとネズミのふんに似ていますが、昆虫を主食としているため、乾燥して崩れやすいのが特徴です。
また、独特の悪臭があり、病原菌や寄生虫を含むため、見かけても素手で触らないようにしましょう。
シロアリのふんとの違い

シロアリのふんとの主な違いは、下記の通りです。
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ネズミやコウモリなど、害獣のふんを見つけた場合は「害獣お助け本舗」にご相談ください。
シロアリのふんを発見したときの対処法
シロアリのふんらしきものを発見したとき、衛生的にも気になりすぐに掃除したくなるかもしれません。
しかし、ふんはすぐに片付けず、まずはそのままの状態を保つことが大切です。シロアリによるさらなる被害を防ぐために、以下の手順で冷静に対処しましょう。
対処法の流れ
- 記録する
- 周辺調査
- ふんを処理せず放置する
ステップ1:記録する
前提として、カンザイシロアリは蟻道などの痕跡を残さず、木材の中にい続けるため発見が非常に難しいシロアリです。気づいたときには、柱がボロボロになっていたというケースも少なくありません。
そのため、ふんはカンザイシロアリの居場所や被害状況を調査するうえで非常に重要な手がかりとなります。なるべく詳細に記録を残しましょう。
具体的には、ふんが散らばっている範囲全体が入るように写真を撮ってください。抵抗がなければ、ビニール袋にふんの一部を採取し、空気を抜いて密閉しておきましょう。その際、日付と場所を記載しておくと確実です。
これらの記録は、駆除業者に依頼する際、正確な被害状況の診断をおこなうための大きな手がかりになります。
ステップ2:周辺調査

発見場所の建材や家具を調べ、被害状況を把握します。とくに重要なのが「糞孔(ふんこう)」の確認です。
近くの木材に1〜3mm程度の小さな穴がないかチェックしてください。合わせて、ふんが落ちている周辺以外の場所でも、同様のふんがないか調査しましょう。
もし発見した場合は、ステップ1にのっとって、記録を残してください。
ステップ3:ふんを処理せず放置する
ふんはそのままにして、業者の調査まで現状を保持しましょう。
併せて、家族全員に「触らない、掃除しない」ことを共有してください。その際、「もし他の場所で似たようなものを見つけたら教えてほしい」とお願いしておくと、調査漏れを防げます。
小さな子どもやペットがいるご家庭では、誤飲事故を防ぐために、ふんが落ちている部屋に立入制限をおこなうといいでしょう。
NG行動
よかれと思っておこなった対策が、かえって被害を拡大させたり、調査を困難にさせたりすることがあります。とくに、以下の行動は避けてください。
掃除機で吸い取る
掃除機で吸い取ってしまうと、どこからどれくらいの量が落ちてきたのかという証拠が失われます。
業者が調査する際、発見場所の特定が困難になるリスクがあるため注意が必要です。さらに、吸い込んだ勢いでふんが掃除機内で粉砕され、排気と共に部屋中に拡散してしまうおそれもあります。
シロアリのふん自体に強い毒性はありませんが、木屑や土埃と同様、微粒子を吸い込むとアレルギーや喘息の原因になりかねません。
周辺に殺虫スプレーを撒く
「とりあえず周辺の木材にスプレーを撒いておこう」というのは逆効果です。
市販の殺虫剤の多くには「忌避成分(虫が嫌がる成分)」が含まれています。これを撒くと、表面にいる個体は死ぬかもしれません。しかし、奥にいるシロアリたちは危険を察知して、木材のさらに奥深くや別の場所へ逃げてしまいます。
結果として被害範囲が広がり、プロでも駆除が難しくなってしまうのです。
シロアリによる被害
ふんが見つかったということは、すでに壁や柱の中でシロアリが活動している証拠です。ここでは、シロアリ被害がどのようなリスクをもたらすかを解説します。
シロアリ被害がもたらす住宅の耐久度低下
シロアリによる住宅被害は深刻な問題で、食害された木材の耐力は明らかに低下します。
野外での強度試験によると、シロアリに食害されて断面が16%減少しただけで、圧縮強度と曲げ強度は約半分にまで低下したというデータがあります。見た目の食害度よりも、実際の強度低下ははるかに激しいのが現実です。
実際に、1995年の阪神淡路大震災では、全壊した住宅の多くからシロアリ被害が確認されました。2016年の熊本地震においても、倒壊した住宅とシロアリ被害の関連性が調査によって指摘されているのです。
修繕・リフォーム費用がかかる
被害が進行すると、シロアリの駆除だけでなく、住宅の修繕やリフォームが必要です。
建て替えまでいくケースは稀ですが、食害された柱の交換や床下の補強など、部分的な修繕でも費用はかかります。一般的な費用相場は、以下の通りです。
| 補修場所(1カ所あたり) | 相場 |
| 床下の補強(腐食した木材の交換など) | 20~50万円程度 |
| 柱の補強 | 10~50万円程度 |
| 床材の張り替え | 100〜200万円程度 |
| 柱の交換 | 100〜200万円程度 |
| 建物基礎部分の補強 | 200万円以上 |
| 屋根や梁の修繕 | 200万円以上 |
シロアリを早期に発見して駆除できれば、大規模な修繕・リフォームが不要です。ふんというサインを見逃さず、早めに対処することが、経済的な負担を減らすことにつながります。
カンザイシロアリを駆除する方法
アメリカカンザイシロアリは、巣が分散しているため駆除が非常に難しいです。現在、主におこなわれている駆除方法は以下の通りです。
穿孔注入処理法

穿孔注入処理は、現在日本でもっとも広く採用されている駆除方法です。シロアリが住み着いた木材にドリルで穴を開け、その穴から専用の駆除薬剤を注入します。処理後は、開けた穴を木栓で埋めて完了となります。
使用する薬剤は、公益社団法人しろあり対策協会が認定したカンザイシロアリ用駆除剤が一般的です。以下のような種類があります。
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ミケブロック®
ミケブロック®の特徴
- 業界初の「顆粒水溶剤」であり、VOC(揮発性有機化合物)を含まないため低臭性に優れる
- 忌避性がなく、シロアリへの活性が高いため、優れた予防・駆除効果を発揮する
- 有効成分の蒸気圧が極めて低く揮散しにくいため、居住者に対する安全性が高い
ガントナー®SC
ガントナー®SCの特徴
- 薬剤を感知させない「非忌避性」により、シロアリが避けることなく接触し効果を発揮する
- 侵入を防ぐスペシャリストとして、高い防除効果を持つ
- 毒劇法や消防法の規制を受けない「普通物・非危険物」であり、安全性に配慮されている
ハチクサン®FL
ハチクサン®FLの特徴
- 信頼と実績を誇る、業界No.1ブランドのシロアリ防除剤
- 「非忌避性」と独自の「ドミノ効果」により、薬剤に接触した個体から巣全体へ効果を伝播させる
- シロアリを効果的に薬剤へ接触させ、確実に致死させる高い効力を持つ
塗布・吹付け処理

ドリルで穴を開けられない場所には、薬剤の塗布や吹き付けをおこなって、木材内部まで薬剤を浸透させます。
被害が出ている場所以外にも、塗り残しや吹き残しがないように全面的な処理をおこないます。
とくに、太い木材のひび割れ部分や、木の切り口(木口)などはシロアリが侵入しやすいため、念入りな処理が必要です。
ガス燻蒸処理(日本の住宅では実施困難)
本場アメリカでは、住宅全体をシートで覆い、猛毒ガスを使用する「燻蒸処理」が効果的とされています。
日本国内でも、文化財や古文書の保管庫などで害虫駆除をおこなう際に採用されることがあります。ただし、日本の住宅地は住宅が密集しているため、安全上の理由から一般住宅で実施されるケースは極めて稀です。
バリア工法、ベイト工法での駆除は難しい
日本国内で一般的におこなわれている「バリア工法」や「ベイト工法」は、シロアリが地中から侵入することを前提とした駆除方法です。
一方、カンザイシロアリは羽アリが空中から直接住宅内に侵入し、木材の中に巣をつくるため、これらの従来工法では対処ができません。
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カンザイシロアリの駆除はDIYでは難しい
「自分でカンザイシロアリをなんとか駆除できないか?」と考える方もいるかもしれませんが、カンザイシロアリの駆除は専門家でも難易度が高いため、DIYは推奨できません。その理由は、以下の通りです。
巣の特定が困難
カンザイシロアリの駆除が難しい大きな理由は、その生態にあります。
巣の特定が難しい理由
- 複数の小さな巣が点在する
- 巣は木材の奥深くにつくられる
- 高い移動性がある
- 高い再生能力がある
一般的なシロアリとは異なり、ひとつの住宅内に独立した小さな巣(コロニー)を複数つくります。これらの巣は壁や柱の奥深くに潜んでおり、外部からは目視できません。
さらに、薬剤散布などの刺激を受けると危険を察知して別の場所へ移動してしまう高い移動性や、一部のコロニーが残っているとすぐに繁殖を再開する高い再生能力ももっています。
これらをすべて特定し、完全に駆除するには、プロによる専門的な知見と技術が不可欠です。
駆除工法が特殊
「穿孔注入処理」や「塗布・吹付け処理」は駆除工法が特殊なため、DIYでおこなうのは非常にリスクが高いです。
駆除工法が特殊な理由
- 技術的な難易度の高さ
- 構造材にダメージを与えるリスク
- 健康被害のリスク
- 機材のコスト
どこに、どの深さで穴を開け、どの程度の薬剤を注入するかは、プロでも経験を要する判断です。不適切な場所に穴を開けすぎると、住宅の柱の強度を下げてしまう恐れがあります。
また、専用の薬剤は強力なものが多く、防護装備なしで扱うと健康被害につながる可能性もあります。木材内部へ高圧で薬剤を注入する専用機器は高価なため、一般家庭での購入は現実的ではありません。
駆除費用の相場
アメリカカンザイシロアリの駆除費用の見積もり方法は、「穿孔注入処理法」も「塗布・吹付け処理」も基本的に同じです。
1箇所あたりで計算するのではなく、一般的なシロアリ駆除「バリア工法」のように平米単価で計算されます。
一般的な住宅の床面積ごとの施工費用の相場は、以下の通りです。
| 床面積 | 施工費用 |
| 20坪 | 99,000~166,000円 |
| 30坪 | 130,000~249,000円 |
| 40坪 | 174,000~332,000円 |
※平米単価の相場:1,000円〜3,000円 / 1㎡
※一部箇所および躯体構造によって価格が変動
アメリカカンザイシロアリに侵入を許した場合、どこまで被害にあっているかで費用は大きく変わります。
場合によっては大規模な工事が必要となり、その場合は別途費用が発生するケースもあります。
|
これらの工事が必要になる前に、早期発見・早期対策をおこないましょう。
まとめ
住宅の中で見つけた「砂粒」のようなゴミ。それは住宅の危険サインである「シロアリのふん」かもしれません。カンザイシロアリは、発見が遅れるほど被害額も精神的なストレスも大きくなります。
判断に迷う場合は、下記のポイントをセルフチェックしてください。
- ふんの粒が揃っていて、俵状で硬い
- 同じ場所に繰り返し、ふんが落ちている
- 近くの木枠や家具に小さな穴が開いている
「シロアリお助け本舗」では、経験豊富なプロが現地調査をおこない、その砂粒が本当にシロアリのふんなのか、被害はどこまで進んでいるのかを診断します。
少しでも不安がある方は、迷わず無料相談を活用しましょう。










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