日本国内で住宅に被害を与えるシロアリは4種類いますが、とりわけ厄介な存在がアメリカカンザイシロアリです。
在来種のヤマトシロアリやイエシロアリとは全く異なる生態をもち、蟻道(シロアリが移動のためにつくるトンネル状の通路)をつくらず、乾燥した木材の内部に巣を形成します。そのため、一般的なシロアリ駆除・予防の方法が通用しにくく、発見も困難です。
本記事では、アメリカカンザイシロアリの見た目や生態、在来種との違い、被害の発見方法から駆除・予防法、費用相場までを網羅的に解説します。
「室内に砂粒のような粒が落ちていた」「夏に見慣れない羽アリを見かけた」など、少しでも気になる症状がある方はぜひ参考にしてください。


このような方におすすめ
- アメリカカンザイシロアリの特徴や在来種との違いを知りたい方
- 室内で砂粒状のふんや羽アリを見かけて、アメリカカンザイシロアリかどうか判断したい方
- アメリカカンザイシロアリの駆除方法や費用相場を知りたい方
Contents
アメリカカンザイシロアリとは?

日本に生息するシロアリは24種類いますが、住宅に深刻な被害を与えるのはヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリの4種類です。
アメリカカンザイシロアリはもともと北米の太平洋沿岸(ワシントン州からメキシコのカリフォルニア半島)に生息していた種類で、家具や資材とともに日本へ持ち込まれたと考えられています。
日本国内での被害件数はダイコクシロアリも含むカンザイシロアリ全体で約0.3%程度と多くはありません。

しかし、在来種のシロアリとは生態が全く異なり、従来の駆除方法が通用しにくく、発見した場合には専門的な対応が求められます。
アメリカカンザイシロアリの分類と学名

アメリカカンザイシロアリの学名はIncisitermes minorで、英語ではWestern Drywood Termiteと呼ばれています。
分類上はレイビシロアリ科(Kalotermitidae)に属し、生物学的にはゴキブリに近縁な昆虫です。名前に「アリ」とつきますが、一般的なクロアリとは全く別の生き物です。
「カンザイ」は乾いた木材を意味する「乾材」が語源で、含水率10〜20%ほどの乾燥した木材をおもな餌にしています。日本国内では、アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリの2種類がカンザイシロアリに分類されます。
アメリカカンザイシロアリの生息地・分布エリア

アメリカカンザイシロアリの原産地は、北アメリカ太平洋沿岸のカリフォルニア州からワシントン州、メキシコ北部にかけての地域です。アメリカ国内全体における年間木材被害額の20%は、アメリカカンザイシロアリによるものとされています。
日本で最初に発見されたのは1976年、東京都江戸川区の木造2階建共同住宅です。その後、1979年に兵庫県、1980年に和歌山県、1982年に神奈川県と各地で生息が確認されました。
現在は26都府県で生息が確認されており、北限は宮城県、南限は沖縄県です。とくに被害報告が多い地域は東京都(江戸川区・中野区)、神奈川県(横浜市鶴見区)、兵庫県(西宮市)、埼玉県、千葉県、三重県、静岡県(掛川市)で、米軍基地周辺や港湾地域での被害報告も多いです。
また、同じ市区町村内でも特定の町内だけに被害が集中するケースもよくあります。アメリカカンザイシロアリの羽アリは飛行距離が短く、近隣の住宅へ順次拡大していくためだと考えられています。
アメリカカンザイシロアリの見た目と特徴

シロアリは「社会性昆虫」に分類され、巣の中で役割分担をしながら集団生活を営んでいます。王・女王を含む生殖階級、外敵と戦う兵蟻(へいあり)階級、巣の中のほとんどすべての仕事を担う職蟻(しょくあり)階級といった階級があり、それぞれ見た目が異なるのです。
ここでは、階級ごとのアメリカカンザイシロアリの外見的特徴を画像とともにお伝えします。
階級ごとのアメリカカンザイシロアリの見た目【画像あり】

働きアリ(擬職蟻)

体長は約5〜6mmで、ヤマトシロアリやイエシロアリよりもひと回り大きいサイズです。体色は乳白色から淡黄白色をしており、ほぼ円筒状のずんぐりした体つきです。
巣全体の90%以上を占め、餌の採取・運搬、巣の構築・修理、生殖階級や幼虫の世話など、コロニーの維持に必要な作業のほとんどを担っています。
アメリカカンザイシロアリの働きアリは正式には「擬職蟻(ぎしょくぎ)」と呼ばれ、ほかの階級に分化できます。駆除の際に1ペアでも取り残すと、残った個体が女王アリと王アリに変化し、巣が再生する可能性があります。
兵アリ

体長は約8〜11mmで、巣の中では2番目に大きい階級です。頭部は濃褐色から黒色をしており、顎がよく発達しています。頭部が体全体の約3分の1を占めるほど大きいのが外見上の特徴です。
体は白いものの頭部だけが褐色をしており、他の階級と比べると判別しやすいです。巣全体の4〜5%ほどを占め、外敵からの防衛を担当しています。
羽アリ(有翅虫)

体長は羽を含めて約8〜11mmです。頭部は赤褐色、胴体は黒褐色をしており、全体的に赤みを帯びた色合いが特徴です。羽は4枚あり、光の加減で虹色に見えることもあります。触角は数珠状でやや短いです。
羽アリは「群飛(ぐんぴ)」と呼ばれる方法で巣の拡大をおこないます。群飛とは、新しい巣をつくるために羽アリが一斉に飛び立つ現象のことです。アメリカカンザイシロアリの場合は6〜9月の昼間に発生しやすく、在来種のシロアリと比べて、少数ずつ複数回に分けておこなわれる習性があります。
羽アリの飛行距離は2〜3m程度と短く、風に乗った場合でも数百m程度にとどまるため、被害は近隣へ順次拡大していく傾向があります。
女王アリ

体長は8〜10mmで、羽アリを除けば巣の中でもっとも大きい階級です。体色は乳白色から淡黄褐色をしており、腹部が大きく膨らんでいるのが特徴です。
巣の中に1匹だけ存在し、1日に数十個の卵を産んで個体数を維持しています。女王アリが健在である限り巣は存続するため、駆除の際には女王アリの排除が重要なポイントです。
王アリ

体長は約5〜7mmで、体色は女王アリと同じく乳白色から淡黄褐色です。女王アリよりもひと回り小さい体格をしています。女王アリとペアでコロニーの中に1匹存在し、生殖の役割を担っています。
アメリカカンザイシロアリとヤマトシロアリの違い・見分け方

日本のシロアリ被害の90%以上を占めるヤマトシロアリは、土の中に巣をつくる「地下シロアリ」です。アメリカカンザイシロアリとは見た目にも生態にも大きな違いがあります。とくに重要な違いは「蟻道をつくるかどうか」「乾燥した木材を侵食するかどうか」という2点です。
また、羽アリの体色にも違いがあり、アメリカカンザイシロアリは赤褐色を帯びているのに対し、ヤマトシロアリは黒褐色をしています。
見た目の違い
| アメリカカンザイシロアリ | ヤマトシロアリ | |
| 羽アリ | ・赤褐色~黒褐色
・8〜11mm |
・黒っぽい
・4.5~7.5mm |
| 兵アリ | 濃褐色~黒色 | 淡褐色 |
生態の違い
| アメリカカンザイシロアリ | ヤマトシロアリ | |
| 群飛時期 | 6~9月の昼間 | 4~5月の昼間 |
| 好む木材 | 乾燥材 | 湿った木材 |
| 巣の中の個体数 | 数百~数千頭 | 数万~数十万頭 |
| 生息地域 | 北限は宮城県、南限は沖縄県 | 日本全土(北海道名寄市が北限) |
アメリカカンザイシロアリと他の虫との見分け方
アメリカカンザイシロアリと間違えやすい虫がいくつか存在します。違いを把握して、適切な対処につなげましょう。
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キクイムシ

アメリカカンザイシロアリと同じように、木材から砂粒状の粉が出ることから混同されやすい虫です。
キクイムシが排出するのは細かくサラサラした木粉(木くず)であり、アメリカカンザイシロアリが排出するのは俵状のふんです。
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アメリカカンザイシロアリのふんは表面に6本の筋が入っているのに対し、キクイムシの木粉には特徴がありません。また、アメリカカンザイシロアリが木材に空ける穴は直径3〜4mm程なのに対し、キクイムシは直径1〜2mm程度とひと回り小さいことも判別のポイントです。
ゴキブリの幼虫

ゴキブリの幼虫は全体的に白色で、体長は4mm程度です。触覚と足をもち、生まれた場所から数十cm程度しか移動しません。暗くて湿気の多い場所(排水口、風呂場、キッチンなど)を好む習性があります。
アメリカカンザイシロアリの職アリと混同されることがありますが、ゴキブリの幼虫のほうがサイズが小さく、頭部と胸部の間にくびれがない点で見分けられます。
チャタテムシの幼虫

チャタテムシの幼虫は白色から透明で、体長は1mm程度の非常に小さな虫です。触覚と足があり、畳や障子、古い本などを好んで素早く這い回ります。別名「本シラミ(Booklouse)」とも呼ばれ、梅雨どきなど蒸し暑い季節に増殖します。
アメリカカンザイシロアリの職アリとの違いは、チャタテムシのほうが頭が小さく、触角がまっすぐで長い点です。
トコジラミ(南京虫)の幼虫

体色は白色から透明で、体長は1〜4mm程度です。触覚と足があり、おもな栄養源は人間の血液です。昼間はベッド・壁・床などの隙間に潜み、夜間に吸血します。
トコジラミは全体的に扁平で楕円形をしており、胴が短くて太い体型をしています。アメリカカンザイシロアリとは体形が異なるため、形状をよく観察すれば判別可能です。
クロアリの羽アリ

クロアリの羽アリは黒色または暗褐色で、体長は5〜15mm程度です。アメリカカンザイシロアリの羽アリと混同されやすいですが、クロアリの羽アリには胸部と腹部の間に明確なくびれ(腰)があります。触角も「く」の字型に曲がっており、数珠状のシロアリとは形状が異なります。
クロアリは食品に群がることはありますが、木材を食べることはありません。
キノコバエ

キノコバエは黒色から暗褐色で、体長は2〜5mm程度です。小さくて細い体に長い脚が目立ち、触角が体長と同程度かそれ以上に長いのが特徴です。
アメリカカンザイシロアリの羽アリと比べると体つきが細く、脚の長さで区別できます。人間への直接的な被害はほぼなく、大量発生すると不快感を与える「不快害虫」に分類されます。
チャタテムシ

チャタテムシの体色は淡黄色から淡褐色で、体長は1〜2mm程度とアメリカカンザイシロアリよりも小さいです。触角が細く長く、羽はアメリカカンザイシロアリよりも薄く透明です。
カビや有機物を餌にしており、書籍、壁紙、食品に被害を与えることがあります。人を噛む被害はないものの、死骸の粉を吸い込むと喘息などのアレルギーを引き起こす可能性があります。
アメリカカンザイシロアリの生態の特徴
アメリカカンザイシロアリは在来種とは全く異なる生態をもっています。「いつ」「どこで」「どのように暮らしているのか」を理解すれば、効果的な対策が見えてきます。
なお、乾燥した木材を侵食する、蟻道をつくらないといった生態上の特徴の一部は、アメリカカンザイシロアリだけでなく、同じカンザイシロアリの仲間であるダイコクシロアリにも共通しています。
ここでは、まずカンザイシロアリに共通する生態を整理したうえで、ダイコクシロアリとの違いを順に解説します。
カンザイシロアリに共通する生態の特徴
ここでは、アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリの両方に共通するカンザイシロアリ全般の性質を解説します。
餌|乾燥した木材を侵食する
「カンザイ」の名は「乾材」に由来し、含水率10〜20%程度の気乾状態にある木材を餌にしています。
カンザイシロアリは体内の水分保持能力に優れており、消化管の末端で排泄物から水分を徹底的に回収する仕組みをもっています。木材中のごくわずかな水分だけで生命を維持できるため、水源が近くになくても問題なく活動できるのです。
そのため、床下だけでなく小屋裏や2階の柱、木製家具など、住宅のあらゆる場所が被害対象になります。温度変化や環境湿度の影響も受けにくく、乾燥した木材がある場所であればどこでも侵食のリスクがあります。
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活動時期と活発化の条件|年間を通じて活動可能
カンザイシロアリは気温や湿度の変化に左右されにくく、1年を通じて活動できます。住宅の屋内は温度が安定しているため、冬場でも活動を続けます。
最適な活動温度は20〜30℃程度で、活発化しやすい湿度は70〜80%です。
| 活発化する気温 | 活発化する湿度 |
| 20℃〜30℃ | 70~80% |
北海道などの寒冷地ではまだ生息が確認されていませんが、暖房の効いた室内であれば生存可能と考えられています。
巣の特徴|一つの木材内部に複数の巣が点在

カンザイシロアリは土の中に巣をつくらず、乾燥した木材の内部に巣を形成します。
1軒の住宅に巣がひとつだけとは限らず、複数の巣がバラバラに点在するのが大きな特徴です。1軒あたり10〜20以上の巣が確認されたケースも報告されています。
家具、ピアノ、窓枠など、あらゆる木材製品が営巣対象です。
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蟻道をつくらない|在来種との最大の違い

在来種のヤマトシロアリやイエシロアリは、土の中から蟻道と呼ばれるトンネル状の通路をつくって移動します。一方、カンザイシロアリは蟻道をつくらず、木材の内部を食べ進みながら移動します。
在来種のシロアリ点検では「蟻道の有無」が発見の大きな手がかりになりますが、カンザイシロアリにはそれが当てはまりません。表面上は問題のないように見える木材でも、内側がすでに空洞になっていることがあります。
被害を見逃さないためには、小屋裏や壁内、家具まで含めた住宅全体の調査が必要です。
アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリの違い

アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリは同じカンザイシロアリであり、乾燥した木材を侵食する、蟻道をつくらないといった共通点が多いため混同されやすいです。しかし、見た目・分布・生態にはっきりとした違いがあります。
見た目の違い
| アメリカカンザイシロアリ | ダイコクシロアリ | |
| 羽アリの体色 | 頭部は赤褐色、胴体は黒褐色 | 黄褐色 |
| 羽アリの体長 | 8〜11mm | 5〜6mm |
| 兵アリの頭部 | 濃褐色〜黒色、円筒形で体の約1/3 | 黒色、前面が裁断状で体の約1/4 |
全体的にアメリカカンザイシロアリのほうが大型です。
兵アリの頭部の形状にとくに違いがあり、アメリカカンザイシロアリは円筒形であるのに対し、ダイコクシロアリは前面から見ると裁断状(平らに切り落としたような形)をしています。
ダイコクシロアリの兵アリは、外敵が侵入した際に頭部で坑道を塞いで防御する習性があり、この独特な頭部の形状はその役割に適しています。
生態の違い
| アメリカカンザイシロアリ | ダイコクシロアリ | |
| 分布域 | 宮城県〜沖縄県(26都府県) | 奄美大島以南、小笠原諸島 |
| 群飛時期 | 6〜9月の昼間 | 不定期 |
| 走光性(光への反応) | なし | あり |
| 巣の規模 | 数百〜数千頭 | 数十〜数百頭(より小規模) |
| おもな被害対象 | 住宅の構造材、家具、木製建具など幅広い | 家具、木製品が中心 |
| 日本国内の被害規模 | 拡大傾向、26都府県で確認 | 限定的、沖縄県を中心とした一部地域 |
生態面でとくに大きな違いは分布域と群飛の時間帯です。アメリカカンザイシロアリは本州から沖縄まで広範囲に分布しているのに対し、ダイコクシロアリは奄美大島以南と小笠原諸島に限定されています。
群飛の時期も、アメリカカンザイシロアリが6〜9月の昼間に多いのに対し、ダイコクシロアリはほぼ一年中、不定期に発生します。
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アメリカカンザイシロアリ被害の発見方法
アメリカカンザイシロアリは蟻道をつくらないため発見が非常に難しいシロアリですが、ひとつ大きな手がかりがあります。特徴的な「糞粒(ふんりゅう)」を木材の外へ排出する習性です。
被害のサインを知っておけば、早期発見につながります。
砂粒状のふん(糞粒)が落ちている

アメリカカンザイシロアリの被害を示す特徴的なサインが、砂粒状のふんです。
ヤマトシロアリやイエシロアリはふんを蟻道の材料に使うため外へ排出しませんが、アメリカカンザイシロアリは木材に小さな穴を空け、そこからふんを外に押し出します。室内で砂粒のようなものを見つけた場合は、アメリカカンザイシロアリの被害を疑いましょう。
糞粒は定期的に排出されるため、掃除しても同じ場所に繰り返し「粉っぽいもの」が溜まる場合はとくに注意が必要です。
糞粒の特徴

糞粒の大きさは長径約1mmで、米俵のような俵状の形をしています。表面には6本の縦筋が入っており、ルーペや虫眼鏡を使えば肉眼でも確認できます。
色は食べた木材の色に近く、黄色から褐色、ベージュからダークブラウンまでさまざまです。非常に硬く、指で潰せません。乾燥した砂粒状でサラサラしており、ほかの虫のふんとは質感が異なります。
発見されやすい場所
糞粒がよく見つかるのは、窓枠の下やサッシ周辺です。小屋裏に巣がある場合は、天井からパラパラと降ってくることもあります。
巾木や壁際に盛り塩のように積もっていたり、押入れやクローゼットの隅に溜まっていたりするケースもあります。玄関や木製ドアの付近も発見されやすい場所のひとつです。
蹴り出し穴(糞孔・虫孔)があいている

木材の表面に直径3〜4mm程度の丸い穴が空いていたら、アメリカカンザイシロアリの「蹴り出し穴」の可能性があります。「糞孔(ふんこう)」とも呼ばれ、ここからふんを外に排出しています。穴はふんで塗り固められている場合もあるため、注意して観察してください。
羽アリ・羽が落ちている

6〜9月の昼間に室内で羽アリを見かけた場合も、アメリカカンザイシロアリの被害サインです。赤褐色を帯びた体色で、体長は6〜8mm(翅を含めると10mm以上)あります。窓枠やサッシ周辺での発見が多い傾向です。
ただし、アメリカカンザイシロアリの羽アリは一度に少数しか発生しないため見逃されやすく、羽だけが落ちているケースもあります。
アメリカカンザイシロアリの発生しやすい時期

アメリカカンザイシロアリは1年を通して活動していますが、時期によって発見のしやすさが異なります。ふんを発見しやすい時期、羽アリが発生する時期、被害が拡大しやすい時期を知っておくことで、早期発見・早期対処につなげましょう。
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ふんが見つかりやすい場所は、窓枠の下、柱や梁の下、家具の下や周辺、屋根裏の床面などです。とくに屋根裏など普段目にしない場所は、年末の大掃除のタイミングなどを活用し、意識的に点検しましょう。
掃除しても同じ場所にふんが繰り返し溜まるようであれば、アメリカカンザイシロアリの痕跡である可能性が高いです。見つけた場合は、掃除せずに写真を撮影し、専門業者に相談することをおすすめします。
アメリカカンザイシロアリの羽アリの発生時期|6月〜9月の昼間

群飛とは、新しい巣をつくるために羽アリが巣から飛び出す現象です。新天地に到着した羽アリは羽を落とし、オスとメスがつがいになって新たな巣を形成します。
アメリカカンザイシロアリの群飛は6月〜9月の夏場が中心ですが、不定期に発生することもあります。群飛は日中の明るい時間帯におこなわれ、1シーズンに1回だけでなく少数ずつ何度も繰り返されるのが特徴です。
暖房や冷房など住宅内の環境条件によっては、1年を通じて羽アリが発生するケースもあります。
アメリカカンザイシロアリの被害が拡大しやすい時期|1年を通じて注意が必要
アメリカカンザイシロアリは液状の水を必要とせず、木材に含まれるわずかな水分(含水率10〜20%程度)だけで生存できます。季節に関係なく1年を通じて活動し、被害が進行するため、ヤマトシロアリやイエシロアリのように「被害が拡大しやすい時期」が明確に存在しません。
ただし、夏場の6月〜9月は羽アリの群飛によって新たな巣が形成されやすく、被害箇所が増えるタイミングです。
巣の規模は数百頭から最大数千頭程度と小規模で、侵食の進行が遅いため、被害に気づくまで数年かかることも珍しくありません。被害率がとくに高いのは小屋組部材(屋根裏)で39%、次いで外構部材23%、室内部材20%、床下部材10%、家具3%と続きます。
アメリカカンザイシロアリによる被害の実態と危険性
アメリカカンザイシロアリの被害を放置すると、住宅の耐久性や耐震性に深刻な影響を及ぼします。在来種と異なり、建物全体が被害対象になる点が大きな特徴です。
ここでは、被害にあいやすい場所と具体的な危険性を紹介します。
アメリカカンザイシロアリの被害にあいやすい場所
乾燥した木材であればどこでも被害にあう可能性があります。在来種のヤマトシロアリやイエシロアリは床下や水回りが中心ですが、アメリカカンザイシロアリは小屋裏・2階・木製家具にまで被害が及びます。
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天井・屋根裏

被害がとくに多い場所のひとつです。梁や棟木、垂木などの構造材が侵食されやすく、天井から糞粒が降ってくる症状で発見されるケースが多くみられます。点検口がない住宅では発見が遅れがちです。
窓枠・サッシ周辺

羽アリが侵入しやすい場所で、木製の窓枠がおもな被害対象です。窓の開け閉めの際に羽アリが入り込んだり、サッシ周辺の隙間から侵入したりします。
2階の柱・梁

在来種は1階や床下が中心ですが、アメリカカンザイシロアリは2階以上にも被害が及びます。壁の中にある柱や筋交い(すじかい)が侵食されるケースがあり、駆除するには壁を剥がすこともあります。
木製家具・楽器

タンス、本棚、ピアノ、ギターなど木製品全般が被害対象です。すでにアメリカカンザイシロアリの被害にあっている輸入家具を家の中に持ち込み、その家具から住宅本体へ被害が拡大することもあります。
床下・基礎部分

在来種と同じく、床下の土台や大引き、根太(ねだ)が侵食されることもあります。基礎と土台の接合部分が狙われやすく、被害にあった場合、床がきしむ、歩くとギシギシ音がするといった症状が現れます。
床下点検口がない住宅では被害の発見が遅れやすく、発覚時には広範囲に被害が及んでいるケースも多いです。
シロアリ被害がもたらす建物の耐久度低下

シロアリに侵食された木材は、見た目以上に強度が低下します。野外でシロアリに侵食させた木材の強度試験では、断面が16%減少した木材の圧縮強度と曲げ強度が約半分にまで低下したという結果が出ています。
木材の強度低下は住宅全体の耐震性に直結しており、1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震では、全壊した建物の多くにシロアリ被害がありました。
修繕・リフォーム費用がかかる
シロアリ被害によって建て替えに至るケースは珍しく、多くは被害箇所の補修・補強で十分です。ただし、被害が広がるほど費用は高額になるため、早期発見が重要です。
| 補修場所(1箇所あたり) | 相場 |
| 床下の補強(腐食した木材の交換など) | 20~50万円程度 |
| 柱の補強 | 10~50万円程度 |
| 床材の張り替え | 100〜200万円程度 |
| 柱の交換 | 100~200万円程度 |
| 建物基礎部分の補強 | 200万円以上 |
| 屋根や梁の修繕 | 200万円以上 |
シロアリ被害が軽微なうちに駆除や対策をしておけば、大規模な修繕やリフォームが不要になり、結果的にトータルの支出を抑えられます。


アメリカカンザイシロアリの侵入経路
アメリカカンザイシロアリは、在来種のように土の中から蟻道を伸ばして侵入するのではなく、全く異なるルートで住宅に入り込みます。主な侵入経路を理解しておくことが、予防対策の第一歩です。
輸入家具・木材からの持ち込み

すでに巣がつくられている家具、木製の工芸品、楽器、梱包材などを家の中に持ち込むことで、アメリカカンザイシロアリも一緒に連れてきてしまうパターンです。
とくにアンティーク家具は防蟻処理がされていない可能性が高く、注意が必要です。近年はネット通販の普及で海外製の家具を購入する機会が増えており、持ち込みリスクも高まっています。購入時に防蟻処理の有無を確認することが大切です。
近隣住宅からの羽アリによる侵入

近隣にアメリカカンザイシロアリの巣がある場合、羽アリが飛来して住宅に侵入する可能性があります。窓の開閉時、換気口、サッシの隙間などが侵入口になるため、隙間がないか注意しましょう。
通常、アメリカカンザイシロアリの飛行距離は2〜3m程度ですが、風に乗って数百m飛ぶこともあります。同じ町内で集中的に被害が発生するパターンは多く、港湾地域や米軍基地周辺で被害報告が多いのも、こうした拡大の仕方が背景にあるのです。
アメリカカンザイシロアリを発見したときの対処法
アメリカカンザイシロアリやふんらしきものを発見した場合は、慌てず落ち着いて対処することが大切です。やるべきことと、やってはいけない行動を把握しておきましょう。
目の前のアメリカカンザイシロアリを駆除する応急処置
アメリカカンザイシロアリを発見したら、まずは落ち着いて状況を記録し、目の前の個体を処理しましょう。詳しい手順をお伝えします。
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発生場所・ふんの写真を撮影して記録
スマートフォンなどで発生場所とふんの写真を撮影しておきましょう。後で専門業者に相談する際に重要な資料になります。可能であれば、形状がわかるように拡大写真も撮影してください。
ふんや羽などの痕跡は掃除せずそのまま保管
ふんや羽は業者が到着するまでそのまま残しておくのが理想的です。シロアリの種類や被害箇所、侵入経路を確認するための重要な手がかりになります。どうしても掃除が必要な場合は、一部を袋に入れて保管しておきましょう。
付近を掃除機で吸引
地表に出てきているシロアリは掃除機で吸ってしまうのがもっとも手っ取り早い方法です。シロアリは弱い生き物で、掃除機で吸えばほぼ確実に死にます。万が一生き残った場合に備えて、吸い込んだあとは、ゴミ袋の口をしっかりと閉めて捨てましょう。
発見時にやってはいけないNG行動
対処の仕方によってはアメリカカンザイシロアリを刺激してしまい、駆除が難しくなってしまうこともあります。発見時に絶対にやってはいけない行動を解説します。
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市販の殺虫スプレーを使う
市販の殺虫スプレーをかけても根本的な解決にはなりません。目の前の個体は駆除できますが、危険を察知したアメリカカンザイシロアリは別の場所に新たな巣をつくるため、被害が拡散する可能性があります。
蹴り出し穴を塞ぐ・壁や天井を自分で剥がす
被害への対処や状況の把握は専門業者に任せるべきです。穴を塞いだり壁を剥がしたりすると、巣の位置を特定する手がかりが失われてしまいます。殺虫スプレーと同様、シロアリが別の場所へ移動して被害が拡散するリスクもあります。
アメリカカンザイシロアリの駆除方法と費用相場
アメリカカンザイシロアリの駆除には、在来種とは異なる方法が必要です。
在来種のヤマトシロアリやイエシロアリに対しては、床下に薬剤を散布して侵入を防ぐ「バリア工法」や、毒餌を地中に設置して巣ごと駆除する「ベイト工法」が一般的な施工方法です。
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しかし、いずれも土壌からの侵入を前提とした工法であり、木材の内部に直接営巣するアメリカカンザイシロアリには十分な効果が期待できません。有効な駆除方法と費用の目安を紹介します。
穿孔注入処理法・穿孔吹付処理法

穿孔注入処理法は、木材にドリルで木材の2分の1以上の深さまで穴を空け、駆除・予防用の薬剤を注入する方法です。
床下の土台など普段目にしない部分には直径9mm程度の穴を空け、柱や玄関木枠など室内の目につく場所には直径6〜9mmの穴を空けて施工します。すでにシロアリ被害にあっている木材や壁面がある場合に実施されることが多い方法です。
被害が進んでいる木材は薬剤が多く浸透し、被害が浅い木材は浸透量が少なくなります。注入方法には加圧注入と無加圧注入があり、加圧するほうが木材の内部まで薬剤が行き渡ります。
一方、穿孔吹付処理法は、モルタル仕上げなどの大壁造の壁に直径3〜6mmの穴を空け、ノズルを差し込んで壁の内部にある木材に薬剤を吹き付ける工法です。
穿孔注入処理法・穿孔吹付処理法は単体でおこなわれることは少なく、日本でもっとも一般的なシロアリ駆除工法である「バリア工法」と組み合わせて施工されます。
そのため、1箇所ごとの費用ではなく、平米単価で計算されることが多く、1㎡あたりの平均単価は1,000〜3,000円ほどです。一般的な住宅の床面積における施工費用の目安は以下の通りです。
| 床面積 | バリア工法 |
| 20坪 | 99,000~166,000円 |
| 30坪 | 130,000~249,000円 |
| 40坪 | 174,000~332,000円 |
※一部箇所および躯体構造によっては価格が変動する場合があります。
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燻蒸処理(ガス処理)

燻蒸処理は、住宅全体をシートで密閉し、内部に殺虫性のガスを行き渡らせる方法です。北米では広く普及しており、アメリカカンザイシロアリの駆除法として知られています。
住宅の隅々にまでガスが届くため、点検で発見しきれなかった巣にも効果を発揮します。
ただし、日本の住宅環境では隣接する建物との距離が近く、安全上の理由から実施が難しいのが現状です。寺社仏閣など歴史的に重要な建築物で実施されることはありますが、一般住宅で採用されるケースはほとんどなく、対応できる業者も限られています。
費用相場は明確ではありませんが、100万円以上と高額になりやすいです。
工法別の費用相場比較
アメリカカンザイシロアリに有効な穿孔注入処理・燻蒸処理と、在来種向けのバリア工法・ベイト工法の費用相場を比較すると以下のとおりです。
| 工法 | 対象シロアリ | 30坪の費用目安 |
| 穿孔注入処理法 | 全種類(アメリカカンザイシロアリ含む) | 130,000〜249,000円 |
| 燻蒸処理 | 全種類(アメリカカンザイシロアリ含む) | 100万円以上 |
| バリア工法 | ヤマトシロアリ・イエシロアリ | 130,000〜249,000円 |
| ベイト工法 | ヤマトシロアリ・イエシロアリ | 279,000〜360,000円 |
※一部箇所および躯体構造によっては価格が変動する場合があります。
※燻蒸処理は対応業者が限られており、相場が明確でないため目安としてご参照ください。
穿孔注入処理法の費用はバリア工法と同程度の水準ですが、アメリカカンザイシロアリは1軒の住宅に複数のコロニーが点在するため、被害の範囲によっては追加の施工が必要になるケースがあります。
アメリカカンザイシロアリ駆除はDIYできるのか
結論、DIYでの完全駆除は困難です。
アメリカカンザイシロアリの被害箇所は壁の中や天井裏など目に見えない場所に点在し、特定すること自体が難しいです。
また、アメリカカンザイシロアリの擬職蟻は分化能力が高く、1ペアでも残れば巣が再生します。1軒の住宅に複数の巣が存在するため、すべてを処理しなければ被害は繰り返されます。
すべての巣を駆除するには、市販の殺虫剤では難しく、専門的な調査機器・薬剤・技術が不可欠です。
アメリカカンザイシロアリの予防対策
アメリカカンザイシロアリは一度侵入されると完全駆除が困難なため、侵入を未然に防ぐことが最善の対策です。ただし、すでに侵入されている場合は予防よりも駆除を優先して検討しましょう。
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輸入家具・木材の点検

輸入家具を購入する際は、防蟻処理の有無を必ず確認しましょう。とくにアンティーク家具や中古家具は要注意です。
購入した家具を室内に入れる前に、以下の項目をチェックしてください。
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不安がある場合は、専門業者にチェックを依頼すると安心です。
定期的な住宅のセルフチェック

月に1回程度、以下の場所を点検する習慣をつけましょう。
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砂粒状のふん、木くず、羽などが落ちていないか確認し、不審な点があれば写真を撮影して業者に相談してください。
駆除業者による定期点検
アメリカカンザイシロアリの被害が多発している地域にお住まいの場合は、駆除業者による定期点検をおすすめします。
年1〜2回の専門業者による点検で早期発見をし、被害が拡大する前に対処することが可能です。点検だけだと無料で対応してくれるシロアリ駆除業者も多いのでうまく活用しましょう。
アメリカカンザイシロアリに関するよくある質問(FAQ)
アメリカカンザイシロアリについてよく寄せられる質問と回答をまとめました。疑問や不安の解消にお役立てください。
アメリカカンザイシロアリは冬でも活動する?
年間を通じて活動できます。
住宅の室内は暖房で温度が保たれているため、冬場でも活動は継続します。在来種のように寒い時期に活動が鈍化することはほとんどありません。
アメリカカンザイシロアリに噛まれることはある?人体への害は?
人間を積極的に噛むことはほぼありません。
万が一兵アリに噛まれても、軽い痛みを感じる程度です。シロアリ自体に毒性はなく、人体への直接的な害はありません。
アメリカカンザイシロアリ駆除に保証はつく?
在来種のシロアリ駆除では5年保証が一般的ですが、アメリカカンザイシロアリは完全駆除が困難なため、保証がつかないケースが多い傾向にあります。
保証内容は業者によって異なるため、契約前に必ず確認しましょう。
まとめ
アメリカカンザイシロアリは北米原産の外来種で、乾燥した木材の中に巣をつくるカンザイシロアリです。1976年に東京都江戸川区で日本初の被害が発見され、現在は26都府県にまで分布が拡大しています。
蟻道をつくらず、小屋裏・2階・家具まで住宅全体が被害対象になる点が在来種との大きな違いです。被害発見の最大の手がかりは、俵状で6本の筋が入った約1mmの砂粒状のふんです。羽アリは赤褐色で、6〜9月の昼間に少数ずつ群飛します。
1軒の住宅に複数の巣が点在し、完全駆除は難しいです。駆除方法としては穿孔注入処理が一般的で、アメリカ本国では燻蒸処理がよく使われますが、日本の住宅環境での実施は難しいです。
ふんや羽アリを発見した場合は、市販の殺虫スプレーを使わず、写真を撮影したうえで速やかに専門業者へ相談してください。
シロアリお助け本舗では、アメリカカンザイシロアリの調査・駆除に対応しています。無料の診断・お見積もりも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。









