シロアリ駆除

シロアリ駆除の主流、バリア工法とは?DIYとプロによる施工方法も比較

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「家とあなたを護る。」害虫・害獣駆除から雨漏り・大規模リフォームまで。一級建築士事務所ならではのワンストップサービスで、大切な家とお客さまの健康を守ります。害虫・害獣駆除、総合リフォーム、外壁の塗装や屋根の葺き替え、雨漏り工事、建築・土木工事に災害復旧工事などワンストップサービスで施工。シロアリの駆除歴15年、対応件数累計18,000件の豊富な実績があり、経験豊富なスタッフがお客様のニーズに合わせて、害虫駆除いたします。

ROY株式会社

バリア工法とは、シロアリ駆除・予防方法のなかで、もっとも一般的な施工方法です。

家の床下に専用薬剤を満遍なく散布することで、土中に侵入しているシロアリを駆除すると同時に、新しいシロアリが侵入できない層(バリア層)をつくります

本記事では、バリア工法の仕組み、メリット・デメリット、他の工法との違いを詳しく解説します。

また、「できるだけ駆除業者に頼まずにやってみたい」と考えている方向けに、DIYが可能なのかも解説しています。

シロアリ被害に悩まれている方や、バリア工法の詳細を知りたい方はぜひ参考にしてください。

このような方におすすめ

  • バリア工法について詳しく知りたい方
  • 自宅に最適なシロアリ駆除方法を探している方

バリア工法とは

バリア工法は、シロアリ駆除・予防の施工法のなかでもっとも一般的であり、施工可能なシロアリ駆除業者が多い施工法です。

具体的な施工方法は、公益社団法人日本シロアリ対策協会が発行する「防除施工標準仕様書」にて定義されています。

同書の内容をベースに、バリア工法の詳細を解説します。

バリア工法の仕組み

バリア工法は、家の床下部分の土壌にシロアリ駆除・予防のための薬剤を満遍なく散布する施工法です。

すでに土中に侵入しているシロアリを駆除すると同時に、新しいシロアリが侵入できない層(バリア層)をつくります。

薬剤散布は専用機械でおこなわれます。専用機械により薬液が土壌表面に均一に、隙間なく散布されることでシロアリの侵入を防ぐバリアとなるのです。

家によっては、すでにシロアリの侵入を許しているケースもあり、その場合は土壌に薬剤を散布する前に木材内部のシロアリを駆除する処理をおこないます。

少しでもシロアリ被害が心配な方は、まずシロアリ駆除業者による被害の検査・診断をしてもらいましょう。

シロアリお助け本舗では無料診断が可能です。お気軽にご相談ください。

効果のあるアリの種類

バリア工法により駆除・予防できるのは、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種類です。シロアリ被害の90%以上は、この2種類のシロアリだと言われています。

一方、報告されている件数は少ないですが、カンザイシロアリと呼ばれる2種類のシロアリ、アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリの場合、バリア工法は使いません。

カンザイシロアリは土に潜らず、木材間を移動するため、土壌ではなく木材部分への薬剤散布が必要です。

被害が大きい場合、被害木材に小さな穴を開けて薬液を流し込む穿孔注入もおこなわれます。

シロアリの種類を見分けるのは難しいため、シロアリらしき生き物を見かけた場合、駆除業者に調査に来てもらうことをオススメします。

バリア工法で使われる薬剤の種類

バリア工法で散布される薬剤は「土壌処理剤」に分類され、駆除と予防の両面で機能します。日本シロアリ対策協会が定める土壌処理剤は、26種類の成分で構成されます。

薬剤によっては「劇物」に指定されている成分もありますが、シロアリ駆除業者は人体への影響が少ない薬剤を選び、数万分の一に希釈して使うため、短期間で大量に摂取しない限り人体への影響はありません

また、シロアリ駆除業者は薬剤が家の中に充満しないよう、日本シロアリ対策協会指定の作業工程で施工するため、家主が薬剤を誤って大量に吸い込む可能性は限りなく低いです。

以下は、シロアリ駆除業者が使う代表的な薬剤です。

 

アジェンダ®MC

出典:Envu|製品ページ

アジェンダ®MCの特徴

・非忌避性・遅効性の薬剤で、接触したシロアリが他の仲間に伝搬して致死するドミノ効果を期待できる
・毒物劇物取締法の適用を受けない普通物である
・喘息など期間への影響が心配な方の場合、より揮発性の少ない「アジェンダ®SC」が使われる

ホルサー®油剤「SES」

出典:住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社|ホルサー®油剤「SES」

ホルサー®油剤「SES」の特徴

・ピレスロイド系防蟻成分ペルメトリンと、防腐成分IPBCが木部に浸透し、長期にわたってシロアリ被害予防・防腐効果が持続する
・臭いが極めて少ない
・毒物劇物取締法の適用を受けない普通物である

ステルス®SC

出典:BASFジャパン株式会社|ステルス®SC

アジェンダ®MCの特徴

・ピロール系に分類される有効成分クロルフェナピルを含有する
・非忌避性で、シロアリは薬剤に気づかず接触し死に至る
・蒸気圧が低いため揮発しにくく、不快な臭いや皮膚刺激がほとんどない

タケロックSC400土壌用

出典:キシラモン タケロック公式サイト|タケロックSC400土壌用

タケロックSC400土壌用の特徴

・含有する有効成分テネベナールはほ乳類への安全性が極めて高く、急性経口毒性試験では食塩よりも毒性が低いとされる
・非忌避性で、シロアリは薬剤に気づかず接触し死に至る
・土壌への定着率が高く、雨の日でも環境流出しにくい

シロアリフォーム

出典:大日本除虫菊株式会社|シロアリフォーム

シロアリフォーム土壌用の特徴

フェニルピラゾール系フィプロニルを含有
非忌避性・遅効性の薬剤で、接触したシロアリが他の仲間に伝搬して致死するドミノ効果を期待できる
カンザイシロアリの駆除・予防にも効果がある

保証期間

保証期間は薬剤の効果期間によって決まります。最近のシロアリ駆除・予防の現場では、効果期間5年間の薬剤を採用する業者が多く、それに伴って保証期間も5年を謳う業者が多いです。

強力な薬剤を使う、薬液を濃くするなどすれば効果期間を伸ばせますが、人体への影響や土壌汚染を引き起こすリスクも高まります。

さまざまな要素を考慮した結果、保証期間5年が基準になっています。

家屋への影響

バリア工法の施工には床下へと潜る必要があり、通常は1階に設置されている床下点検口を使います。

床下点検口がない場合は人が入れるサイズの隙間や通風口を探します。床下につながる箇所が存在しない場合、床板の取り外しや加工が簡単な場所に入口をつくる必要があります。

入口をつくる場所として多いのは、和室の畳下です。作業後はフタをするため床がフカフカしたり、隙間から虫が上がってきたりする心配はありません。

バリア工法は、住居と地面の接着面全体への薬剤散布が必要ですが、玄関、風呂場、土間などには床下がなく、直下に薬剤散布ができません。その場合、小さな穴を空け、そこから薬剤を注入します

庭全体への薬剤散布は非推奨

庭全体への薬剤散布は基本的には推奨されていません。住居基礎部分への散布と違い、庭に散布した薬剤は雨で簡単に流されてしまうからです。

木製柵、切り株、小屋などシロアリ被害が気になる場所がある場合、個別での薬剤表面散布や穿孔注入が必要です。

バリア工法が使えない家

メリットの多いバリア工法ですが、住居の構造次第では施工できないケースもあります。

まず一つは、床下がない、もしくは人の入れるスペースがない住居です。最低でも床高30〜40cmのスペースがなければ薬剤散布などの駆除作業はできません

また、基礎断熱工法が施されている住居もバリア工法が施工できません。床下がコンクリートで固められており、土壌への薬剤散布ができないのです。

築年数が浅くコンクリートがしっかりしているうちはシロアリが侵入できないので問題ありませんが、ひび割れや歪みで隙間ができた場合、そこからシロアリに侵入される可能性があるので注意が必要です。

その場合は、ひび割れ箇所への薬剤散布や穿孔注入をおこないます。コンクリート基礎だからと安心せず、心配な場合は、一度シロアリ駆除業者に調査してもらいましょう。

ベイト工法との違い

ベイト工法はシロアリ駆除・予防の現場で近年注目されている、薬剤散布をしない施工方法です。

地中にベイト剤と呼ばれるシロアリ専用の毒餌を仕込み、それをシロアリに持ち帰らせることで、巣そのものの根絶を狙います

バリア工法 ベイト工法
仕組み 床下の土壌に薬剤を散布し、シロアリが侵入できない層(バリア)をつくる 家の周辺にベイト剤(毒餌)を設置し、シロアリに巣に持ち帰らせる
施工箇所 主に床下で、建物の構造によっては、玄関、風呂場など ・建物の外周

・とくに被害の多い被害箇所

使用する薬剤 ・液状薬剤

(日本しろあり対策協会の指定薬剤は26種類)

・脱皮阻害剤(IGR剤)
効果 ・薬剤に触れたシロアリを駆除する

・シロアリの侵入を防ぐ

・シロアリを巣ごと根絶する
持続性 5年間 1年間
即効性 施工後すぐに効果が現れる 施工から1〜2ヶ月程度で効果が現れる
安全性 高いが、化学物質過敏症の場合は注意 高い

 

バリア工法のメリット

バリア工法のメリット

  • 施工したその日から効果がある
  • 他の工法と比較して費用が安い
  • 5年保証をつけてくれる駆除業者が多い

 

施工したその日から効果がある

薬剤は散布直後から土壌中のシロアリを駆除し、新しいシロアリの侵入を防ぎます。

ベイト工法の場合、「シロアリがベイト剤を発見」「巣内にベイト剤が行きわたる」「薬剤の効果でシロアリが死ぬ」とそれぞれの工程に時間がかかり、効果が出るまで数ヶ月から半年程度かかりますが、バリア工法は、施工したその日から効果が表れるのです。

他の工法と比較して費用が安い

費用の算出方法は工法ごとに変わり、明確な比較は難しいですが、バリア工法は他の工法と比べて割安な傾向があります。一般的な住宅の広さである20〜40坪の場合、施工費用の相場は以下です。

 

床面積 バリア工法 ベイト工法
20坪 99,000~166,000円 186,000~240,000円
30坪 130,000~249,000円 279,000~360,000円
40坪 174,000~332,000円 372,000~480,000円

 

バリア工法は1階床面積の大きさで費用が変わり、ベイト工法の場合は埋め込む容器の数で費用が変わります。住宅の構造や形状によっても費用は増減するので、上記相場は目安としてお考えください。

5年保証をつけてくれる駆除業者が多い

繰り返しですが、バリア工法の場合は5年保証の付帯が一般的です。施工後5年以内であれば、シロアリ再発生時に、無料駆除や損害賠償金の支払いが受けられます。

シロアリ駆除業者によっては、建物状態を加味し、保証期間を5年より延長するケースもあります。

たとえば、新築で基礎の大部分がコンクリートで覆われている場合、シロアリ被害の発生リスクがほとんどないため、5年より長い保証期間をつけられることもあるのです。

バリア工法のデメリット

バリア工法のデメリット

  • 駆除作業員が家の中に入ってくる
  • 床下への出入口付近が一時的に通れなくなる
  • 化学物質過敏症の場合は体調への影響が心配
  • 水場に暮らすペットがいる場合は非推奨
  • 床下の臭いが家の中に上がってくる可能性がある

駆除作業員が家の中に入ってくる

通常、床下に通じる入り口は家の中にあるため、シロアリ駆除業者は家の中で作業をすることになります。

家に人をあげることに抵抗のある方は、他のやり方ができないか駆除業者と相談しましょう

床下への出入口付近が一時的に通れなくなる

バリア工法の施工時は、駆除業者が床下に入る場所に囲いをつくるため、通りづらくなります。

囲いのおかげで、床下の薬剤が家の中に飛散することはなく、作業中に外出する必要はありませんが、施工中はやや過ごしにくくなります。

床下には、カビや菌が繁殖している可能性もあります。万が一にでも、誤って床下に入ることのないよう、お子さまやペットは別の部屋に避難させましょう

化学物質過敏症の場合は体調への影響が心配

バリア工法に使われる薬剤は、有毒性が低く揮発性も低いものばかりです。加えて、室内に薬剤成分が飛散しないように囲いを立てるなど、住人に影響が出ないための対策が最大限にとられます。

そのため、高齢者や子どもであっても体調を崩すほど影響が出る可能性は極めて低いです。

しかし、市販の殺虫スプレーでも体調に影響が出るレベルの化学物質過敏症の場合、バリア工法は避けましょう。薬剤散布をしないベイト工法なら、気にせずに施工可能です。

ベイト工法について、詳しく知りたい方は下記記事もチェックしてください。

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水場に暮らすペットがいる場合は非推奨

犬や猫など、人間と同じように地表で暮らすペットへの影響は極めて低い一方、金魚やカエルなど水槽の中や水場の近くで飼われているペットは、薬剤が水に混入した場合、悪影響になる可能性があります

万全の注意を払って施工するか、ベイト工法をはじめ別の施工方法をおこないましょう。

床下の臭いが家の中に上がってくる可能性がある

薬剤の臭いは少ないですが、床下の臭いが家の中に上がってくる可能性があります

床下は、カビ、害獣、排水などの関係で悪臭が充満しているケースがあり、加えて床下通気口が詰まっている場合、臭いが上がってくる可能性は高まります。

心配な方は、駆除業者へご相談ください。床下通気口のチェックをおこない、場合によっては別の施工法への切り替えを提案されるかもしれません。

バリア工法がオススメの家

バリア工法がオススメの家

  • ヤマトシロアリかイエシロアリがターゲットの家
  • なるべく早く駆除・予防をしたい家
  • 駆除にかかる費用を抑えたい家

ヤマトシロアリかイエシロアリがターゲットの家

バリア工法含め、シロアリ駆除の各工法は使用する薬剤の関係で、効果のあるシロアリの種類が明確に定義されています。

バリア工法の場合は、ヤマトシロアリとイエシロアリの2種類に効果があり、外来種を含むその他のシロアリには十分に機能しない可能性があります。

施工方法を決める前に、まずはどのシロアリが発生しているのかの調査から始めましょう

なるべく早く駆除・予防をしたい家

バリア工法の場合、薬剤散布直後から土壌中のシロアリを駆除し、新しいシロアリの侵入を防ぎます。

ベイト工法の場合、「シロアリがベイト剤を発見」「巣内にベイト剤が行きわたる」「薬剤の効果でシロアリが死ぬ」とそれぞれの工程に時間がかかり、効果が出るまで数ヶ月から半年程度かかります。

それに比べてバリア工法は、施工したその日から効果が表れ、なるべく早く駆除・予防をしたい場合に最適です。

駆除にかかる費用を抑えたい家

詳しい費用相場については次章で解説しますが、床面積30坪の家の場合、バリア工法だと130,000~249,000円ほどで、ベイト工法だと279,000〜360,000円ほどが相場です。

バリア工法はベイト工法の半額ほどで施工できる計算になります。

また、最低でも5年間は点検や薬剤補充など追加のコストがかからないことを考えると、バリア工法は長期的に見ても、他の工法と比べて安いと言えます

バリア工法の施工にかかる費用

バリア工法の施工費用は、1階の床面積によって変わり、以下の式で求められます。

(床面積㎡)×(1㎡あたりの単価)=(バリア工法の施工費用)

1㎡あたりの単価は駆除業者ごとに定められています。1㎡あたりの平均単価は1000円〜3000円で、平均的な一軒家、床面積30坪の家の場合、130,000~249,000円が相場です。

ただし、駆除業者によっては最低料金が定められているケースがあります。

Webサイトやチラシで公開されている施工費用は、最低料金まで確認し、見積もりもしっかり目を通すようにしてください。

住宅改修施工費用として、補助金が出ないかと思う方もいるかもしれません。残念ながらシロアリ駆除・予防のための施工に補助金は出ません

住宅入手時の契約書の内容次第では、自己負担ではなく家主負担、施工主負担になる可能性もあります。気になる方は確認してみてください。

シロアリ駆除業者によるバリア工法の手順

バリア工法の作業開始から完了までにかかる所要時間は、一般的な大きさの住居の場合、2〜3時間程度です。家の大きさや、床下への開口部の有無によって所要時間は変わります。

シロアリ駆除業者による作業中であっても家の中で過ごしても問題なく、施工後はすぐに元の生活ができます。

バリア工法の具体的な作業工程について、詳しく解説します。

シロアリ駆除業者によるバリア工法の手順

手順1)事前調査をおこない、施工計画書を作成する

手順2)床下作業のための準備をおこなう

手順3)木材部分への薬剤散布

手順4)土壌全体への薬剤散布

手順5)床下以外の場所への薬剤注入

手順1)事前調査をおこない、施工計画書を作成する

依頼を受けたシロアリ駆除業者は実際に該当の建物に行き、シロアリの被害状況や建物の構造などをチェックして有効な駆除方法を検討します。

以下は調査項目の一部です。

  • 対象とする建築物の構造
  • 対象とする建築物の周囲、敷地内の状況
  • シロアリによる被害のある場所および被害実態
  • 周辺の植生・材木・廃材等

手順2)床下作業のための準備をおこなう

駆除作業中に部屋の壁や床が汚れたり、傷ついたりすることを防ぐために玄関から床下への開口部まで、専用のシートを敷きます。

開口部周辺はシートに加え、床下からのホコリ、薬剤、臭いが室内に侵入しないよう、ビニールで囲います。

手順3)木材部分への薬剤散布

事前調査にて基礎部分の木材にシロアリ被害が発見された場合、被害状況に合わせた処理をおこないます。

大きな被害のない木材には表面に薬剤を吹きかけ、すでに被害にあっている木材には、ドリルで穴を開けて薬剤を注入する穿孔注入を実施します。

手順4)土壌全体への薬剤散布

土壌全体に満遍なく薬剤が染み込むよう、専用の機材を使って薬剤散布をおこないます。使用する薬剤の量は散布場所によって決められています。建物基礎の立ち上がり部分近くの場合は、壁際から帯状に20cm幅で薬剤を吹きかけ、薬剤の量は1mあたり1Lです。それ以外の場合は1㎡あたり3Lで、駆除業者は容量を守りながら散布作業を進めます。

散布漏れがあると、そこからシロアリの侵入を許す可能性があるため、塗り残しのないよう丁寧に作業をします。

地面から垂直に突き出ている「立ち上がり」と呼ばれるコンクリートの根元までしっかりと薬剤を撒きます。

手順5)床下以外の場所への薬剤注入

玄関、風呂場、土間など床下がない場所では穴を空け、薬剤を注入します。

場所ごとに処置が微妙に異なりますが、基本的にはドリルで小さな穴を開け、専用器具を使って薬剤を注入する方法です。空けた穴は、目立たないようにしっかりと塞ぎます。

バリア工法のDIYは難しい

バリア工法はシロアリの侵入可能性のある土壌部分すべてに薬剤散布の必要があり、DIYでの完璧な処理は困難です。とくに難しいポイントを解説します。

見落としのない事前調査が難しい

シロアリ駆除業者は専門的な知識や長年の駆除経験をベースに、シロアリ被害の検査をおこないます。経験の浅い人は、正確な現状把握をすることが難しいでしょう。

たとえばシロアリ駆除業者は、柱がどれほど被害にあっているのかを確認するために、柱を軽く指でノックして音を確認する「打診」と呼ばれる方法を使います。経験がないと、音だけで被害状況を推察することはできません。

また、バリア工法の場合は床下に潜って土壌や建物の基礎部分を隅々までチェックする必要があります。

調査の途中でシロアリの通り道を壊すと、シロアリが警戒して家の別の場所へと移動してしまうケースもあり、そのぶん、被害範囲が拡大することも考えられます。

効果的な駆除方法の選定が難しい

シロアリ駆除業者は、検査の結果、「生息するシロアリの種類」「シロアリのおおよその数」「被害箇所とその深刻度」などを把握し、適切な駆除方法や薬剤散布量を判断します。

調査と同様、正確な判断を下すには、専門的な知識や経験が必要であり、シロアリ駆除業者でない方にとっては難しいでしょう。

作業者の健康に影響が出るかもしれない

シロアリ駆除業者は、日本シロアリ対策協会が規定する「安全管理基準」を順守し、作業者の健康管理、事故防止を徹底しています。

現場経験のない人の場合、薬剤を誤って吸ってしまったり、薬剤を家の中まで侵入させてしまったりといったトラブルの発生が考えられます。

とくにバリア工法の場合、普段立ち入らない床下での作業時間が多いです。床下は、病原菌が充満していたり、ネズミやゴキブリなど病気を媒介する生き物と遭遇する危険があります。

中途半端な準備では健康に悪影響を及ぼすため、プロに任せた方がいいでしょう。

的確な薬剤散布が難しい

バリア工法の効果を最大限に高めるためには、土壌全面や建物の基礎部分に漏れなく薬剤を吹きかけなければなりません。

シロアリ駆除業者は、専用機械の扱いに習熟し、漏れのない散布方法、散布薬剤の性質などを学んでいます。床下の状況に合わせた複数の散布方法を駆使しながら、最大限に効果的な処置をおこないます。

同じクオリティで処置をするのは、仮に薬剤や散布用の専門機械を手に入れたとしても難しいでしょう。

また、シロアリ被害にあっている柱には、場合によって薬剤の穿孔注入も必要ですが、本処理も専門スキルなしでの実施は困難です。

専用機械は、散布装置や穿孔注入装置だけで24〜25万円かかり、他にも必要な工具を一通り揃えるために3万円程度、薬剤まですべて揃えるとトータルで30万円弱はかかります。

費用の点でも、プロに頼んだ方がメリットがあると言えるでしょう。

駆除業者への依頼で被害を最小限に抑える

シロアリ被害がある場合なるべく早く処置しなければ、柱の修繕やリフォーム、場合によっては建て替えまで必要になり、莫大な費用が必要になります。

シロアリによる浸食はスピーディーに進み、仮にイエシロアリによる被害を半年間放置した場合、約12kgの木材が食べられる計算になり、これは住宅に用いられるスギの柱(10cm角、長さ3m)1本半ぶんに相当します。

シロアリらしき虫を発見した場合は、まずはシロアリ駆除業者による無料診断を試してみるとよいでしょう。

リフォームや建て替えまで必要になる可能性を考えると、最初から駆除業者に依頼をした方が、結果としてお金の節約になるケースが多くあります

バリア工法Q&A

バリア工法により、ペットや植木などへの影響はありませんか?

日本シロアリ対策協会が規定する薬剤の場合、安全性が高いため健康への影響は心配しなくていいでしょう。

不安な方は、駆除業者に利用予定薬剤のSDS (Safety Data Sheet)の送付を依頼し、記載内容を確認してください。

植木に関しては、薬剤散布の範囲次第ですが、近くにある場合は枯れてしまう可能性があります。大切な植木がある場合は駆除業者に相談し、どうしても動かすことが難しければベイト工法など別の工法に切り替えましょう。

施工後も、普通に家で生活して問題はないのでしょうか?

問題ありません。

そもそも人体への影響が少ない薬剤を使っていることに加え、施工中は薬剤が家の中に入らないよう措置をおこないます

施工後、床下への入り口は完全に塞がり、土壌中の薬剤が家の中に上がってくることはないため、通常通りの生活をしても問題ありません

ただし、風呂場やキッチンなど水回りで薬剤注入のための穴を開けた場合、塞がるまでに時間がかかり、その間水が流せないケースもあります。駆除業者の判断に従ってください。

まとめ

バリア工法は、シロアリ駆除・予防のもっとも一般的で効果的な方法です。即効性があり、一般的には5年間という長期保証が付帯するため費用対効果も優れています。

ただし、適切な施工には専門機械や専門知識・スキルが必要で、DIYでは十分な効果を得ることは困難です。

現地調査までは無料で実施する駆除業者が多いため、少しでもシロアリ被害に不安がある場合、まずは問い合わせしてみましょう。シロアリ被害の状況や駆除費用を確認したうえで、自分にとって最適な駆除方法をご検討ください。

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「家とあなたを護る。」害虫・害獣駆除から雨漏り・大規模リフォームまで。一級建築士事務所ならではのワンストップサービスで、大切な家とお客さまの健康を守ります。害虫・害獣駆除、総合リフォーム、外壁の塗装や屋根の葺き替え、雨漏り工事、建築・土木工事に災害復旧工事などワンストップサービスで施工。シロアリの駆除歴15年、対応件数累計18,000件の豊富な実績があり、経験豊富なスタッフがお客様のニーズに合わせて、害虫駆除いたします。

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シロアリお助け本舗編集部

シロアリお助け本舗編集部は、
生活を脅かすシロアリの情報を発信する専門チームです。

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