シロアリ駆除

【プロが監修】シロアリ調査完全ガイド|調査項目から自分でできる点検方法まで徹底解説

サムネイル シロアリ 調査​

この記事の監修者

「家とあなたを護る。」害虫・害獣駆除から雨漏り・大規模リフォームまで。一級建築士事務所ならではのワンストップサービスで、大切な家とお客さまの健康を守ります。害虫・害獣駆除、総合リフォーム、外壁の塗装や屋根の葺き替え、雨漏り工事、建築・土木工事に災害復旧工事などワンストップサービスで施工。シロアリの駆除歴15年、対応件数累計18,000件の豊富な実績があり、経験豊富なスタッフがお客様のニーズに合わせて、害虫駆除いたします。

ROY株式会社

シロアリ駆除業者は工事に入る前に必ず、シロアリの生息状況や被害程度について調査をおこないます。

建物全体の検査から始まり、必要に応じて外壁、床下、柱など細かい部分まで確認し、木材の腐朽状態、建物の構造的な問題まで幅広くチェックします。

本記事では、プロが実践するシロアリ調査の内容から自分でできる簡易的な調査方法まで詳しく解説します。

このような方におすすめ

  • シロアリ調査の必要性を知りたい方
  • シロアリ調査の具体的な内容が知りたい方
  • 自分でシロアリ被害のチェックをしたい方
  • シロアリ調査にかかる費用を知りたい方

シロアリ調査とは?

シロアリ調査とは、シロアリ駆除業者が建物の床下や基礎部分を中心に、シロアリの生息や被害の有無を確認する専門的な検査のことです。

本記事では全国のシロアリ駆除業者が登録する公益社団法人日本しろあり対策協会が推奨する調査内容をベースに解説します。

シロアリ調査の目的

シロアリは床下や木材の中など普段目に触れない場所で活動します。「床がフカフカする」「柱に小さな穴が空いている」など被害が表面化する頃には、すでに家中に被害が及んでいるケースが多いです。

住宅を守るために、定期的な調査は非常に重要です

「鉄筋コンクリート造だから関係ない」という考えは誤解です。鉄筋コンクリート造(RC造)の建物でも、床材や玄関枠、押入れなどには木材が使用されており、シロアリが侵食する可能性があります。

また、シロアリ調査は建築物の健康状態を総合的に診断する調査でもあります。シロアリの生息状況や被害程度はもちろん、床下の湿気状況、水漏れの有無、木材の腐朽状態、建物の構造的な問題まで幅広くチェックします。

シロアリ調査を依頼すれば、シロアリ被害の有無だけでなく、建物の現状や問題点までわかります

シロアリは住宅に深刻な被害をもたらす

倒壊した住宅

シロアリによる建物被害は深刻な問題で、食害された木材の耐力は明らかに低下します

野外でシロアリに実際の木材を食害させた強度試験では、断面が16%減少した木材の圧縮強度と曲げ強度は約半分にまで低下しました。見かけ上はたいしたことなくても、被害にあった木材は著しく強度が低下するのです。

実際に、1995年の阪神・淡路大震災や2016年の熊本地震では、全壊した建物の多くがシロアリ被害にあっていたことがわかっています。

建て替えまで必要なケースはほとんどなく、多くの場合は被害箇所の補修・補強がメインです。必要な費用は被害内容によって変わりますが、ざっくり以下のような相場感です。

補修場所(1箇所あたり) 相場
床下の補強(腐食した木材の交換など) 20~50万円程度
柱の補強 10~50万円程度
床材の張り替え 100〜200万円程度
柱の交換 100~200万円程度
建物基礎部分の補強 200万円以上
屋根や梁の修繕 200万円以上

シロアリ被害が軽微なうちに駆除や対策をしておけば、大規模な修繕・リフォームが不要になり、結果的にトータルの支出を抑えられます

シロアリの調査をおこなうべき住宅

次に、シロアリの調査をすべき住宅の特徴を解説します。1つでも当てはまるものがあれば、調査を依頼しましょう。

  • シロアリ対策から5年以上経過した
  • シロアリやその痕跡を見つけた
  • 床がきしんだり、フカフカしたりする
  • 壁を叩くとポコポコという音がする
  • 雨漏りや水漏れ、床下浸水が起きたことがある
  • 築年数の長い木造住宅に住んでいる
  • 近隣にシロアリ被害にあっている住宅がある
  • 近隣に放置されている空き家がある

シロアリ対策から5年以上経過した

シロアリ駆除業界でもっとも標準的な保証期間は「5年間」です。公益社団法人日本しろあり対策協会が認定する薬剤の有効期間に基づいて設定されています。

効果期間が長い薬剤の調合は可能ですが、環境や人体への影響を及ぼす可能性があるため、現在は推奨されていません。6年目以降もシロアリ予防をしたい場合、薬剤の散布し直しなどの処理が必要です。

その処理の前に必要になるのが、床下の環境変化や新たにシロアリが侵入していたりしていないかの調査です

シロアリ被害に気づくタイミングが早いほど補修に必要なお金を節約できます。実際に予防処理を依頼するかは調査後の検討でも大丈夫なので、調査だけでも定期的におこなうほうがいいでしょう。調査だけであれば無料で実施できます。

シロアリやその痕跡を見つけた

ヤマトシロアリ 横

シロアリを見つけた場合のほかに、以下のような場合も調査をおすすめします。

  • 羽アリを見つけた
  • 羽が落ちているのを見つけた
  • 蟻道(ぎどう)を見つけた
  • フンや木くずを見つけた

羽アリを見つけた

ヤマトシロアリ 羽アリ 横

シロアリの一部は胸部背面に翅芽(しが)と呼ばれる、羽が生える穴をもち、有翅虫(羽アリ)になります。羽アリの役割は、群飛と呼ばれる方法で、巣の拡大をおこなうことです。

群飛とは、新しい巣を作るために羽アリの集団で移動することで、巣がある程度大きくなったり、餌が近くになくなったときに起こります。群飛のピークは春から夏にかけて(4月~8月)です。同時期はとくに玄関やベランダに羽アリがいないか注意しましょう

羽が落ちているのを見つけた

ダンボール被害羽

群飛した羽アリは、着地後羽を落とすため、羽だけ落ちている場合もあります。群飛した羽アリは、すぐに近くで巣をつくり始めるため、羽を発見した場合はシロアリ駆除業者に相談するのがおすすめです。

蟻道(ぎどう)を見つけた

蟻道石壁

蟻道(ぎどう)とは、シロアリが土や木くず、排泄物などを混ぜ合わせて作る半円筒状のトンネルです。餌となる木材や水場と巣をつなぐようにつくられます。とくに床下や壁面に付着していることが多いです。

蟻道も近くにシロアリがいるサインなので、見かけた場合は調査を依頼しましょう

フンや木くずを見つけた

シロアリのふん

シロアリのなかでもカンザイシロアリと呼ばれる種類は木材を食べた後、体内で水分を吸収して特徴的な「ふん」を排出します。

ふんは近くにシロアリがいるサインであり、落ちている場所やその散らばり方から生息場所の推測ができる重要な手がかりです。そのため、発見した場合は掃除せずに駆除業者に調査を依頼するのがおすすめです。

床がきしんだり、フカフカしたりする

床がきしむ

シロアリ被害にあった床はフカフカし、足裏への反発感が弱まります。また、シロアリは、木材のほかに畳の芯に使用されている藁も好みます。

畳を外して畳の裏側や畳下板に蟻道がないか確認しましょう。不自然な土っぽいものがついている場合は、シロアリ被害にあっている可能性があり、他の場所まで侵食されているケースも多いです

壁を叩くとポコポコという音がする

壁を叩く

駆除業者は点検の際、「打診」と呼ばれる、柱を指でコンコンと叩いて音を聞く診断方法を使うことがあります。シロアリの被害を受けていない木材は中身が詰まっているため、叩いたときに重い音がしますが、被害にあうと内部が空洞になり軽い音がします

経験がないと正確な判断は難しいですが、怪しい場合は駆除業者に相談しましょう。

雨漏り・水漏れ・浸水の経験がある

天井のシミ

シロアリは乾燥が苦手で、湿度の高い環境を好む習性があります。雨漏りや水漏れ、床下浸水などが起きた後は、シロアリが発生する可能性が高まります

もし今までにいずれかの経験があるなら、湿度の高い住環境、湿度の高い木材を狙ってシロアリが侵入しているかもしれません。一度シロアリ調査をおこなった方がよいです。

築年数の長い木造住宅に住んでいる

木造住宅

シロアリ被害は木造住宅で多く、なかでも築年数が古い住宅の場合、シロアリ被害にすでにあっている可能性が高いです。

木造住宅でシロアリ被害にあう確率は築15〜19年で29.3%まで上昇し、以降は築20〜24年で38.4%、築25〜29年で37.4%と高い割合を保ち続けることがわかっています。築15年以上の住宅は一度調査することをおすすめします

築年数別蟻害発生率

近隣にシロアリ被害にあっている住宅がある

日本国内で住宅に被害を発生させるシロアリのなかで、被害件数が多いヤマトシロアリ、イエシロアリは土の中に巣をつくります。

とくにイエシロアリは巨大な巣を土中に形成し、最大半径100mにも及ぶ範囲で摂食活動を行うため、数軒の住宅を同時に侵食している場合もあります

近所でシロアリ被害があった場合、同じ巣にいるシロアリから狙われる可能性があります。早めに調査をおこない、今はなんともなくても、予防処理をおこなうことをおすすめします。

近隣に放置されている空き家がある

空き家

管理されていない空き家は、シロアリの温床となりやすいです

換気不足により湿度が高くなりやすい、雨漏りや配管の破損により木材の腐朽が進行する、シロアリの被害に気づく人がいない、など様々な条件が揃っています。

空き家で大量発生したシロアリは、餌を求めて周辺の住宅へと活動範囲を広げます。とくに50メートル以内に空き家がある場合は要注意です。

空き家の屋根や外壁に損傷が見られたり、植物に浸食されている場合は、すでにシロアリが繁殖している可能性があります。自宅への被害拡大を防ぐためにも調査を検討しましょう。

シロアリ調査にかかる費用

シロアリ調査には基本的に費用はかかりませんが、有料となるケースもあります。それぞれ詳しく解説します。

調査費用は無料が多い

シロアリ駆除業者の多くは、調査だけであれば無料で請け負っているところが多いです

専門性の高い調査にもかかわらず無料である理由は、見積もり作成に必要な作業だからです。正確なシロアリ駆除・予防に必要な工事工程を決めるためには、実際に現地を調査して被害状況を確認する必要があります。

住人に自覚がなくても、実はシロアリ被害にあっていたというケースは多く、調査を無料にすることでシロアリ駆除・予防が必要な住宅にサービスが行き届くようにする狙いもあります。

調査費用が有料となるケース

基本無料であっても、作業内容によっては費用が有料となるケースもあります。

床下点検口の新設

床下点検口

床下調査を行うためには、床下に入るための点検口が必要ですが、古い住宅や建売住宅には、この点検口が設置されていない場合があります。

また、点検口があっても床下が基礎で区切られており全部つながっていない場合、新しく点検口をつくる必要があります。点検口の設置費用は、場所により異なりますが1箇所あたり15,000円から45,000円が相場です

建物のつくり、床材次第で工事に必要な工数が変わり、そのぶん金額が変わります。

床下収納庫が床下とつながっていたり、畳下の板を外せば床下に降りれる場合、工事は不要です。

住宅の見栄え的にどうしても床下点検口をつくりたくない場合は、外側から建物基礎に穴を開けて侵入することもできますが、建物の強度が弱まる可能性があります。

出張代・駐車場代

とくに小規模事業者や、営業エリアが狭いシロアリ駆除業者の場合、出張費を請求されるケースがあります。出張費の相場は5,000~15,000円程度です。

また、都市部でコインパーキングを利用せざるを得ない場合は駐車場代を請求されることもあります。

出張代・駐車場代を請求されたくない場合は、比較的規模の大きな全国展開しているシロアリ駆除業者を選びましょう。また、調査依頼前にWebサイトや電話で、請求される可能性がないか確認してください。

プロのシロアリ調査(手順1)|事前検査

事前検査

プロによるシロアリ調査は基本的に「全体確認」→「詳細調査」の流れで進みます。

  • 手順1|事前検査
  • 手順2|建物全体の変状検査
  • 手順3|1次蟻害・腐朽検査診断
  • 手順4|高次(精密)蟻害・腐朽診断

まず最初の「事前検査」の段階では、建物の構造や規模などの概要を把握し、増改築の履歴や不具合の様子を聞き取りや目視検査で明らかにします

設計図面が残っていれば時間短縮になりますが、大抵の場合は紛失しているのでなくても問題ありません。わかる範囲で、調査員からの質問にお答えください。

具体的な調査項目は以下です。

  • 建物概要(所在地、敷地状況、規模、構造形式など)
  • 補修・改修履歴
  • 防腐・防蟻処理歴
  • 各部の高さ(基礎の高さ、床高など)
  • 各部構造・仕上げ
  • 敷地・床下環境
  • 雨漏り・水漏れ箇所とその状況
  • 各部不具合箇所と状況(羽アリの発生状況、基礎・外壁のひび割れなど)

とくに、今後の工事内容を左右する重要な項目は「外壁のひび割れ」「雨漏り」などの不具合です。雨水侵入の疑いがある場合、シロアリ被害や腐朽の可能性が高く、基礎や構造体の検査がより念入りに必要です。

プロのシロアリ調査(手順2)|建物全体の変状検査

建物全体の変状検査

次に、「建物全体の変状検査」をおこないます。変状とは「普通とは変わった状態」「以前と異なる状態」を指します。

具体的な調査項目は以下です。

  • 屋根や棟、軒の波打ちなど
  • 床の振動、たわみ、床鳴りなど
  • 開口部や建具周りの隙間など

建物内外の「変状」の観察により、構造部分の隠れた異常を察知し、より詳細な検査が必要か判断できます

屋根や棟、軒の波打ちなど

主には屋根面の落ち込み、棟や軒の波打ちなどを確認します。屋根仕上げ材のズレ、割れなど仕上げ部分の不具合もチェックされます。異常が見られる場合は建物の劣化が相当進んでいると考えられます。

床の振動、たわみ、床鳴りなど

実際に床上を歩いたり、専門の機材で床の傾きを測定したりして異常がないかを調べます。具体的には、過度の振動、局部的なたわみ、床鳴りなどの具合を確認します。

異常箇所や症状に応じて、荷重超過、地盤沈下、床組の蟻害・腐朽などさまざまな原因が考えられます。異常があった場合は後の検査で詳しく検査します。

開口部や建具周りの隙間など

主には開口部や建具周りの隙間を確認します。隙間は、周辺の造作・仕上げ材が変形してできる場合と、床や壁などの構造体の変形によりできる場合があります。

本来、建具まわりは建物の中でも最も精度高くつくられる部位であり、異常がある場合は蟻害・腐朽が進行している可能性があります。

プロのシロアリ調査(手順3)|1次蟻害・腐朽検査診断

1次蟻害・腐朽検査診断

「1次蟻害・腐朽検査診断」では、事前検査、変状検査の結果を踏まえて建物全体の総合的な検査をおこないます。

シロアリ被害の有無に加え、シロアリの種類の特定、腐朽の詳細把握などをおこないます。具体的な検査項目は場所ごとに細かくわかれています。

  • 建物外周囲
  • 建物外壁
  • 壁・床・建具・家具
  • 梁・桁・母屋・垂木
  • 床下木部
  • 床下基礎・束石

建物外周囲

建物周辺の敷地や構造物が検査対象です。建物から離れた場所でシロアリ被害があった見つかった場合、建物本体にも被害が及んでいる可能性があるため慎重に検査します

主な調査場所は下記です。

  • ベランダ(バルコニー)
  • 戸袋・濡れ縁
  • 物置・倉庫
  • 切株・木柱・杭・生立木

ベランダ(バルコニー)

柱や割れ目に注意して「蟻道(ぎどう)」の有無を調べます。蟻道とは、シロアリが土や木くず、排泄物などを混ぜ合わせて作る半円筒状のトンネルです

とくに塗装の剥げた部分、割れ目には蟻道がつくられやすいです。また、植木鉢、水槽、置物などで湿っている箇所、付根部分のように雨水の溜まりやすい場所は念入りに調べます。

乾材シロアリの砂粒状の排出物の有無も確認します。

戸袋・濡れ縁

雨戸の動きが悪くなっていないか、また濡れ縁に歩くと揺れる場所がないかを調査します。また、網戸やガラス窓の隅などに羽アリの羽が張り付いていないかも注意して調べます。

とくに、雨水のかかりやすい部分は念入りに検査します。

物置・倉庫

入口の扉や窓の動きが悪くなっていないかどうか調査します。網戸、ガラス窓、シャッターの隅などに羽アリの羽が張り付いていないかも合わせて調べます。軒の出が少ない場合は、雨水のかかりやすい部分をとくに念入りに検査します。

切株・木柱・杭・生立木

敷地内の切株・木柱・杭・生立木などでのシロアリが発生していないか確認をします。切株はドライバーでほじくり、木柱は一旦引き抜き、また生立木は幹にある腐朽部や枝切口などを調べます。

また、乾材シロアリの痕跡である砂粒状の排出物についても落ちていないか注意して探します。

イエシロアリの羽アリは電灯に集まる習性があり、門灯、玄関灯、明るい窓辺などから侵入する可能性が大きく、街灯付近の立木にも注意します。

建物外壁

建物外壁仕上げ部分の劣化を検査します。具体的には下記です。

  • 外壁木部・開口部木部
  • 軒裏

外壁木部・開口部木部

壁面に膨らみがある場合、内部にシロアリの巣がある可能性があります。雨漏り、雨水の吹付けなど板材が湿っている場合はとくに注意して調べます。壁材から落下した砂粒状の排出物の有無も確認します。

軒裏

蟻道があるかどうか、表面が剥がれている箇所がないか、軒先に変色がないかを調べます。

玄関入口や勝手口の柱は、低い基礎に建てられることがあり、シロアリの侵入口になる可能性があるため念入りに調べます

水周りや結露のある配管周囲など、湿り気のある木部はとくに入念に蟻道や粒状の排出物を確認します。

壁・床・建具・家具

室内のうちとくにシロアリ被害にあいやすい、玄関ドア枠の柱、勝手口柱、水周り、開口部周りの柱・木部、床板がメインの調査対象です。基本は蟻道、砂粒状のフン、シロアリ被害の有無を確認します。

調査方法としては「打診」が一般的で、木材を小型の木槌か金槌で軽く叩き、内部の空洞音で被害を確認します。

風呂場入口の敷居・柱、風呂場窓の敷居・柱、内壁、洗面・トイレ・脱衣所の柱・床板は、生活水や結露水が付着することが多く、シロアリ被害が多発する場所であることから注意深く調査します。

さらに、物入れ・押入の柱は普段目に付きにくいことから、シロアリ被害が拡大していることがあります。保管している本や段ボールにシロアリ被害が出ることもあるので確認します。

梁・桁・母屋・垂木

小屋裏点検口から小屋裏に入り、小屋梁のほか桁・母屋・垂木などの木部の蟻害・腐朽を検査します。小屋組材や天井材は割目、継目、隙間などに注意し、土がついている場合、小型の木槌や金槌で軽く叩いて空洞音で木材内部の被害を確認します。

砂粒状の排出物が落ちているかどうかも調べます。雨漏りに伴う腐朽が見つかった場合、さらに詳しい腐朽検査診断法を駆使して、被害状況を検査します。

床下木部

進入できる範囲の床下を対象とし、柱、筋かい、土台、床組材の軸組部材の検査をおこないます。床下に入り、ライトで暗くて見えにくい部分を照らしながら、蟻道、砂粒状の排出物、被害の有無を確認します。

礎や束石に蟻道がある場合は被害に直結するので、小型の木槌もしくは金槌で軽く叩いて空洞音がしないか検査します。玄関の上がり框も被害が多いのでとくに注意して調べます。

床下基礎・束石

基礎は建物の最下部にあり、シロアリの最初の侵入箇所となる重要な部位のため入念に検査します

まず腐朽については目視で木材表面の色の変化、ひび割れ、菌糸の有無などを確認し、さらにシロアリの食痕、蟻道の有無を確認します。続いて、指触・打音により劣化進行度を判断します。

床下土壌表面やコンクリート表面に木屑や廃材などが放置されている場合、シロアリの発生源となることが多いため、注意深く調査します。

プロのシロアリ調査(手順4)|高次(精密)蟻害・腐朽診断

高次(精密)蟻害・腐朽診断

通常は1次検査診断で終わりますが、問題がある場合は契約を結んだうえで「高次(精密)蟻害・腐朽診断」を実施します。隠れた部分のシロアリ被害が疑われる場合に必要です。

1次検査診断は建物を破壊しない検査を前提としていますが、高次(精密)蟻害・腐朽診断では、場合によっては一部木材を剥がしながら中の状態まで確認します。2次蟻害・腐朽検査診断と3次蟻害・腐朽検査診断とにわかれます。

2次蟻害・腐朽検査診断

2次検査診断は、見えない箇所の劣化に関するより高い精度の診断を行います。必要に応じて局部的な破壊をおこなって検査をおこないます。例えば、下地、仕上げをはがした上で、目視、打診、触診その他の手法により被害状況を診断します。

3次蟻害・腐朽検査診断

1次、2次の検査診断結果から、より精度の高い診断の必要があると判断された場合に実施する検査です。破壊をともなう検査であり、実験室・研究室による専門性の高い診断も該当します。

  • 腐朽菌の菌種を同定するための培養診断
  • シロアリ被害、腐朽とも、各部被害材の残存強度推定のための試験(超音波、ピロディン、レジストグラフなどによる)
  • 各部被害材の残存強度確定のための強度試験

プロによるシロアリ調査前に必要な準備

シロアリ調査をスムーズに進めるために、依頼をする場合は可能な限り準備をしておきましょう。

図面など建物に関する資料

資料があると調査員が全体を把握するのが早くなります。調査の正確性も高まるので、保管している場合はコピーを用意しておきましょう。なくても測定から実施してもらえるので大きな問題はありません。

床下への侵入口の確保

調査員がスムーズに調査場所に出入りできる環境が整っていると、短時間で進められます。台所の収納庫が床下への進入口になる際は、中に入っている物を別の場所に移しておくとよいでしょう。重い荷物が多い場合は無理せず、調査員にも手伝ってもらいましょう。

過去に実施したシロアリ駆除・予防工事の内容

シロアリ駆除・予防のための工事を実施したことがあるにもかかわらず、そのことを忘れてもう一度、駆除・予防工事を実施してしまうケースは多いです。

とくに前回工事の保証期間内であれば、無料で再工事を受けられるケースがあるため、確認することをおすすめします。

とはいえ保証期間内に他業者からの工事を受けられないわけではありません。前回の工事内容に納得がいかなかった、前回の業者と連絡がつかない、といったケースであれば別業者での調査、施工も問題ありません。

シロアリ調査後の流れ

シロアリ調査終了後にすべき対応は、調査結果により大きく異なります。それぞれのケースについて解説します。

被害がなかった場合

まずはご安心ください。

しかし、現在大丈夫だからといって、将来も安心というわけではありません。とくに築年数が古い住宅の場合は、シロアリ予防施工の検討をおすすめします。

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シロアリ予防の目的でもっともよく施工されているのは、バリア工法と呼ばれる工事です。住宅の床下に専用薬剤を満遍なく散布することで、土中に侵入しているシロアリを駆除すると同時に、新しいシロアリが侵入できない層(バリア層)をつくります。

バリア工法

軽微な被害があった場合

部分的な駆除で済ませるか、家全体に対してシロアリ駆除をおこなうかの判断が必要です

被害が1箇所だけで範囲も限定的な場合は、部分駆除という選択肢もあります。

しかし、シロアリは見えない場所で活動していることが多く、発見された被害は氷山の一角の可能性があります。実際、部分駆除のあとに別の場所から被害が発生するケースも多いです。

結局、何度も駆除を繰り返すことになり、トータルでは全体的な駆除より高くついてしまうこともあります。そうならないために、被害箇所の駆除と合わせて、バリア工法をはじめ住宅全体を守るための駆除・予防のための施工を推奨します。

バリア工法であれば30坪の住宅で18万~25万円程度かかりますが、5年間の保証が適用されるため、長期的に見れば経済的にも良い選択と言えます。

床面積 バリア工法
20坪 99,000~166,000円
30坪 130,000~249,000円
40坪 174,000~332,000円

重度な被害があった場合

調査の結果、柱や土台など、建物の構造材に被害が及んでいる場合は、一刻も早いシロアリ駆除が必要です。放置すればさらに被害が拡大し、最悪の場合、建物の建て替えが必要になります。

シロアリ駆除と同時に、構造補強工事も必要です。被害を受けた柱の補強や交換、床の補修など、工事内容により費用は大きく変わりますが、50万~200万円以上かかることもあります。

大規模な工事になる場合、一時的に仮住まいが必要になることもあるので、その費用も考慮しましょう。

自分でできるシロアリ調査|5つのチェックポイント

調査はシロアリ駆除業者に任せるべきです。専門的な調査でなければシロアリの存在を見逃し、しばらく時間が経つと取り返しがつかないほど被害が進行してしまうケースもあります。

とはいえ、すぐの調査依頼が難しい場合もあるでしょう。今すぐシロアリ被害の確認がしたい方のために、チェックポイントを解説します。

チェック項目①|蟻道がないか

床下蟻道

蟻道は餌となる木材や水場と巣とをつなぐようにつくられます。主な場所は下記です。

  • 基礎の立ち上がり
  • 束石・束柱
  • 断熱材
  • ベタ基礎
  • 配管周辺
  • 外壁
  • 化粧モルタル・タイル張り
  • 放置された木材・木柵

とくに基礎断熱の住宅は、床下空間が冬でも氷点下にならないので、シロアリが活動しやすいです。基礎断熱材にシロアリの蟻道がないか念入りに確認してください。

蟻道を発見した場合、壊さずに撮影だけして、すぐにシロアリ駆除業者に相談しましょう。

チェック項目②|羽や羽アリの死骸は落ちてないか

羽アリの痕跡 窓際

窓際、ベランダ、玄関などの羽アリの死骸をチェックします。群飛した羽アリは、着地後に羽を落とすため、羽だけ落ちている場合があります。

群飛した羽アリは、すぐに近くで巣をつくり始めるため、羽アリの痕跡がある場合、すぐにシロアリ駆除業者に相談するのがおすすめです。

チェック項目③|木材に小さな穴や崩れはないか

シロアリ被害 柱

床や柱に小さな穴や崩れがないか確認します。シロアリの被害を受けていない木材は中身が詰まっているため、叩いたときに重い音がしますが、被害にあうと内部が空洞になり軽い音がします。

経験がないと正確な判断は難しいですが、怪しい場合は駆除業者に相談しましょう。

チェック項目④|床や畳がきしむ・沈む感覚はないか

畳の被害

シロアリ被害にあった床はフカフカし、足裏への反発感が弱まります。また、シロアリは、木材のほかに畳の芯に使用されている藁も餌にします。畳を外して畳の裏側や畳下板に不自然な土がついていないかを確認しましょう。

チェック項目⑤|庭の木製構造物にシロアリの痕跡がないか

住宅の中だけでなく、外の木材も定期的に確認しましょう

  • ウッドデッキ
  • 木製フェンス
  • 木製の門柱
  • 庭の枕木や杭
  • 放置された木材
  • 切り株
  • 古いダンボール
  • 木質系の物置

庭の木材をある程度食べたあと、新たな餌を求めて住宅の中に侵入する可能性もあります。シロアリの痕跡がある場合は放置せず、なるべく早くシロアリ駆除業者に相談をしてください。

シロアリ調査についてよくある質問

最後に、シロアリ調査に関する質問に回答します。

調査後にシロアリ予防・駆除工事を断っても大丈夫ですか?

もちろん大丈夫です。

無料調査は、あくまでも現状確認と見積もりのためのサービスです。調査結果を聞いたうえで、施工が必要ないと判断すれば、遠慮なくお断りください。「検討します」と伝えれば、それ以上追及されることはないはずです。

調査時の立ち会いは必須ですか?

基本的に立ち会いは必要です。調査結果をその場で確認してもらい、質問にも答えてもらうためです。

さらに、家族間で情報連携漏れをなくしたり、相談しやすくするために、複数人での立ち会いがおすすめです。

立ち会いが一人の場合、駆除・予防の方針やどの業者に依頼するのかで、家族間で揉めることもあります。スムーズに進めるために、一人でも多くの立ち会いをおすすめします。

調査で住宅は汚れませんか?

プロの業者は、養生をしっかりおこなうため、基本的に住宅が汚れることはありません。床下点検口の周りもビニールシートで覆い、ホコリが舞い上がらないようにします。

ただし、床下の状態によっては、多少のホコリが舞う可能性はあります。アレルギーがある方は、事前に調査員に伝え、より丁寧な養生をお願いしておくと安心です。

調査にかかる時間はどれくらいですか?

30坪程度の住宅なら、1時間前後です

ただし、被害が大きかったり、床下が複雑な構造だったりする場合、さらに時間がかかることもあります。初めて調査を受けるときは、時間に余裕をもって一日のスケジュールを組むことをおすすめします。

ペットがいても調査できますか?

可能です

ただし調査中は、目の届く範囲にペットの移動を制限しましょう。とくに床下点検口の周辺は、落ちると危険なので、近づけないようにしてください。猫は好奇心が強く、床下に入ると出られなくなることがあります。

雨の日でも調査できますか?

可能ですが、外周調査が十分にできない場合があります。基礎の蟻道が雨で流されて見えなくなったり、地面がぬかるんで歩きにくくなったりします。

可能であれば、晴れた日に調査を受けることがおすすめです。どうしても雨の日しか都合がつかない場合は、後日、外周だけ再調査してもらえないかシロアリ駆除業者に確認しましょう。

新築でも調査は必要ですか?

必要です

新築建設時は防蟻処理が付帯していることも多いですが、基本的には薬剤の都合上5年で効果が切れます。効果が切れるタイミングで調査を依頼し、再度予防のための工事をおこなうと安心です。

コンクリート基礎でも調査は必要ですか?

必要です

コンクリート基礎だからといって、シロアリの侵入を完全に防げるわけではありません。シロアリは、わずか0.6ミリメートルの隙間があれば通り抜けることができます。

コンクリートの継ぎ目、配管の貫通部、経年劣化によるひび割れなどから侵入されることは十分考えられます。

まとめ

シロアリ調査は、目に見えない場所で進行するシロアリ被害を早期に発見し、大切な住まいを守るために欠かせない重要なアクションです。多くの業者が基本は無料で実施しています。

自分でも簡易的なチェックはできますが、専門性の高いチェックはプロにしかできず、とくに床下調査は危険を伴うため、依頼した方がいいでしょう

シロアリ被害は時間との勝負です。少しでも不安を感じたら、まずは無料調査を受けてみてください。

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「家とあなたを護る。」害虫・害獣駆除から雨漏り・大規模リフォームまで。一級建築士事務所ならではのワンストップサービスで、大切な家とお客さまの健康を守ります。害虫・害獣駆除、総合リフォーム、外壁の塗装や屋根の葺き替え、雨漏り工事、建築・土木工事に災害復旧工事などワンストップサービスで施工。シロアリの駆除歴15年、対応件数累計18,000件の豊富な実績があり、経験豊富なスタッフがお客様のニーズに合わせて、害虫駆除いたします。

ROY株式会社

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シロアリお助け本舗編集部

シロアリお助け本舗編集部は、
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